見れば見るほど味がある! トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンを褒めまくる! - トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンの感想

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見れば見るほど味がある! トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンを褒めまくる!

5.05.0
映像
5.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

新作が出るたびに様々な批判が飛び交い、中々満点の評価は得られない実写版トランスフォーマーシリーズ。かくいう私も、初見時の印象はどの作品も満点とは言えないものでした。

しかし、何年か経ってから振り返ってみれば、どれもこれも名作ばかり、なんであんな批判的な目で見てしまったのだろうと自分を反省する次第です。ここでは、トランスフォーマーシリーズ第三作、ダークサイド・ムーンを絶賛していきたいと思います。

二度と見られないかもしれないサムのシーンが盛り沢山

第一作から第三作までの主人公、サム・ウィトウィッキー。この映画が公開された当初は、冒頭の彼の就活シーンが長すぎるとめっためたに批判されたものです。はい、私も批判していました。

しかし、サムを演じている役者、シャイア・ラブーフはこのダークサイド・ムーンを境にもうトランスフォーマーシリーズには出ないということを公言し、実際に四作目と五作目では出演していません。

ミーガン・フォックスのように監督のマイケル・ベイと揉めたわけではないようなのでなぜ出演をしなくなってしまったのかは分からないのですが、ともあれバンブルビーとの出会いから始まり長い間実写トランスフォーマーの人間サイドの顔であったサムとはこの作品を最後にもう会えないのです。そう考えると、つまらない就活だろうがなんだろうが極めて貴重なシーンと見ることができ、見ていて涙さえ出てきてしまいます。

大人気キャラをあえて処分する勇気

ダークサイド・ムーンでは本来は正義の味方であるはずのセンチネル・プライムが裏切り、ディセプティコンと手を結んで地球を滅ぼそうとします。このセンチネルは思い入れのあまりない新キャラであるため、別に裏切ろうが何をしようが良いのですが、一作目から登場しその人間嫌いと戦闘能力の高さで強い個性を持ち人気があったアイアンハイドをセンチネルに殺させてしまうのです。当然批判は殺到しました。私も怒りました。ぽっと出の新キャラに、しかも激しい戦闘によってではなく不意打ちというあっけないものによってアイアンハイドを処理されるなど許されざることです。

しかし改めて考えてみると、新キャラを出したり、悲壮感を演出したりするためには犠牲も必要です。事実、一作目ではジャズがメガトロンに比較的あっさり殺されていますし、二作目でもキャラがとても立っていたジェットファイアーが自らを犠牲にオプティマス・プライムに新たなる力を与えます。ですから、アイアンハイドが死んだ展開もこれまでを踏襲した伝統によるものなのです。

また、今思えばセンチネルとの対決もなく不意打ちで殺されたということも、アイアンハイドにとってはむしろプラスだったのかもしれません。アイアンハイドはその前に、獣のような姿をした新型ディセプティコンと遭遇、欺瞞によって傷を負うものの危なげなくそれを処理しました。この素晴らしい活躍シーンでアイアンハイドはさらに株を上げ、そしてその後も特に苦戦する描写などはなくセンチネルによって退場。これにより、もしかしてセンチネルと戦っていたらアイアンハイドは勝っていたのではないか、卑怯な手を使われない限りアイアンハイドは最強クラスのトランスフォーマーなのではないかなど想像が極めて広がります。アイアンハイドを雑に処理したとはいっても、その株は下がるどころか上がりさえするある意味素晴らしい退場の仕方だったのです。

多数いる味方側の新キャラの見せ方が上手い

ダークサイド・ムーンではオートボットはこれまでの面々に加え様々な仲間が合流します。しかし、第二作で人気の出たツインズなどの既存キャラは再登場せず、完全な新キャラがほとんどでした。そのため、扱いきれないほどの数の新キャラを出すなとやっぱり批判されます。私も、一気に沢山出されても覚えきれないという情けない理由で批判しました。

しかしこの新キャラ達、改めてみると滅茶苦茶キャラが立っています。そもそも序盤から出てくるのは外見も行動も派手なフェラーリのディーノだけで、後の面子は比較的終盤からの登場。宇宙へ去るロケットの中で爆死したと思われていたオプティマスが現れるのと同時にのっそりと現れ、ディセプティコンをボコボコにするレッドフットら赤青緑の三人組レッカーズ。人間にこれを使えと超高性能爆薬をくれ、死に際も非常に悲しく印象に残る老トランスフォーマーキュー。ディーノは高速道路でのカーチェイス、レッカーズは最終決戦で出ずっぱりと彼らがメインとなる出番もかなり意識して作られており、新キャラでも分かりやすいよう細心の注意が払われていました。

