ひらひら 国芳一門浮世譚のあらすじ・作品解説
ひらひら国芳一門浮世譚とは2011年に太田出版から発表された岡田屋鉄蔵が描く青年漫画である。2011年の11月に全エピソードを収録した単行本が太田出版より発行された。 主人公である伝八郎は武家出身であるが、ある出来事をきっかけに浮世絵師である歌川国芳の弟子となる。本作は、主人公「伝八郎」の絵師としての成長を描いた物語である。尚、本作品は文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出されており、高い作画力や魅力的な登場人物などが多くの読者に高く評価されている。 作者である岡田屋鉄蔵は2007年に宙出版より発表された「タンゴの男」で漫画家デビュー。白泉社から2010年に「千」を発表。この作品は作者初の時代劇を描いた作品であり、質の高い物語や個性の強い登場人物が多くの読者から支持されている。2012年にはmaggarden社より群像劇「極楽長屋」を発表。曰く付きの長屋住人たちの日常を描き、個性のある物語が話題となった。
ひらひら 国芳一門浮世譚の評価
ひらひら 国芳一門浮世譚の感想
いい漢はふんどしがよく似合う…。
川へ身投げしたところを歌川国芳に助けられ、捨て鉢な態度でいたところ「てめえの命は俺が預かった!」と強制弟子入りさせられた武士・田坂伝八郎。お話の主人公は伝八郎ですが、漫画としては歌川一門の群像劇といった見せ場もあり、1巻完結の短さながら実にみっちりと魅せて読ませてくれます。実在の国芳の弟子も登場しますし、パトロンの梅の屋の旦那がこれまたイイ男で。浮世絵の世界をかいま見せてくれるだけでなく、仇討ちの熾烈さ、苦しさも教えてくれます。己の足ひとつで仇を探し、使命を果たすまでは国にも帰れぬ身。しかも仇がこういう存在とあっては…。渋い漢のドラマをぎゅっと引き締めて見せてくれる良作です。