大人になればなるほど逃げ道は必要である。 - 東京タラレバ娘の感想

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東京タラレバ娘

4.384.38
画力
3.63
ストーリー
4.00
キャラクター
4.38
設定
4.38
演出
3.75
感想数
4
読んだ人
6

大人になればなるほど逃げ道は必要である。

4.54.5
画力
3.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.0

目次

アラサーという言葉も逃げ道のひとつである

メモ:今、実写化で注目を集めている東京タラレバ娘。埼玉の川越市で生まれ育った女子(とは言い難い)3人組の恋愛や仕事での紆余曲折を描いたマンガである。

自称アラサーの3人が毎晩のように繰り広げる女子会。会話の中身や口調など、本当によく描かれていると思う。

とにかくお酒の飲みっぷりがいい!わたしも缶ビール片手に読み進めたのだが、シラフでは読んでいられない。

今年27歳のわたしももうアラサーの一員なのだが、読んでいるとグサグサと胸に突き刺さる言葉がたくさんあるのだ。

『20代あっという間に過ぎていったが、30代はその倍速で坂を転げ落ちるように過ぎていく』と。

あるディレクターの女性が言っていたのを聞いて、主人公の倫子は驚愕。私たちにはもう時間がないのだと思い知らされる。

わたしも同じく驚愕した。これから先、そんな恐ろしい時間の流れが待ち受けているとは。

そしてKEYというイケメンモデル。ドラマとは比べものにならないほど、より毒舌に描かれている。

もう女子じゃないやら、おばさんやら、30代は自力で立ち上がれやら、ビシビシと…

最後に取り上げたシーンは、倫子たち3人が酔っ払って転んだ際、手を貸しなさいよ!と言った香に対して吐いた暴言である。

転んで抱き抱えてもらえるのは25歳まで。30代は自力で立ち上がれ!と言い放った。

仕事も恋愛も中途半端で、燻っている3人にはグサッと…なかなか立ち上がれないダメージを与えたことと思う。

そもそもアラサーというのは、これから30代を迎える人への言葉だと思っていたのだが、33歳の倫子はアラフォーじゃない!アラサーです!と言い切っていた。

アラサーという言葉もおばさんの逃げだとKEYは言っていたが、確かにその通りだと思ってしまった。

なぜならわたしはまだ27歳。正真正銘のアラサー。

21〜29がアラサー、30はミソジ、31〜39がアラフォーじゃない?と今のわたしは思っている。

きっとわたしが31歳になった時には前言撤回したいと思っていると思うが。

そうして1巻を読み終え、ふと考える。

東村先生はわたしたちに何を伝える気なのか。

人生の絶望?闇?お前たちの考えは甘いんだよ!と喝を入れてる?

そもそも東村先生はわたしたちの敵なのか?味方なのか?もうよくわからない。

結局結婚出来てる女性が結婚できない女性を罵っているだけのような気もするが…その線は考えないようにしたい。

東村先生は女性の味方!アラサーの味方!結婚なんてしてもしなくても幸せであればいい!という言葉を信じたい。(でもバカにして上から目線で言われている気がするのは確かです。)

それはわたしの心が歪んでいるからでしょうか?いや、読者の4割くらいは抱えてる感情だと思う。そう思いたい。

結局モテてんじゃねぇかと言いたい

メモ:なんだかんだ言いつつ、7巻まで読んだわたしなのだが、一つ言いたい。

倫子、結局モテてんじゃねぇか。33歳、半年の間に3人と関係を持つって…割と非現実的。

まあマンガだもんねぇ。と多めに見てみても、いや多くね?と思ってしまう。

世のアラサー(わたし定義ではアラフォー)たちに甘い夢を見させるのはやめてあげて欲しい。

さんざん30代は自分で動かなきゃ出会いなんてないと言っているくせに。いやいや、勝手に出会ってるじゃない。なんだかんだモテてるじゃない。

香も小雪もダメ恋愛だとしても偶然と出会ってるじゃない。

香なんて偶然元彼のライブに招待されるって…いやぁ、マンガですね。そうですよね、マンガですもんね。

まあそこは500歩くらい譲って、その先へ進もう。

では、今回は仕事の話を中心にしたいと思う。

この先1人で生きていかないといけないかもしれない未婚のわたしたちにとって、仕事は本当に大切なもの。簡単に辞めることも変えることも出来ないはず。

なのにこの3人といったら。割とアマちゃんばっかですよねえ?