ここまでやってもらってまだ分からないというのは、もう見る側の問題でしょう。誠にすみませんでしたと謝りたい所存です。

オプティマスの扱いは非常に苦心されている

ビルの中を我が物顔で食い荒らすドリラー、その巨体にオプティマスはジェットパックによる高速空中戦で立ち向かい、見事撃破します。ここまでは良かったのですが、オプティマスはその後あっけなく捕獲され、しばらくの間身動きが取れなくなってしまいました。このあまりの雑な展開に批判は殺到、もっと活躍が見たかった私もブーブー文句を言いました。

しかし考えてみれば、そもそもこのジェットパックを付けたオプティマス、前作でメガトロンとザ・フォールンを、それを装備するのが初めてにもかかわらず圧倒的な力の差を見せつけて撃破した最強形態なのです。それから時間が経っているのに弱体化しては話になりません。そこで脚本家はドリラーという強敵を用意することでオプティマスの株が下がらないように配慮しました。

問題はここからです。ドリラーを倒した以上、オプティマスwithジェットパックを倒せそうな敵というのは正直なところ見当たりません。ショックウェーブはドリラーとセットでの強敵感はあるものの、単体での戦闘力があまりに強いとドリラーの存在意義がなくなってしまうためそこまでの強さにはならず、メガトロンやスタースクリームも前作の戦闘で多対一にもかかわらずオプティマスに押されていたという事実があります。センチネルならば互角に戦えそうですが、しかしこの裏切り老人は空を飛べません。空からブラスターやキャノンを打ちまくるだけの面白くない絵面で片付けられてしまいます。

そこで脚本家が悩みぬいた挙句、オートボット側を窮地に立たせるためにオプティマスは身動きが取れなくなることでしばらく画面から外されることとなりました。考察してみると、まあ仕方がない、上手く危機感を演出した、捕まった後のオプティマスの活躍シーンで帳消しにしてやろうなど、それなりに理解できる展開として納得できるのではないでしょうか。

非常に考えられたセンチネルとの決着

拘束から解かれ、サムの叫びに合わせて空から急降下、並み居るディセプティコンを装備をパージしながら粉砕、ショックウェーブにはパンチをお見舞いし、オプティマスとセンチネルのプライム同士の最終決戦へ。この一連の流れは非常に熱く、思わず見ていて手を強く握りしめてしまうようなものです。

その戦闘においては、オプティマスはセンチネルに押され、追い詰められます。あわや……という時にメガトロンがまさかの離反、センチネルを攻撃し形勢は一気に逆転することとなりました。この流れもまた、非常に物議をかもしたものです。メガトロンが裏切るのはシナリオの中でしっかりと描写があり予想できたのですが、やはりプライム同士の対決でオプティマスには負けて欲しくなかったというわけです。私もそう思います。アイアンハイドを騙し打ちでしか殺せないジジイに我らのオプティマスが負けるなんて許せません。

しかし、ここでオプティマスが勝ってしまっては、二作目と展開が何も変わらないのです。テンプレを意識するのは大事なのですが、流石に結末まで一緒というのは考え物。また、シナリオは全体としてメガトロンがセンチネルを裏切るようなストーリーで作られており、オプティマスが勝ってしまっては彼の見せ場が何もなくなってしまいます。そう考えると、マンネリ化を防ぐためにもここはセンチネルを強敵に設定し、オプティマスにはこれまで散々無双してきたのでここでは苦戦してもらって、メガトロンを立てる。そんな流れになったのも理解できるのではないだろうかと思います。

終わりに

以上ここまで、トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンを絶賛してきました。こんなに褒めまくっていますが、ショックウェーブの最後など、実は許せない部分もまだあります。(目の神経みたいなのを抜かれる地味な最期はちょっとイマイチ……パンチで粉砕された方が私は良かったと思うのです……)

ともあれ映画は楽しんでなんぼ、どんな映画でもなるべく良い見方や、褒める見方をしたいものだと私は思うようになりました。

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