キャラクターと世界観がたまらなく好きなアニメ
声優さんたちの演技がすごい
初めて攻殻機動隊のアニメを見たのは、10年以上前になると思う。当時スカパーに加入していて、なんとなくテレビをつけたときに放送されていたのが攻殻機動隊のアニメの1期だった。
深夜で他に見るものがなかったのだが、すっかりこの世界観に心を奪われてしまい、それからかかさず見るようになったのだが、時がたった今でも大好きなアニメだ。
関係ないけど、友達が家に泊まりに来たときに、一緒に深夜攻殻機動隊を見たんだけど、その友達も攻殻機動隊を見ていたようでなんか嬉しかった思い出がある。
攻殻機動隊というと、映像の美しさや音楽が賞賛されると思うのだが、改めて何度も見直すうちに、声優さんたちの演技が自分の中で重要になっていることに気付いた。
少佐役の田中淳子さんに、バトーの大塚さん、トグサの山寺さんなど、みなさん一流の声優さんで、他の作品でその声を聴いたことはあるが、作品によって違うキャラクターを演じられる才能はすごすぎる。なんというか、大人で、怒っているときでもパニックにはならない冷静さ、包容力や器の大きさ、頼りになる感じ、もう私にとって攻殻機動隊のキャラクターの声は1期と2期の声優さん以外にはありえない。
わたしはアニメ版のバトーが大好きなのだが、メタルギアソリッドのスネーク大佐でもなく、ブラックジャックでもなく、バトーの大塚さんの声が聞きたいがために攻殻機動隊を見てバトーの声を「聴いて」しまう。
近くに、大塚さんのモノマネができる友達が誰かいないかなあ。いたらずっとその声でしゃべってもらいたい。
1期との違い
1期の笑い男事件は、ひとりの少年が始まりだったので、2期と比べると1期のほうが少しだけソフトなイメージがある。ソフトといってももちろん9課のメンバーはタフな戦いを繰り広げるのだけれど。
本作は1期から2年後が舞台となっていて、個別の11人というテロリストたちによる事件がおこる。彼らはお互いに殺し合うことになり、首が切おとされるという残酷な描写もある。そしてそんな彼らの姿は1期のイメージを一変させる。なんというか全体的に灰色という印象を受けた。
そしてオープニングについてもひとこと言いたい。1期も素晴らしかったがこちらも素晴らしいからだ。わたしのお気に入りは後半に荒巻以外の9課のメンバーが一列に並んでいるところと、最後ににみんなが歩いているところを下から煽りで少佐の顔がアップになるところ。黒づくめの服装といい、大人なメンバーが最高にかっこいい。
子どものころ夢中になってテレビでアニメを見ていたけれど、攻殻機動隊は大人になった今でも夢中になって見ることが出来る。
少佐とクゼの関係
このシリーズにはクゼという男が出てくるのだが、少佐の過去を思わせるエピソードもあり興味深い。2人のロマンスのようなものをほんの少し期待したのだが、やはり少佐は少佐なのか。
最後のクゼの姿がとても切ない。
最後にあの場面で少佐が間に合っていたら、あの後ふたりはどうなっていたんだろう。
ちなみに、アニメではバトーが少佐に思いを寄せているように感じる描写があるが、わたしはそれも好きだ。抑えられた描写だけれど、もっとあってもよいくらい(笑)
ストーリーは難民問題という政治が絡む話なので、わたしには難しい部分も多いのだが、それでも彼らがどんな行動を起こすのか目が離せない。
クゼと相対する少佐、少佐を助けに走るバトー、総理と行動を共にする課長にトグサ、プロト。けがをしたイシカワなど9課のメンバーそれぞれがスタンドアローンとなりひとつのエンディングに向かっていくクライマックス。
また、ラストには宗教的な表現もある。バトーが少佐を助けるために持ち上げていたガレキは十字架のように見えるし、少佐とクゼの2人はリンゴを手に持っている。そしてそのリンゴを持つクゼの手のひらにはバトーと戦ったときの銃弾の跡がある。まるでキリストが磔になったときにできた聖痕のように。
この問題を誰がどうやって解決されるのか。
1話から見ていくのは時間がかかるけど、どのエピソードもかかせないものだ。
1期のときもそうだが、ラスト1話になるところでいつも思う。あと1話で本当にこのストーリーが完結するのかと。30分にも満たないラスト1話でこんな大きなストーリーをまとめられるのか、と不安になる。
でもそんな心配はなく、結末は迎えられる。そしてただ終わるのではなく、想像した以上の驚きと感動を与えてくれる。
攻殻機動隊の制作にかかわったスタッフは、本当に攻殻機動隊という世界を愛していたのだと思う。アニメの現場がどういうものかわたしにはわからないそが、自分もこのような作品に人生の一度でも関わることができたら、どんなに素晴らしいのだろうと想像してしまう。
アニメは架空の世界だけど、たしかにそこにはひとつの世界があって物語がある。
始まりがあって終わりがある。素晴らしい物語に出会えたことをとても幸運に感じる。
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