エロいだけじゃないおもしろさがある
おかしな学園物語
容姿端麗・文武両道・告白した女子の数は知れず…完璧なる高校生・蓮。一方、一つ違いの弟である澪はコミュ障でアイドルオタク・傷ついては家出をする男らしさの欠片もない奴。心の支えは優しい兄の蓮だけ…。ただ澪はメガネをやめてコンタクトにし、髪を切ったら蓮そっくりに…!ってそんなことある?ただ、この二人はカッコいい。カッコいい男の子、かわいくてナイスバディな女の子ばかりが登場し、エロティシズムをふんだんに表現しているので、もはやその手の本なんじゃないかって気はしてきますよね。女の子が常に身悶えしちゃってるので…でもなんか読めるんですよ、この漫画。男側のほうが全然顔もうつってなくて、ほぼ女の子のあられもない姿が描写されるあたり、完全にそういうエロ本なんじゃないかって思っちゃいますけど、すべて女の子または澪の妄想で…そのギャップがおもしろい。あ、うん妄想ね、って安心する。
物語は、なぜか心を壊してしまった蓮に代わり、弟の澪が蓮の高校に忍び込み、兄の心を壊したと思われる「ワンダーラビットガール」を探して復讐することを決める、というもの。そもそもそんな女の子、どうやって見つけるんだ…??と思っていたら、次々澪によって来る女ども。罵られたい女子に始まり、お医者さんプレイを望む女、盗みを逆に責められたい女、視られたい女などなど…確かに、そういうエロ本ある気がする。ていうか、女の子の性癖を見抜いて味方につけることが生徒会長への道ってどういうこと?エリート学校の暇つぶしなの?作中で澪も頻繁に感じてるよね…こいつらいったい何なんだって…。澪が常識人みたいになっちゃうね。
ほとんど妄想物語
学校の勉強が難関すぎるとか、そういう話も全然なし。とにかく、ワンダーラビットガールを巡って澪と性癖の激しい女生徒が対峙します。たいして刺激したわけでもないのに、蓮そっくりの顔で澪が発する率直な言葉に、次々と昇天させられてしまう女の子たち…いや、澪はきっかけにすぎず、ほとんど彼女らが自分で頭の中だけで召されちゃってますけど?要は、そんなシチュエーションは許されない。そうわかっていても、心のどこかでそういう出来事が起こらないだろうか、その相手ならきっと蓮がいい、そうであってほしいとずっと願ってきたんですよ、彼女らは。今までずっと頭の中だけで思い描いてきた、自分だけのひそかな愉しみ。自分が想像できる限りの範囲で欲求を満たしてきた。そんな彼女たちが、憧れの相手を目の前にして、隠すことなく存分に発動できる喜び…この人にだったらすべてをさらけ出してもいいかもしれない…蓮、どんだけいい男なの…
人には誰しも隠しておきたいけれど誰かに見つけてほしいみたいな思いがあるのかもしれませんよね。しかし…妄想だけで満足できちゃうってどうなんだい…本物を知ったらどうなるんだろう…いや、そこまではきっと描かれないのだろうけど、少し興味を引くね。そこがまた男性ファンを増やすんだろうか…。どのフェチもずいぶんと不純なにおいがプンプンしますしね。こんな女の子いたらいいなという男の子の欲望、女の子の攻められたい欲求がうまいこと表現されているように思います。
イケメンがおいしい
とにかくね…イケメンなんです。澪も十分!できないことがあるほうが魅力的よ!庇護欲をそそるよ!兄もそんな弟が大好きなんだろう…?(ここがキーを握っているってことだよね…)兄も弟も二人とも素敵です。生徒会長は…ちょっと微妙。蓮を巻き込むためにワンダーラビットガールの情報などを与え、狂わせた奴だもの…。実は男子生徒の性癖リストもあったということで、生徒会長の“寝取られたい!”という欲求のために、イケメンすぎる蓮が選ばれたわけです。こいつのせいで蓮は…いや、さおりのせいでもあるんだけど…あんなことになったんですよね~…澪のせい、とは言えないよね。完全に巻き込まれただけじゃないか。蓮のためを思って行動してきた澪。自分の煩悩と必死に戦いながら、最後にはちゃんと兄を助けるため!と言い聞かせて妄想世界へトリップしていたところから戻ってきてくれる。いい子だ。だけど、事件が解決した後、これから兄と弟が兄弟らしく生活してくことができるのかがとても心配ですよ。
ちょっと不謹慎ですが、狂ったあとの蓮がまたアンニュイでせつなく、弟を溺愛しているのがよく伝わるのでいいよね…BL好きの心もしっかりとつかんでくれる、うまくできたお話ですわ。弟が他の女にとられるのを楽しむってどんな快感なんだろう…兄の気持ちはよくわからないね。リアルにおいても、美形すぎる男に対して、ちょっと一歩引いてみる癖がついてしまいそう…こいつも裏でなにやってるかわかんないじゃんって思っちゃってさ。
女ばかりはちょっと疲れる
「ワンダーラビットガール」は女の子の攻略物語。これだけオムニバスのように何人も出てくると、読むほうからするとちょっと疲れるよね。要はシチュエーションを変えて行為を楽しんでいる、という妄想をしてしまう、の繰り返し。物語の核心に迫っているのかどうなのかがわからぬまま、さおりをきっかけとしてようやく動き出した蓮を巡る罠。はてさて、こんな状況の蓮と澪は救われるのかどうか…
この学校、いったいどうなっているんだろう…一般の女生徒をもっと見せてくれ…特殊な奴が多すぎます…澪がこんな簡単に忍び込めている時点でこの進学校のセキュリティやお友達のクオリティを疑うよ…今までどんだけ高嶺の花だったのだろう蓮は。誰とも深い交友関係には至れなかったんだろうね。どの女子も、蓮が学校に戻って元のように過ごせるようになったとしても、まったく気づかなそう…さおりも地下アイドル専念ってことで、全然学校にいなくなりそうだし。唯一、気づいてくれそうなのは男子のお友達、九重くんくらいじゃないかな?と予想しています。彼なら…何か起こしてくれそうだよね。女子にはまったく期待ができない…みんな攻められたいばっかりで、能動的じゃないんだもん。女子って妄想激しいからね。心のどこかでは、確かに好きな人とのあれこれを想像しまくってることは否めない。女子とはそういうものよね。
最後はどうするか
ストーリー的には、ようやく謎が明かされたなーというところです。早く解決されて欲しいなと思うけれど、解決された後はハーレムが待っているのかな…蓮よりも澪人気がきっと上がっていることだろう。これは間違いないね。さすがに曖昧なままフェードアウトはしなそうですが、どう決着をつけるのかはまだまだわかりませんね。九重くんがいい働きをして、うまいこと澪を救ってくれるんじゃないだろうかと期待はしています。今まで澪に攻略された女子たちの活用方法がまったく見えてこないんだけど…単に、何か困ったことがあったときに澪がパイプに使える連絡網ができあがったくらいで、つながりが深いとは言えないよねーどの人も。
個人的な期待としては、生徒会長をうまいこと攻略してほしいよね、ここまでくると。せっかく男子生徒の性癖リストも公開されたわけだから、そこをうまく使ってほしいね。ここからはよりドキドキの展開になりそう。澪は最後までノーマルを貫き通していくのか、はたまた特殊な性癖に自らがたどり着くことになるのか…どちらのラストもありそうでワクワク。最終巻が楽しみです。
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