窓ぎわのトットちゃんの感想一覧
黒柳徹子による小説「窓ぎわのトットちゃん」についての感想が9件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
君は、ほんとうは、いい子なんだよ。
黒柳徹子さんが通ったトモエ学園。園長の小林先生の言葉が胸を打ちます。発想や視点が違うためにいわゆる「問題児」として小学校を退学になったトットちゃん。そのトットちゃんをあたたかく迎え、トットちゃんを学校大好きっ子にしたのがトモエ学園です。今でいうところの、フリースクールに近い形態でしょうか。その教育法は、親である私から見ると思い切ったもので、でもとても楽しそう。可能ならばわが子たちを通わせてみたかったですね。君は、ほんとうは、いい子なんだよ。裏を返せば、いい子でない部分が外に出てしまっているようにも取れますが、小林先生の意図はそこではなかったはずで、純粋にそれを捉えたとっとちゃんはこの言葉に大いに自信をつけられます。時代は戦争に向かい、悲しい場面も多くなっていきますが・・・愛情と個性あふれた学校とあたたかい家族の理解が素敵です。この感想を読む
居場所。
母の本をこっそり読むのがマイブームだった小学生の頃に読みました。子供でも面白いと思える本が母の所蔵書籍には少なかった(そりゃそうだ)だけに、窓ぎわのトットちゃんは私にも読める! という点でも感動を覚えたものです。車両が教室なんてイレギュラーっぷり。ときめきました。子供心、掴みまくり。私は勉強がその頃は別に嫌いじゃなかったけれど、自分のクラスには確かにこんな感じの何だか変わった子っているもんなぁと思いながら読んでいました。子供にとって、居心地の良い居場所があるって、どんなに救われるだろう。それは大人もでしょうけど、子供にとっては殊更そんな気持ちになると思います。まだ、知り得る世界が小さいから。その体験が、後々の人生に影響するのは必至ですよね。トモエ学園のような学校、もし今もどこかにあるとしたら、周りの人にはぜひ静かに見守ってほしいと思います。
私にとって、子育てのバイブルです
黒柳徹子さんの記憶力に舌を巻きながら読み進めました。この物語を読んで、「トットちゃん」の性格には賛否両論いろいろあると思います。ですが、私にとってはこの本は子育てのバイブルです。自由奔放すぎるトットちゃんに校長先生はいつも、「君は本当はいい子なんだよ」と言い続けます。いい子だ、と自信を与え続けています。どんな子供も、生まれてきて、生きているだけで「いい子」なんです。いろんな性格の中で大人に「悪い」と思われる部分があっても、やっぱり「いい子」なんです。いいところがたくさんあるんです。そんな子供への愛情いっぱいの物語です。最後のシーンでは、そんな愛あふれる校長先生の生きざまを見せつけられた気がして、感動の涙が触れました。
昭和の学校を知る良い材料
奇抜な行動で学校に馴染めないトットちゃんを、自由な校風のトモエ学園になじんでいくが、戦局が悪くなり学校関係者もだんだん戦地に行ったり、疎開をしているうち、トモエ学園はB29の空襲で焼けてなくなる様子を描いています。作者は、有名な黒柳徹子さんで、テレビでも何回もインタビューを見て、おもしろいなと思った記憶があります。昭和の戦争時代に、じっとできない子どもを受け入れて、リトミックなどを使って育てる自由教育に人気が集まった時代だったと考えさせられました。黒柳徹子さんがそんな生い立ちだと、本を読むまで気がつきませんでした。英訳でも読んでも、学校をやめさせられて困っている少女の心情から、救われたことから元気に成長していく様子がよく分かり、感動しました。
教育とは何か考えさせられる作品
いわさきちひろさんの表紙が印象的で可愛らしくて昔手にとった本です。作者は有名な黒柳徹子さん。トモエ学園という実在した学校の話です。トモエ学園の行なっていた教育とは、子どもたちの個性を否定しないこと。自由でのびのびと個性を伸ばすことができます。今、このような教育を行なっているところは無いでしょう。時代もあったのでしょうが、戦争がなければ…と思ってしまいます。いつから型にいれたような教育をすることになったのでしょう。子供が成長するのに必要なこととはなんだろうかと考えられる作品です。私もこんな学校に行きたかった。今の時代にあっている教育法ではないかとも思えます。
窓ぎわのトットちゃん
子供の頃、学校の先生に勧められて手に取ってみた本ですが、最近になってまた読み返しました。トットちゃんはかの有名な黒柳徹子さんの愛称。自伝的なお話構成になっています。トットちゃんは既成概念には当てはまらない、奔放な少女だったようで、普通の学校をやめ、トモエ学園に入学します。トモエ学園では当時ではめずらしいような個人の能力を伸ばすことを第一にする教育方針がとられており、トットちゃんはそこで成長していきます。この学校に入ることにより、トットちゃんは幸せな学生生活を送れたんじゃないかなと思います。このような個性的な学校に入れたというのは、少し憧れの気持ちもわきました。
優しさがいっぱい
幼稚園教諭をしていた母から薦められて、小学生の頃読みました。この作品は、黒柳徹子さんが普通の小学校に合わず、トモエ学園に通うようになり、その学園生活のキラキラした思い出が書かれています。廃車になった電社の車両が教室で、お弁当には海のもの山のものを入れるという決まりがありました。戦争が進むにつれて、食糧不足になっていく中でもこの決まりは守られ、海苔と梅干で凌ぐこともあったと書かれていて、小学生の私は「大変な時代だったのだな」と感じていました。大人になり、子供を産んでから、子供が他の子と同じだと安心し、違うと不安になるということがよくありますが、その子それぞれで良いんだよなぁと改めて思いました。これは良書です。
トットちゃん大好きです。
小学生のころ、父の本棚でみつけ借りて読み、夢中になった一冊です。その後、あきることなく何度も何度も読み返しました。個性的な女の子トットちゃんのまわりには、トモエ学園の校長先生、お母さんなど深い深い愛情が感じられて、読んでいる自分までココロがじんわりあたたかくなりました。「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ!!」 トットちゃんに言い続けてくれた校長の小林先生。きっとトットちゃんにとって一生を支えていく大事な言葉になったことは間違いないでしょう。素敵な本を書いてくれた黒柳徹子さんに感謝です。たとえ今。トモエ学園の校長先生に出会えなくてもこの本を読めば読んだ人に思いが伝わります。
大人になって読むと現代への問題提起が見え隠れしています
ご存知黒柳徹子さんの幼少期をつづった物語です。とっとちゃんと呼ばれた彼女は、自由奔放で既存の教育の枠に当てはまらず、自由な校風の学校でのびのびと育てられていく。その辺りは、大人のエゴが色濃く見える現代のお受験事情はどうなのかなと考えさせられたりします。子どもが本当にその子らしく育つためを考えてのお受験ならよいのですが・・・さてどうでしょう? また、何気ない日常の描写の中にも、貧しかった時代の日本では、貧しくて苦しんでいる子どもたちにさりげなく手を差し伸べる大人がいた。不景気とはいえ、とっとちゃんの頃とは比べ物にならないくらい裕福な現代、子どものことを真剣に見守る大人はどれだけいるでしょうか? 親だけではなく、先生、近所のおじちゃん・おばちゃんが見ていたからこそ、苦しい時、親も子どももSOSをだせたのかもしれない。子どもの頃読んだ時は、なんだか楽しそうな学校でいいなという程度のイメージだ...この感想を読む