人間の狂気をとても良く表現できていて、何度も見たくなる話しの構成
目次
そもそも雛見沢症候群って、どういう病気なの?
このアニメでキーとなっているのが、雛見沢症候群と呼ばれている病気だ。しかし、アニメが複雑なので、病気の症状について、なかなか理解できない人も多いだろう。雛見沢症候群は、町に住んでいる人達のほぼ全員が発症していると思ってよい病気だ。病気は寄生虫によって引き起こされ、完全な治療方法は見つかってはいない。研究機関にいた入江先生は、末期症状に近い状態からある程度の状態まで回復できる薬を開発。しかし、症状の完治には至っていない。精神状態がひどくなると、病気の症状が進み、ひどい人間不信、それから幻聴や妄想に悩まされる。最後には殺人や自害に至ってしまうことの多い病気だ。寄生虫の女王に感染している人が町に1人おり、この人の周囲から離れてしまうと病状が深刻化してしまう。そのため、町から出てしまうと、病気は末期状態まで進んでしまう。アニメでは、この病気を軍事利用しようとする機関が出てくるが、病気が完治する薬が開発されていたらと考えるとゾッとする話である。それでこそ、他のアニメで見られるような、パンデミックが起きていただろう。病状が薬物依存の症状とよく似ているため、薬物依存の人が増えてしまった世界は、こんな感じかなと想像できてしまうのが恐ろしいところ。無邪気な子供たちが猟奇的な体験をするところが、より一層恐怖を感じさせる。
主人公は何故雛見沢症候群にかかったのか?いつどこでかかってしまったのか?
これもアニメでは非常に分かりにくいシーンだが、実は主人公は雛見沢に訪れる前から、既にこの病気にかかっている。冒頭から伏線があり、主人公は以前東京に住んでいたころ、モデルガンをクラスメイト達に発砲し怪我を負わせる事件を起こしている。これは、受験のストレスやいじめにあっていたことが原因で、ひどく精神状態が危うい状態であったため、雛見沢症候群が発症したことが原因だ。彼が病気になってしまった原因として考えられるのは、父親がかつて雛見沢を訪れたことがあるということ。その際に父親が病気に感染し、後に主人公が生まれたときに父から感染をした。主人公が体験したパラレルワールドの世界の1つでは、彼の病状が深刻化してしまう場面もある。異常なまでに人間不信になり、殺人を犯してしまうシーンがあるが、これも全て病気の症状のせいだ。アニメで出てくる父親は、優しく平和的で良き父として出てくるが、実際はその父のせいで、主人公がさまざまな辛い体験をしてしまうというのは、なんとも皮肉な話である。
レナも過去に雛見沢から出ていたことで、暴力的になっていた
オノを持っているシーンが一躍話題となったことのあるレナだが、主人公と同じで彼女もまた雛見沢以外の土地に住んでいた経験がある。彼女は母親の浮気というショックな体験と、信じていた父親から疑われるという精神的負荷が重なり、病気の症状が進行してしまったと考えられる。もう一度、雛見沢に戻ってきたことで、一度は安定を見せていた彼女がおかしくなってしまったのは、彼女を気遣った周囲が嘘をついてしまったことで、浮気をしていた母親の嘘と重なり、精神崩壊してしまったせいだろう。ただし、他のパラレルワールドでは、冷静な判断をしていて仲間を救う、頼れるキャラクターとなっている。
話の構成がよく考えられていて、惹きつけられる物語となっている
1作目で人気があったため、よりリアルで綺麗な映像へと変化したこのシリーズ。目の大きなキャラクターの絵に抵抗のあった人も、あれ意外に面白いと印象が変わった人も多いはず。このアニメでは、通常のアニメでは考えられないほど、話がブツブツと途切れて、新たなエピソードが始まる。それまでのアニメでは、話をぶった切って新たな話に持っていく、そんなアニメは少なかったように思える。途中で話が変わるため、「え、なんで?どうしてこうなったの?何か理由があるの?」と惹きつけられて、ついつい先が見たくなってしまうストーリーとなっているのだ。見る前は絵の雰囲気から、苦手意識を持っている人でも、グロくて猟奇的な物語が好きな人にとっては、たまらない作品となっている。アニメの放送途中で、オープニングが差し替えられる出来事が起こってしまったが、これはその当時実際に起こってしまった事件を想起させてしまうというのが原因なようだ。放送自体を中止してしまったテレビ局もあるくらい、影響力のあるアニメということだろう。
パラレルワールドの記憶って引き継げるものなの?
感染者の女王である梨花ちゃん以外は、パラレルワールドの記憶が引き継げないことになっていたが、後半他の子ども達も、別世界での出来事を思い出していく描写がある。パラレルワールドは、もう一つの平行世界のことで、複数存在するともいわれている。実際にパラレルワールドで記憶が引き継げるものなのか調べてみると、自分が過去に体験した出来事を他人が全く違う出来事として記憶している場合があるそうで、これは別世界で自分が体験した出来事の記憶なのではないかという話がある。主人公や他の登場人物は何かのきっかけがあり、他の平行世界で体験した記憶を思い出している。アニメではなく現実世界でも、過去に同じ事を体験した気がするという人が結構いるようだ。なので、パラレルワールドの有無はおいといたとしても、記憶が断片的に残るというのは、どうやらありえそうだ。
誰しもが持っている負の感情を上手く表現した世界
雛見沢症候群は特殊な病気のようにみえるが、実は誰しもが持っている負の感情だ。病気のせいで狂暴になったというよりも、病気のせいで普段は抑制できている感情のリミッターが外れてしまっている印象を受ける。主人公も入っていないはずの針が見えていて、自分を殺そうとしている人がいると、強く主張しているシーンがある。負の感情が多くを占める原因としては、ストレスや傷つきやすい性格などの負の感情になりやすい環境が、重なることが原因の1つではないかと言われている。主人公も転向前にショッキングな出来事を体験したせいで、ストレスが相当溜まっていて、そのリミッターがいつ外れてもおかしくない危険な状態だったのではないだろうか。
鷹野は結局何をしたかったのか?悪だったのだろうか?
鷹野は結局何をしたかったのかだろうか。彼女の行動には不可解な点がいくつもあり、また欲望のコントロールが出来ていないことから、研究を初めてすぐに、彼女もまた雛見沢症候群を発症していたものと思われる。初期は一二三の無念を晴らすために、研究に没頭していたはずだが、いつのまにか病気を利用して、神と称えられることが目的へと変わってしまっている。作中では、精神的に幼い部分が度々みられるので、本来は年相応の女性なのだとうかがえる。しかしながら、実権を握っていると思っていた彼女も、実際は大きな組織によって、手の内で転がされているだけだった。無念を晴らそうとしていた彼女が、結果的には一二三のやってきたことに対して、泥を塗る形となってしまった。最後には、自分の無力さをしり、富竹のことを愛していた描写がされている。彼女もまた、病気による被害者なのだという結末を持たせることで、本当の悪は仲間を信じきれない自分自身だったという結末に持って行っているところが、このアニメの構成の凄い部分であり、評価の高かったポイントではないだろうか。
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