ふしぎの国のアリスを見ての感想
本作の特徴
全体的に見て、コメディ色の強い作品だと思いました。女の子を主人公にしたディズニー映画にしては、非常に珍しいと思います。例えば、シンデレラや白雪姫は感動的要素を強調した作品です。それと比較してみるとこの作品は、コミカルな要素が強いと思います。どちらかというとミッキー、ドナルド、グーフィーの短編映画に近い感じがました。シュールですこしブラックな笑いが取り入れられていました。この映画の公開日は1951年となっていますが、この年代であの高いクオリティの笑いを表現できるなんて、ほんとにすごいなと思いました。現代の日本のお笑いと引けを取らない、もしくはそれを上回る笑いのセンスがあると思います。物語の最後は夢オチでしたが、ここまで納得のいく夢オチはなかなか無いと思います。アリスの昼寝だったという最後の最後までギャグ路線を突っ走った、コントのような作品でした。
登場キャラクター
アリス
私は数あるディズニーキャラクターの中でも、アリスは最も魅力のあるキャラだと思います。可愛らしい顔立ち、きれいな金髪、細身のスタイル、爽やかなメイド服と完璧なルックスを誇っています。実際こんな子がいたら、男にちやほやされるのが普通でしょう。しかし、他の作中のキャラは、そのアリスの容姿については一切触れず、惚れるような描写もありません。また、まともにアリスの力になろうとするキャラもいません。ここがアリスの魅力であり、本作のみどころの一つだと思います。また、他のディズニープリンセスはパートナーの王子様がいますが、アリスにはそういった恋人は存在しません。そこも、男性ファンを引き寄せる魅力の一つだと思います。そもそもアリスは公式的にディズニープリンセスに分類されていません。いかにも我が道をゆく一匹オオカミといった感じがあって良いと思います。
その他キャラクター
その他作中キャラはほんとにぶっ飛んでいます。まさに不思議の国の住民といった感じです。単に見た目がそうというだけでなく、性格もぶっ飛んでいます。アリスが喋っているのに、いきなり大声で変な歌を歌ったり。自分が言ったことを、アリスが同じように言うと「こいつ、いかれてますぜ」と言ってみたりと。あの失礼でシュールな笑いは、現代のお笑い界にも引き継がれていると思います。まさにお笑い界の大先輩といったようなキャラ達でした。
絵
この作品を見て、ディズニーアニメーションはほんとにすごいなとつくづく思いました。50年代のアニメであのクオリティです。私はつい最近まで、90年代くらいに制作されたものだと思っていました。今見ても「昔だな」「古いな」という感じがありません。並外れた画力と、最先端の技術が組み合わさってあの高いクオリティが生まれるのだと感じました。
また、単に絵がきれいというだけでなく、キャラの表情や動作も細かく表現されていました。アリスが一瞬ムスっとしたり、鳥のドードーがトカゲのビルを雑な感じで煙突に押し込んだりと、絵では表現しずらい、細かい動きを鮮明に描写していることがわかりました。
また、私はディズニー映画を見ている時に、「知り合いにこんな顔の奴いたな」と思うことがよくあります。リアルな絵のタッチでもないのに、こういう風に思うということは、それほど絵に個性があるということです。現代の日本アニメを見ていると、髪型や目の色でしか区別がつかないような、顔が統一されたキャラが目立ちます。それと比較すると、ディズニーアニメはキャラ一人一人の顔も工夫して手がけているんだなと感じました。
音楽と演出
本作にも、ディズニー映画特有のミュージカル要素が取り入れられていました。序盤の、アリスがお花畑に寝転がり「私だけの世界」を歌うシーンは、とても美しく、アリスの魅力を一段と引き立てていると思いました。それ以降のミュージカル調のくだりは、美しさよりも、コミカルさを重視しているように思えました。一回聞くと耳から離れない、現代の一発屋と呼ばれるお笑い芸人のネタと共通するものを感じました。また、トランプ兵が「バラを赤く塗ろうよ」を歌っていて、アリスが途中で割って入ってくるくだりは、ノリが良く、盛り上がる演出だと思いました。
まとめ
この作品は、悲しみや教訓のような説教がましい要素がなく、何も考えずに見入ることができる素晴らしい作品です。また、女性が主役のディズニー作品にしては珍しいコミカルさを重視した作品でした。絵や音楽、演出などもハイクオリティで、ストーリー以外にもみどころの多い作品です。また、長編ディズニー映画にはあまり見られない、ミッキー、ドナルド、グーフィーがやるようなブラックかつシュールな笑いも取り入れられていました。アリスには本作だけにとどまらず、他のディズニー映画にもゲスト出演してほしいです。ミッキーマウスクラブハウス2期が決定することを願っています。
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