たくさんの命の上に平和があると知る - PEACE MAKERの感想

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PEACE MAKER

4.254.25
画力
4.25
ストーリー
3.75
キャラクター
4.25
設定
3.50
演出
3.75
感想数
2
読んだ人
2

たくさんの命の上に平和があると知る

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
3.0
演出
4.0

目次

ガンマンの運命に囚われていくホープ

デュエル(決闘)によりファイトマネーを稼ぐ命知らずのいる世界。たった1本の銃で目の前の相手をぶち抜く。「ゴングのなった瞬間にどちらが速く相手を戦闘不能にできるか」という単純なバトルに、これほど命をかける男ってやつは…どうしようもないね。自分の命をかけた賭博にどうしても参加しようとは思えないホープ・エマーソン。彼は兄のコール・エマーソンを探して旅をしていた。そこで数奇な運命か、有力な手掛かりを持つニコラ・クリムゾンに出会い、そこから何年にも及ぶ彼らの闘いの旅が始まるのです…

序盤からコールがどこにいるのかはネタバレしていたし、短期決戦も予想されましたが、事態は2部構成の長い闘いとなりましたね。核兵器というとんでもないもののありかを握るニコラと出会ってしまい、ホープがかわいそうだなーと思いましたが、結局はコールに会うということはこういう血みどろの闘いに身を落とすことに変わりなかったのです。でももしかしたら、会うタイミングがもっと前だったら、むしろ仲良く平和のために生きていくこともできたんじゃないかって…せつないよね。なんだかんだ言って、クリムゾンファミリーみんながフィリップ・クリムゾンの支配下にあったわけではないのだし、それぞれに背負うものがあって闘っていたんですよ。全員が完全な私利私欲で動いていたわけじゃない。究極に悪い奴らはその辺のチンピラか荒稼ぎの賞金首ぐらいなもので、それぞれがそれぞれのプライドを胸に大きな敵と闘っていました。男くさい話ですよ。

衝撃のビートの死

ホープはニコラに出会い、カイルに出会い、そしてビートに出会いました。ビートも腕利きの銃士。ニコラを追うクリムゾン一族を退け、それに関係する悪そうな連中を次々倒し、二人三脚で守っていきます。ホープとビートはお互いの銃の能力の高さを認め合い、いずれは頂点を決める大会で対戦したいとビートは願っていた。そんなビートが、まさかその頂点の闘いでコールに殺されちゃうとはね…重要な登場人物を殺す漫画って本当にイライラするけど、それくらいの衝撃があったからこそフラフラしてたホープも変わり、そしてニコラやカイルも変わっていったわけです。それ考えたら、ビートの死は決して無駄なんかじゃなかった…そう思いたいね。

そしてビートを失い、自分もコールに打たれたことよって、ホープは本気で銃を極める道に入ったし、ニコラもまた子どもだった自分を捨てて銃士として強くなることを決める。5年も時間が経つとは思わなかったけど、新たな登場人物たちを加えつつ、ただの殺し合いを極めるだけでは終わらない範囲まで、事態は広がりを見せます。まさに国家レベルで事が動いていく。世の中の悪い奴らの構図は5年経過してもそれほど変化せず、むしろ分厚くなっていた。ホープは恨みの気持ちを糧にしたからこその邪気をまとっていたと思うし、ニコラはホープやホープの父親が託したピース・メイカーを引き継いで、人殺しをしない銃士を貫いていく。コニーも仲間に加わって、第2部から楽しさ倍増してきます。

子どもだったニコラ・あまちゃんだったホープが強くなって帰ってくる

子どものときのニコラがとにかくイライラするのよね。確実に真実を知っているにもかかわらず、それを口にすることを恐れ、たくさんの人に迷惑をかけた。たくさんの人が死ぬことになったし、ビートも、そしてホープも失ったと思った。ジェシカが意味深な言葉しか残さないからこんなことになったんじゃないかって思いましたよ…!信用できる人間すら、彼女には残らなかった…?コニーがいたじゃない。もっとスマートにやれたんじゃないの…?ただホープ・エマーソンに会うことだけを遺すなんてさ、子どもにはわからないじゃない。

