心に残る名作
時代を反映した作品
当時中学生の私は、このドラマに大変な衝撃を受けました。あれから約20年、このドラマを超えるドラマに出会っていない、というほど心に残るドラマでした。
まず、このドラマで初めてエイズや援助交際という言葉を知りました。エイズという治ることのない病気があるということ、その病気が援助交際、性行為により感染してしまうということ。当時ど田舎の中学生だった私は、かなり興奮したのを覚えています。
当時エイズは世に知れ渡り始めたころで、どういった経緯で感染するのかなど、まだまだわかりませんでした。学校でも少しは学びましたが、実際の例を挙げられるとわかりやすく、通常の生活では感染しないということもわかり、エイズに対する理解も深まりました。
未成年での妊娠、というのも時代を反映する内容だったように感じます。都会ではあんなことが起こっているのかと、大きな衝撃を受けました。
ドキドキハラハラの禁断の恋
現実ではあまりあり得ることのない、一般人と芸能人の恋が想像を描き立たせました。
ファンだった人と一夜を共にできる、ということだけでなく、その人の子供を身ごもるという、現実ではあり得ることのない設定は、多くの人に希望を与えたと思います。ドラマだからできた設定とは思いますが、今まで妄想してきたことが現実になったような、やっと来たか、とうれしくなる設定のドラマです。
恋の障害となるのが、エイズだけでなく、人気歌手との三角関係というのも、続きを観たくなるような展開でした。一般人が人気歌手と恋の相手を争う、現実ではそんなことあり得ない。でもそれがドラマだとあり得てしまうのです。
ラストがさらに泣ける!
最後はハッピーエンドで終わるのだろう、エイズという不治の病もなんとか解決するのだろう、と思っていましたが、結局最後は主人公の死。唯一の救いは生まれた子供にエイズが感染していなかったということでした。
しかも泣けてしまうのは、子供が生まれ、結婚式の場で子供がエイズに感染していないとわかり、それを伝えに行ったところで亡くなるという、まさに涙を誘う流れ。。。
ハッピーエンドを期待していたのもありますが、幸せな場での主人公の死というのは想像以上に体力が奪われました。エイズにはやはり死しかないのかという現実と、子供を置いてなくなってしまったということ。自分のことではないのに、心になにかが引っかかって、もやもやとした感情を今でも残しています。
トータルで考えると感動できたドラマだったといえますが、全話を観るにはかなり体力が必要だと思います。内容を想像しただけで泣けますが、その分体力を奪われ、良い意味で疲れるドラマです。
感動をさらに高ぶらせる音楽
主題歌が、活動を休止していたLUNASEAの復帰作としても話題になりました。
ドラマの内容にあった美しい曲で、物語の終盤にかかると気持ちが高ぶり涙を誘います。いまだにこの曲を聴くとドラマを思い出し、泣けてしまうほどです。
また、挿入歌も良い味を出していました。
歌っていたのは工藤静香ですが、ドラマの中では仲間由紀恵が歌手という設定でその曲を歌う場面も、ドラマの設定をさらに際立たせていました。
ドラマ発の音楽というと一過性のもの、というイメージがありますが、このドラマの音楽は、主題歌にしても挿入歌にしても、今聴いても素晴らしく感動します。
キャストが豪華!
当時出始めだった深田恭子をはじめ、人気俳優の金城武、仲間由紀恵など、今を時めく俳優陣で固められています。
若々しくてピュアな主人公の深田恭子ちゃんは、とにかくかわいくて、ドラマの中でコンサートチケットのために援助交際をしてしまうような子には見えません。
ただ、そこがポイントで、そんな普通の女子高生でも援助交際ができてしまう時代、簡単に性行為を許してしまう時代、当時の世相を表しているドラマだったと思います。
深田恭子ちゃんのピュアな演技に、金城武の色っぽい大人の雰囲気。キャストのおかげでぐっと物語に入り込めます。
最後に・・・
このドラマを観て感じることは、エイズは恐ろしい不治の病であるということ、安易な性行為(援助交際)は人生を狂わしてしまうということ、それでも人は愛があれば乗り越えられるということです。
ドラマの主人公が安易な考えで援助交際をし、それによりエイズに感染してしまうというのはとても愚かですが、そこからの主人公の生き方、この子はエイズに感染しなかったらきっと命の大切さも、人を心から愛することも、家族との絆も感じることがなかったかもしれません。
私はこのドラマを観て、命や愛について学んだと思います。
当時リアルタイムで見たのが中学生でしたが、30代になった今見ても心に響くドラマだと思っています。不治の病×禁断の恋という設定は増えてきましたが、時代を象徴する内容、また、役者で固められたこのドラマは、先駆けといえるのではないかと思います。
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