アバウトタイム
タイムスリップについて
タイムスリップは一見、夢のようなことですが、私はこの作品を通してタイムスリップの残酷さを感じました。何か上手くいかなかった時など確かに時間を巻き戻せたら、何度もやり直しがききますが、全てうまくいくというのは人生にとって本当に幸せなことなのでしょうか。失敗から学ぶこともあれば、失敗から損失することもあります。しかしそれが後の自分の基盤になっていくのではないのでしょうか。この映画の主人公は失敗を恐れ、失敗したら戻ればいいと甘い考えをもっており、とても貧弱な男に見えてイライラしました。
運命の人との出会い方
主人公の彼は最初、顔の見えない暗闇のバーで彼女と運命の出会いを果たします。私はとてもロマンチックだと思いましたが、またもや別件でタイムスリップを使いそのロマンチックな出会いがなかったことになりました。その間に彼女は違う場で他の男性と出会い、付き合ってしまいます。それを阻止しようと試みるのですが、やはりその間も何度もタイムスリップを使用し、上手いこと彼女と上手くいくまで戻り続けていました。いい雰囲気になり、部屋でセックスに持ち込んだときは彼女を気持ち良くさせようとセックスの間も何度もタイムスリップを使っていることには男の欲望を感じました。きっと男性は誰しもが、タイムスリップを使える能力があるならば、セックスの際に何度もタイムスリップするはずです。そこはうまく表現してると思いました。
父との別れ際
お父さんの末期ガンが分かったときには、どうタイムスリップを使用するのかはだいたい想像つきましたが、彼の奥さんのお腹には赤ちゃんがおり、出産してからその前にタイムスリップしてしまうと赤ちゃんが別人に変わってしまうという障害で、父とのタイムスリップでの時間にリミットがあることがとても感動的で、主人公を強くさせた事実だと思います。私なら父の末期ガンが分かり、タイムスリップする力があったとしてもタイムスリップは使わないと思います。父とやり残したことなど確かにたくさんあるし、何度でもタイムスリップを使いたいとは思いますが、それは過去を塗りかえることで、傷をつけることだと思うからです。過去にたくさんの写真を残し、記憶や胸にはかすかながらも楽しい思い出や辛い思い出が刻まれています。今の父が今の姿で存在しているのも、過去があるからです。主人公も父の死後は一切タイムスリップを使わなくなったということで、私と同じ気持ちに気づいたからではないでしょうか。
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