何も知らなかったホープは本当にかわいそうで、ただ偉大なる父の血を受け継いでいるからという理由だけで本当にたくさんの厄介ごとに巻き込まれることになった。大切な友だちも失った…。5年経ってみて、失うことの怖さも知ったし、失わないように努力することの大切さを知った。時には人の命を奪うことですら、いとわない人間になり下がるしかなかった。ピース・メイカーを持つ資格がないって言ってた時、あぁなんでこんなことになったんだろうねって思ったよ。

そんな2人が、5年かけて銃士として強くなり、人間としても厚みを増して帰ってきて、コール・エマーソンを目指して駆け上がっていく。目標とするところが明確に見えているから、前より断然闘い易くなったよね。ただ逃げていた5年前とは違い、明確にその場所を目指していけば必ず会える。自信をつけ、女らしく、強く、たくましくなったニコラ。そしてためらいのなくなったホープ。もしかして2人が刺し違えてしまうかも…ってびくびくしながらも、展開的にはかなりおもしろくなってきます。

ジェシカの望んだことが起きた

ジェシカは愛弟子のコニーにニコラを託していた。その時の回想シーンったら泣けるよね…生き残れた時点で、絶対仲間になってくれるだろうなーっていう気はしていました。案の定、コニーはニコラが成長するために本当によく働いてくれました。夜眼族という、なんか強そうな一族の生き残りということで、なんだかコニーだけファンタジー入ってるんじゃ…という気もしましたが、敵の中にありながら協力してくれる人物って魅力的だよね。結局駒として捨てられてしまったけれど、そのおかげでより自由になれたし、ニコラを育てることもできた。ジェシカの

この子のために 生きたい

という気持ち。理解できたんじゃないかな。そして、カイルとの間に9人も子どもをつくるという所業をしてくれました…!絶対コニーが攻めだよね…!ここは譲れない。

ただの兄弟でいられたらどんなによかったか

コール・エマーソンの過去も分かり、もうこんな闘いやめようよって思ってしまった…協力してみんなを守っていくってことができないんだろうかと。結局、コールとホープはデュエルの決勝戦に立ちます。猛者たちとの闘いを制して、最後の場に。ラストでは、「殺すときは悪魔だけ」と決めていたホープが、もう一度その考えに立ち返ってくれるかもって思っていたけど、コールとの本気の真剣勝負になってしまったね。正々堂々、情けなしで挑むっていうことが美徳とされてるし、しょうがないのはわかっているんだけど、ニコラのおかげで邪気のなくなったホープなら、なんか違う方法を見つけてくれるんじゃないだろうかと淡い期待を抱いていました。悲しいことに、コールに敗れてきた者たちの想いも託されたホープ。その舞台に立つことがビートへの弔いでもあるわけです。土壇場で迷いを吹っ切り、平和のために銃を使うと決めます。

物語のラストは20年も時間が経過してしまっていました。デュエルは相打ちで幕を閉じています。しかもニコラが首相…!?どんな展開だ…しかも、世の中は決して完全なる平和にはなっていないのです。核兵器が世に放たれ、実験を繰り返し、その脅威を盾に国と国が交渉をしています。まさに現代社会を風刺しているみたい。しかし、昔と違うのはむやみに人を殺したりする時代は終わったということ。理不尽や、愛のない行動をとる人がぐっと少なくなった世界で、昔たくさん人を殺めるしかなかった人も穏やかに暮らすことができている。交渉で解決しようとする人がいる限り、平和だと言えるのかもしれないなーと思いました。call hope

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犠牲の上に決断する人間の弱さと強さ

何を信じるべきかを決められなかった昔の西部劇アメリカの古い映画の中にあるガンマン。それに命をかけて戦い続けた人々を描いた物語になっている。古臭いけど、胸は熱くなる感じ。1本の銃でゴングと共に目の前の相手をぶち抜いてみせる。勝てばファイトマネーを手にし、負ければ死ぬか再起不能にさせられる。そんな危険なデュエルを避けようとするホープ・エマーソン。彼は、兄のコール・エマーソンを探して旅をしているだけで、決してデュエルをしたいわけではない。しかし、ニコラ・クリムゾンに出会ってしまったことにより、コールに近づくとともにデュエルのたたかいの渦にのまれていくのだった。運命って怖い。コール・エマーソンはクリムゾンファミリーの中にいたし、早いうちに再会できるのかなーと思っていたが、そうはならず…まさかの2部構成で長い闘いになっていった。自分が伝説の名銃士の息子だからという理由で、数々の銃士に狙われること...この感想を読む

4.54.5
  • kiokutokiokuto
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