獣兵衛忍風帖のあらすじ・作品解説
「獣兵衛忍風帖」は1993年公開の劇場アニメ作品である。 時は江戸時代。「はぐれ忍び」として放浪の旅を続ける牙神獣兵衛は、偶然出会った女忍者・陽炎を助けたことで謎の忍び軍団「鬼門八人衆」に命を狙われてしまう。そして獣兵衛自身もその戦いの中で自分の過去と向き合うことになるのであった。 原作・脚本・演出は川尻善昭。 本作は全編を通して主人公と敵集団との死闘がノンストップアクションとして描かれているのが特徴である。これは時代劇に馴染みのない若い観客に興味をもってもらうことと、川尻自身が影響を受けた山田風太郎の忍法帖シリーズのような忍者の戦いの表現にはテンポの良いアクションアニメという手法が合致しているという意図によって企画・製作がされたことに拠る。 なお本作は日本国外でも高い人気を誇り、特に北米においては「Ninja Scroll」という題名でビデオ販売され約90万本を売上げた(川尻善昭ミッドナイトフェスより)。国内でも2003年に続編となるTVアニメ「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」が製作されている。
獣兵衛忍風帖の評価
獣兵衛忍風帖の感想
忍者が繰り広げる時代劇
主人公の違和感「獣兵衛忍風伝」の主人公である獣兵衛は、とても格好良いキャラクターだと思います。忍術めいた技を使うことなく、剣術のみで戦っている印象です。刀に糸を仕込んでおり、刀を手放すことがあっても、糸を手繰り寄せることで、常に戦闘形態を崩すことなく戦えます。非現実的な技を使わないことが、獣兵衛の格好良さなのではないでしょうか。他の登場人物・忍者においては、不思議な技を忍術と称して使います。そういった意味では、周囲の登場人物と比較しても、異端な存在だといえるのではないでしょうか。しかし、そこが正々堂々と戦う姿勢を感じて、格好良く映るのだと思います。非現実的な技を使うことで、もっと強い主人公に設定できたのでしょうが、卑怯さは拭えないものになったように感じます。また、人物像的にも仲間想いで優しいです。性格面でも、観る側を惹きつける人間性を感じられます。女性であれば惚れてしまうと思わせる内面...この感想を読む