チュー祭り
チューに違いがないんですけど
この映画が公開されたときは、福士蒼汰くんがさんざん流行って、恋愛ものの映画が立て続けに公開されたときだったかなーと思う。キスシーンがめっちゃ多いということで、テレビでもかなり紹介されていた。話題になったのは階段での大和とめい。かわいいなと思った子へのキス、進展したいなと思う相手へのキスなど、気持ちのあるキスを次々披露していくのだが…違いが見ていて全然分からない。全部川口春奈さんの唇の左横ですけど。長さが微妙に違うかもしれないが、首の角度も含めて、違いがあるとは思えない…やられているほうには何か違いは感じられたのだろうか?
漫画の中では、本気チューとやらは唐揚げの味がしたそうだ。たぶん、舌でも使ったかと思うが、そのあたりはこの映画ではマイルドだったね。
福士蒼汰くんが人気すぎて、あらゆるチューの種類がテレビで特集を組まれた。テレビ番組関係者も必死やなーと思うが、くだんねー…と思った自分がいた。そこじゃないのよこの映画。学校一のモテ男の黒沢大和と、学校一孤立している橘めいが、どうやって恋に落ちて、そして心通わせていったのか、そしてめいがどう変わっていったかがおもしろいのに。モテ男の大和にだって悩みがあって、めいにはそれを埋める強さがあった。だから漫画は流行ったし、映画になったっていうのに。キスばっかり注目しやがって…知名度は上がったが、中身を軽視するのはやめてほしいと思った。
漫画を映画にするとこんなにかゆい
漫画ではね、ニヤッとするくらいでおさまる。しかしそれを映画にしたらこんなに恥ずかしいのかと焦った。少女漫画の映画化なんて腐るほどみてきたというのに、気持ちが落ち着かないのはなぜだろう。とにかくかゆい。一瞬目を背けた。たぶん、福士蒼汰くんという俳優が落ち着いた草食な雰囲気なのに、大和の軽さや強引さが若干合ってないからだったと思う。それこそ前半が恥ずかしすぎた。
後半になってくると、大和なりに本当の意味で自分をさらけ出せる人がめいしかいないということがわかってきて、めいを本当に大好きなことが伝わってくるようになる。そうすると、演技も本来のキャラクターも落ち着いてきて、見やすくなった印象があった。って福士蒼汰くんが本来どんな人であるかなんて知らないんだがね。イメージだよイメージ。前半が怒涛にキス祭りをやりすぎてかゆすぎたのだ。
愛子はハマり役だなーと感じたが、あさみはちょっと合ってなかった気もする。ギャルさはうまくできていてよかったが、めいへの優しさが伝わりづらかった印象がある。愛子のツンツン具合はうまかったなーと思うし、漫画の通り、めいが悩んだときに大和にストレートに文句をつけれる、強い愛子は素敵だった。大和に対し、
おまえハードルあげすぎだ
めいのことを認めているのが良く伝わる、いいセリフだよね。できないなりに、めいががんばっていることも理解していて、ペースを合わせてやることが大事だと大和に諭している。姐さん…!マサシや中西は見た目が合っててよかったと思う。
海くんはもっとダメっぽくてかっこいい
大和には不穏分子が大量にいるが、めいにとってはやっぱり海くん。めいと同じいじめられた境遇を持った同い年。海くんは自分をいじめた奴らに復讐しようと体を鍛えて、この高校に入学してきた。だけど、やり返してしまったらいじめてきた奴らと変わらない、とめいに諭され、やり返そうとしていたことがくだらないことだと気づく。同じいじめに遭ってきたにも関わらず、前を向いて歩いているめいに、海くんは恋をしてしまったのだ。「同じ境遇の俺なら、絶対にめいを幸せにできる。人気者の大和には絶対分かり合えない部分がある。」と言う海くん。海くんは大和の中学校時代の友だちであり、自分が助けてあげられなかった人物でもある。大和にとっては負い目があるし、でもめいのことは絶対手放したくなくて…そんな悩みを吹き飛ばしてくれるのが、やっぱりめい本人。
大和と出会って初めて人を好きになれた
めいは、一人でたくさん考えて、今の答えを導き出している、強い子なのだ。これからもっとめいを知ってもらえば、もっと世界が変わってくるはず。大和が連れ出してくれたから、今のめいがあるのだ。海くんは失恋してしまったが、大和にとっての唯一の危険分子だったので、映画にはなくてはならない存在だ。ただ、海くんはもっとこう…いかつい見てくれだけど弱そうな、優しそうな表情がある人だというイメージがある。なので、この映画での海くんはちょっとカッコ良すぎたなーとは感じる。
めいからの告白シーンよかった
モデルの仕事をやるようになった大和と距離を感じてしまっためい。だけど、愛子にも諭されて、気持ちを伝えためいの告白シーンは一番良かった。ネクタイ引っ張るキスシーンのことは知ってたが、実写になってもこんなにいいシーンになるとは。驚きだったね。川口春奈さんが一番かわいく見えた…。好きな人に気持ちを伝える時、絶対走っていくよね少女漫画。見飽きているのにネクタイ引っ張りが良すぎて忘れたよ。
あと、もちろんキスシーンもよかったんだが、自分としては抱き合うシーンが好きなんだよね。なんかこう…愛情がこもってる感じがリアルっぽくて。ぎゅっとした感じとか、頭なでてる感じが。そりゃー熱愛報道も出るわ。愛しい…!という感じがちゃんと出ているのって、やはり演技がうまいからなのかな。日本アカデミー賞も受賞しているし、ただカッコいいだけじゃないということだろう。噂によると、福士蒼汰くんは常に共演した女性との熱愛報道が1回は出ている。全部デマっぽいが、それくらい仲良く見えるのはすごいことだ。
また、中西のあさみへの告白も割とよかった。大きい胸も好きだけど、性格も好きだ!好きになった部分のどちらが最初かはわからなくても、あさみにとって中西はヒーローになれた。ごちゃごちゃしてても、必死に気持ちを自分の言葉で伝えるって大事だね。
好きっていいなよじゃ足りないでしょ
「好きっていいなよ」をどこで使うのか。それをずっと待っていた。漫画の中ではいまいち使わないもので、映画ではそれきりになるだろうからどこかで使ってくれるのだろうと思っていた。ラスト、大和からもらってばかりで何も返せてないと言うめいに対し、
好きっていいなよ
が出てきた。おおーここで使うんだー。で、好きだと伝えるめい。かわゆす。そのあとすぐエンディングになるのは実にもったいなかった。その瞬間だけ加工するとか、何かしてくれてもよかったのに…ただいつも通り、手をつないで帰るめいと大和がいて、時間が流れて終わった。余韻が足りない終わりであった。
漫画はまだまだ続いているが、映画は2人のわだかまりがとけてカップルらしくなったところで終了。確かに本編ではもう続きすぎてだらけているような気もしているし、映画はこのくらいでちょうどいいなーと思った。大和とめいが、わかりあえるまでが心ときめいたし、海くんという横恋慕をすっと避けて2人の関係が強くなるところがいいんだよね。そして、めいが大和のおかげで友だちをつくり、孤立をやめ、人として成長すること。一方の大和も、めいのおかげで本当の弱い自分を認めたり、彼女を大切にしたいときの行動の仕方を覚えて、めいをもっともっと好きになっていく。2人はこの恋で大きく成長を遂げることができた。
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