浦安鉄筋家族の根底にある温かさに感動
浦安を舞台とするドタバタコメディ
浦安鉄筋家族は、お父さんがタクシー運転手で、その子供たちをはじめとするドタバタコメディです。
末っ子の『小鉄』が学校の友達や先生と繰り広げるハチャメチャコメディです。
ところどころに時事ネタがまざっており、誇張された有名人の姿についつい笑ってしまうのですね。
注目すべきは、大鉄のハチャメチャぶり
一家の主の父というと、どの少年漫画でも『立派でなければならない』というイメージがあります。
でも、こちらのお父さんはぶっ飛んでいます。タクシー運転手のお父さんが、駅前まで行きたいというお客さんを乗せるのですが、なぜか浦安家に到着してしまいます。
その理由は、『俺が昼めしを食べたいからだよ!!!』駅になんか行ってられっか!ってことでしょうね。また、ヘビースモーカーなのでタクシーの中が煙でモクモク…というなんともすごいお父さんです。
安心感をもって見ることができる
真面目に働かないお父さん・確実に学級崩壊を起こしているであろう小鉄のクラス、アニメオタクで引きこもりのお兄さん…。
友人は貧困家庭…。
一体どこから生活費が出ているのか…?
お兄さんも小鉄もこれから先大丈夫なのか?
なんだかこれだけ見ると、まるで『家庭崩壊』『現代の闇』という字が浮かぶ方も多いかもしれません。
しかし、この話にそんな暗い要素は一切ありません。
子供を小さいころから塾に入れ、私立に行かせ、
夫には有名企業で出世することを求め、
教育環境の充実したエリアに家を立てたいと考える方が増えてきている今、
彼女たちにとってみれば、引きこもりや学級崩壊などは、もってのほかということでしょう。
では、果たして本当にそれは悪いことなのでしょうか?
子供たちが、お友達と喧嘩をしながらも毎日遊び、
お金持ち、貧乏関係なく一緒に遊ぶ…。
いつしかそんな光景は見られなくなってしまったように思います。
私は、有名私立に通う一家よりも、小鉄一家のほうがずっとずっと幸せそうに感じるのです。
そして、『ああ、私は、私のままでいいんだ』と安心感を得ることができるのです。
この漫画には、
『みんな違ってみんないい』
そいう思想が根底にあると思います。
そして、その雰囲気を作り出しているのは、浦安家のお母さんの存在だと思うのです。
家族を大きく優しく包み込み、一人一人の個性を認め、ちょっとしたことは笑い飛ばすような母の下で、家族毎日をも安心して過ごせていて、それが幸せそうにうつっているのではないでしょうか。
そして、それこそがこの漫画の人気につながっているのだと思います。
この漫画で大笑いしたあとに、自分自身を認めてあげて、今よりちょっぴり自分を解放してあげたいな。
そんな風に思える漫画です。
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