売れない脚本家と、パパに資金を出してもらった代表ネイリストと、お父ちゃんのお店を手伝う居酒屋店員。

この3人は仕事<私生活であって、果たして仕事に対する気持ちは尊敬出来るものなのだろうか?と疑問に思ってしまう。

いくらお酒が大好きでも、次の日仕事なのに超二日酔いとか信じられない。わたしは寝不足さえも信じられない。

わたしもかなりお酒は飲むし、毎晩晩酌もしているが、休みの前の日は何したっていい。でも仕事が第一優先だとしたら抑えめにして帰るのが大人ってものじゃないでしょうか。

わたしがタラレバ娘を読み始めようと思ったキッカケの一つが、主要キャラの香がネイルサロン経営をしているネイリストであるということ。

実はわたしも個人経営をしているネイリストなのである。

ドラマやマンガでネイリストという仕事をピックアップしてもらえることは多くない。脇役の職業ですら今まであまりなかったように思う。

ということもあり、期待を胸に読んでみたのに…セカンド女かーい!という気持ちはもちろん生まれたが、取り上げてもらえただけ良しとしよう。

でも1巻に出てきたネイルのデザインで10本3万円はほんっとーにぼったくりだと思う。友達なのに。

未だにネイル=高いと思っている方も多いので、本当にやめてください。今なんて1万円超える方が珍しいって。

でも確かに、ネイリストの婚期って遅い気がする。30代でも結婚してない人ザラにいます。悲しきかな。

そして気が強い人が多い気がする。なので香のキャラはすごく想像がつく。

あ、実際の結婚できないネイリストをモデルにしてるって言ってたし当たり前か。

というわけで、タラレバ女3人組は恋愛でも仕事でも正直憧れとか尊敬とかはできないなあと思うのである。


今、出会えて良かった

メモ:兎にも角にも、今出会えて良かった。

まだ20代という今、このマンガを読んだことにより往復ビンタ×100くらいの打撃があった。

でも100で済んだのは今だから。

きっと30代で読んでいたらその100倍くらいのダメージだっただろう。

6巻か7巻で香と小雪が相席のお店に行くシーンがある。

2回目の来店で初回と同じダメンズ3人組と相席をするのだが、席をチェンジしてもらおうとしたらこう言われるのだ。

キミたち30代にマルをつけたでしょう?来ている男性で30代はボクたちだけだから変えることはできないよ、と。

30代ってだけで、出会いの場は減るんです。

ということは、20代で気づかせて貰えてよかった!

今から色々対策が取れる。

今、出会えて良かった!

タラレBarに行きたい

メモ:単行本の最後に収録されているタラレBarというおまけページで、一般の方から募集したお悩みにタラとレバが答えてくれるというもの。

なかなかヘビーなものも多く、タラとレバがひいているシーンもよく描かれている。わたしも若干ひいている。

でもあんなにバッサリ本音で答えてくれるマスターがいるバーがあるのなら、ぜひ行きたい。

とは思うが、回を重ねるごとにめんどくさくなってる感が否めないのだ。

タラの語尾が〜タラじゃなくなってるし、結構普通の返答だったり、顔写真の再現がなかったり、手抜き感バレてますよ!

でも世の中こんな悩みを抱えている人がいるのかと思ったら、生きていけます。

わたしはすごく恵まれてるのね、ありがとう!という気にさせていただいてます、ありがとう。

大人になればなるほど逃げ道は必要である

ここまで色々話して来たが、アラサーという言葉であったり元彼や元フッた男など、大人になると逃げ道をたくさん用意しておかなければならないのだ。

何故なら、傷つきたくないから。

至るところに保険をかけながら生きていくのが独身アラサーアラフォーの宿命。

そんな女の現実とまだ夢を捨てきれない乙女心を絶妙なバランスで描いているマンガなのだ。

大人になればなるほど逃げ道は必要なのである。

(注)セリフはニュアンスであって、そのまま載せているわけではないので悪しからず。

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