なぜ最後から2番目の恋なのか
自分の人生を見つめ直せる作品である
最後から2番目の恋というタイトルや、出演している俳優さんから、まずは人生の半分くらいを過ごした大人達が、これからの人生、どんな生きがいや楽しみを見つけて生きていきたいのか、すごく考えさせられるドラマだと思いました。また、最後から2番目とすることで、生きがいや楽しみを見つけた後も、これが最後とは限らないぞという、残りの人生の色んな可能性を残しているように思います。久しぶりにときめく新しい恋愛があったり、この歳になって新たにやりたいことをしてみたり、面倒だと思いながらも色んなことを体験し、その上でこれからの自分に必要な物であったり、心地が良い物を見つけていくという、普段余り考えてないけど、自然とやってきたことを映像で見ることで、新たに考えさせられる気がしました。ドラマの最終回には、最初に引っ越してきた時と、物理的には何も状況は変わらない状態で終わるのですが、人の心の持ち方が変わっているエンディングが私は気に入っています。
キャラクターとキャストが抜群に合っている
出演者の俳優さんもみんな個性的でヴィジュアルも好きな人が多いのですが、キャラクターもみんな好きで、やはり会話のやり取りやテンポ、それぞれの性格が、クスクス笑いたくなる感じで最高だと思います。公務員というお堅い職業に、まじめな性格だが、意外とノリがいい中年おじさんに中井貴一、キャリアウーマンで綺麗な外見を保ってはいるが、未だ独身の気が強いアラフィフおばさんの小泉今日子、結婚して子供もいるがどこか結婚生活に不満を持っている飯島直子、浮気願望のあるチャラチャラした夫、どこにでもいる平凡な人達だからこそ、特にアラフォー前後の人達の心をくすぐるのだと思います。また、大人になると自分を曲げることが難しくなるので、なかなか心から仲が良いと言える友達は出来にくくなると思いますが、自分の意見をちゃんと言えて真正面からケンカが出来たり、お互いのことで泣いたり笑ったり何でも話せる親友が出来たり、家族みたいに思える守りたい存在が出来たり、素直に羨ましいと思える関係がいっぱい出てきます。そうゆう関係の心地良さをちゃんと伝えられている作品だと思います。また、若い世代の人から見た時に、若かろうが、人生半分生きてようが、みんな求めているものは同じで、人の中身の根本もそうそう変わらないんだなと、安心してもらえるのではないかと思います。
独身キャリアウーマンの社会的立場に共感できる
キャリアウーマンのアラフィフ女性が3人で集まり話す場面は、すごく現実味があり今の社会のダメな所を見た気がします。長く勤めると会社内では役職も付き、男女問わず部下も増えてきますが、同じ年齢の男性より女性の方が社会的に難しい立場にあるのではないかと、改めて考えさせられました。仕切ったり、仕事上の注意をしたり、男性の上司より、女性の上司から言われる方が下からの不満が出やすい立場にあると思います。言わばお局様状態で、本人もそう思われたくないから、フランクに優しく遠回しに伝えてみたり、上司は上司で色々と努力をしていることは若い世代にも分かって欲しいものだと思いました。また、あまり現実味はないですが、20歳年下の子を好きになってしまい慌てたり、それが上手くいってしまった場合の悩みや、まじめに生きてきた中年おじさんが20歳以上の子から好かれた時の困惑、自分の余命が分かっているからこそ全ての人に優しくしたい、ぱっと見遊び人の男の本気の恋、若いのに早く安定した男性と結婚したいOL、一風変わった恋愛から普通の恋愛まで、それぞれの個性が強いせいか、普通のベタベタな恋愛物のドラマより楽しめました。
ロケーションに憧れる
舞台は鎌倉で、歴史のある町で昔からの建物も多く、趣があって落ち付いているのにオシャレで、自然が多いのに海もある、なんとも贅沢な場所だと思います。大人の女性が残りの人生をどこでどう過ごすのかを考えた時に、鎌倉にしようと決断するというのはとても素敵な選択だと思います。また、古民家の家を買うという辺りが、自分の人生に照らし合わせて古民家に感じる物があったのか、または自分の残りの人生の長さを推測して古民家くらいがちょうどいいと思ったのか、色々と考えさせられる設定だと思います。一見、勝ち組の女性ですが、ちゃんと悩んでここまで来たんだなと思わせられました。
人は1人では生きてはいけない
作品を通して感じたことは、人は常に生きがいを探しながら、それを一緒に笑ったり泣いたり、分かち合っていける人に出会うために一生懸命生きているのかもしれないということでした。
また、背が高いとかかっこいいとか見た目のメリットではなく、ちゃんと自分をさらけ出しても、心が落ち着くような人に出会いたいと思いました。
人生の悩みがギュッと詰まったコミカルでアットホームな作品でした。
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