テイルズシリーズの中でも胸が熱くなる作品
ルークという存在
ローレライのスコアによって星の未来が決められていると信じられていた時代。惑星オールドラントでは、スコアの導きのもと人は生きていっているかに思われた。それを覆そうとした2つの意志の物語。それがこのテイルズ・オブ・ジアビスである。
7年前に誘拐されてから、それ以前の記憶がなくなってしまったというルーク。彼は、家で軟禁状態の生活を送っていたため、唯一剣を教えてくれるヴァンだけが心のよりどころだった。そんな彼の運命もまた、ヴァンが握っていた…
ルークはね…記憶がないというか、あるわけないんだよ。アッシュのレプリカだからね。それをできるだけばらさず、アッシュとの見た目の違いもつけていた、あの構成はうまかったなーと思う。というか、ルークは自分が救われたくてしょうがなかった。だからこそ、ヴァンに言われた通り行動することが、自分を認めさせることなんだと信じて疑わなかった。無理もない。だってルークはレプリカという、人間ともまた違う生き物なのだから…すげー残酷だよね。ルークは自分の存在意義を、本当に意味で見失う。たくさんの人を殺したその事実からは決して逃れられない。許されない。それがたとえヴァンに騙されたからだとしても。それを認められないルーク。自分が悪いんじゃないって、俺は、言われてやっただけなんだって…苦しい。ルークの態度は確かにムカついたけど、残酷すぎるでしょって思ったよ。ゲームでもやったことがあるけど、この時の辛さと言ったらもうひどいもんだった。
だけど、ティアのおかげでルークは立ち上がる。必ずヴァンの野望を打ち消してみせると。ダメダメな自分を「変えたい」と本気願った。そこからのルークはもうただただ優しくていい奴で。ぞわっとするような気づかいもできるようになった。覚悟が決まると行動が決まる。まさしくこのことだと思ったね。
それぞれの持つ野心
ティアはヴァンを止めたかった。たくさんの命を奪うようなこと、そしてルークをこれ以上追い詰めるようなことをやめてほしかった。彼女は強く、そして勇気ある女性だね。そしてこの物語のヒロインとして、ルークを支え、最後まで信じていた人だった。まぁ星の運命をかけた戦いのさなかなので、恋に関しては随分とマイルドだったけど。ティアの歌声、めっちゃ好きだった。メロディーも声質も。しばらくリピートして聞いちゃったよ。
そしてヴァンもね。ヴァンは星の運命がスコアによって決められているのだと信じた。だから、星ごと壊そうと思ったんだ。彼なりに抗いようのないものに悩んで、仲間と共に野心を燃やした結果だったと思う。大半の人から受け入れられないとしても、成し遂げたいことがあるっていうのは、それ自体は悪い事じゃないと思うんだよ。ただやっぱり、命を奪う方法に打って出るのはどうしても受け付けないし、それが必ず人を救うとも限らない。だって星の運命を人がどうにかするなんてことはできないじゃない。星が終わったら、そこに生きるものたちも終わりなんだよ。
ガイの話は本当に…ぐっときたね。ルークの家に仕えていたのは、復讐のためだった。ホドの生き残りのガイ。憎むべきはヴァンだとわかっていても、ルークなどレプリカのために亡くなってしまった人の事を想うと、絶対にやるせない。それでも、ルークを友として大切にする、ガイはいいやつだ。そしてキャラクターと技的にも重宝したよ。俊敏性が高いからさー。ゲームでね。
アッシュとナタリア
アッシュとナタリアには、幸せになってもらいたかった。これはガチで。小さなころの回想シーンを思い出すたび、そしてナタリアの本当の父親が六神将のやつだったことも含めて、因果を呪う。ナタリアはただ、アッシュを大切に想っていたし、アッシュだって忘れてなかったよ。だけど、この星の命運をかけた戦いに命をかけると決めていたアッシュは、ナタリアのもとに戻るわけにはいかなかったんだよね。悲しい思いをするってわかっているから。ツンデレのアッシュが好きだったし、ナタリアのツンデレ具合も好きだったから、どうにか生き残ってくれたらと思っていたけど…アッシュそのものはいなくなってしまったのかもしれない。
最終的にルーク一行と共闘できてよかったし、たぶん、最後に生き残って帰ってきたのは絶対にアッシュの体だから…それだけはよかったと思ってる。ルークが自分の愛した人じゃないって子どもながらに気づいていたナタリアはすごい。愛の力ってやつかな。家追い出されたりいろいろあったけど、ルークにも、そしてアッシュにも支えられて、ナタリアがいてくれたこと。嬉しく思う。アッシュの事を考えたら、絶対守ってやんなきゃ!って思うもの。26話しかないからそんなに語れないかもしれないけど、ナタリアとアッシュがもっとお近づきになれていたらもっと嬉しかったな…もちろん、近づく分、離れた時の悲しみは計り知れないけれど、頭がいいからか、離れなければならないと理解するのが早すぎるんだって。
ジェイドってやつは
レプリカとわかれば、ジェイドは容赦ない。星のために死んでくれとまで言われて。残酷な人…でも、誰かが言わなければならない言葉を必ず伝えてくれるのがジェイドだ。自分の役割みたいなものをよく理解しているんだと思う。ルークがどうしようもない時期は本当にルークを殺すんじゃないかってくらいだったが、ルークの存在を認めてあげようってこともちゃんと考えていたはず。わざわざ自分が非難を浴びるような立場にさせて、みんなを動きやすくさせてくれていたんだろうね。さすが年上。嫌われ役を買って出てくれたのがジェイドでよかった。
メガネで長髪キャラ、そして頭がいいキャラっていうのはあまり仲良くなりたくないタイプではある。いい働きをしてくれるのは確かなんだけど、裏切りやすいポジションでもあるからね。今作では主人公のルーク自体が怪しい存在だったわけだけど、口では厳しいこと言いながら、信用もしてくれていたのはジェイドだと思うよ。あの大虐殺が起こってしまった後に、一番にそばに来てくれたのはティア、そしてガイだった。そのあとにジェイドがきたんだが、それは見守ってくれていたからこその順番だったんじゃないかな。
あれは…ルークだ!
ラストでやってくる赤髪・長髪の男。
約束したからな
といった彼は…ルークでしょう?賛否両論を呼んだこの結末。見た目はアッシュなのかもしれない。そこにルークの記憶が入って根本的にはアッシュなのかもしれない。ゲームのエンディングでは、アッシュ説が大多数だった。あの瞬間に手が動いたのだから、アッシュは生きている。レプリカであるルークは消えるしかないから…だけどアニメではルークっぽい…だって、そうじゃなきゃ、ナタリアがもっと必死に駆け寄ったっていいと思うんだ。アッシュなら、ナタリアと一緒になってもらいたいもの。ティアは、その人がルークだとわかっているよね?そうだよね?ジェイドの表情…好きだわ。
テイルズオブジアビスの世界観はちょっと難しめだ。スコアがどうとか、国がどうとか、さらに人と人ならざる者、人であろうと心人に在らずな人。いろいろな人がでてきて、物語を盛り上げてくれていた。最終的な敵が敵ではないようなところも、理解しがたいところだろう。このアニメを楽しめるようになったら、それこそ大人の階段を上ったことになると思う。
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