笑いあり涙あり。ディズニーオリジナルの新鮮なラブロマンス! - プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディングの感想

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笑いあり涙あり。ディズニーオリジナルの新鮮なラブロマンス!

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
3.0
音楽
3.0
演出
4.5

目次

前作よりもパワーアップ!!?ディズニーのオリジナルストーリー

メグ・キャボットの「プリンセス・ダイアリー」を原作とした前作から、本作はディズニーのオリジナルストーリー!前作に引き続き、アン・ハサウェイ主演。次期女王として暮らす元冴えない女の子、ミア。前作では高校生だった彼女も21歳の誕生日を迎え、女王に即位する予定だった。しかし、自身の息子、ニコラスを王位に就かせようと目論むメイブリー子爵の「女王は既婚でなけらばならない法律に違反する」という主張により、ミアは30日以内に結婚しなけば王位継承の権利を剥奪される憂き目に合う。今、ミアの相手探しが始まる。前作でロマンチックに結ばれたミアと、親友リリーの兄、マイケルだが、本作にはマイケルについて語られるのは冒頭部分のみ。彼とは現在良い友人関係、と語った際に驚いたのは私だけではないはずだ。一途にミアのみを見つめてきたマイケルと、その好意と自身の本当の気持ちに気づき、立場は大きく違えど美しく結ばれた二人は永遠に愛し合うことだろう。「真実の愛」を強く掲げるディズニーのオリジナルストーリーなだけに本作でも彼らの純粋な恋愛が描かれるものだと思っていたが、この予想は裏切られ、ミアはニコラスと運命的な出会いを果たす。しかしその後、彼をメイブリー子爵の息子だと知ったミアは憤る。彼女はニコラスに対して反発的な態度をとり、一方ニコラスの方も、父親に言われるまま、王位を狙う。ところが、ここでも私の抱いていたディズニーのイメージは大きく覆された。反発し合いながらも、次第にミアに惹かれるニコラス。初めは彼女を陥れるため、策をこうじていたが、いつの間にか本当に好きになってしまう。素敵な男女が巡り会い、惹かれ合い、障害を超えてまっすぐ惹かれ合うおとぎ話とは違い、「嫌い」「最悪な奴」「邪魔にてやる」というような感情から始まる本作の恋は、さながら少女漫画のようにドキドキハラハラさせる。一筋縄ではいかない、複雑な恋愛模様が描かれた本作は、ディズニー映画と構えてみ見た私には実に新鮮だった。

普通の女の子が暮らす華やかな世界

まずこの映画の魅力は、なんといっても元冴えない女の子、ミアの性格にあると思う。彼女は今でこそ、次期女王としての品格を持ち合わせた立派なレディだが、立ち振る舞いがいくら上品になろうとも、大学を卒業し賢くなとろうとも中身はやんちゃで、元気で、たまには羽目もはずす決して”完璧ではない’女の子。久しぶりに親友と再会すればまるで子供のようにはしゃぎ回るし、腹を立てたときには相手の靴をわざと思い切り踏んづけたりするし、ロマンチックな恋愛には次期女王の立場を忘れて、初々しい少女のように夢を見てしまう。そんな彼女に多くの視聴者は共感できるのではないだろうか。王家だからといって、決して驕らない、等身大の彼女のことを多くの人はまるで友人のことのように、自分のことのように、好きになることだろう。そして王家ならではの華やかで豪華な世界観。ミアの上品なドレスやスーツ、きらびやかなアクセサリーは見る者をうっとりとさせる。野暮な考えであるかもしれないが、大きい建物、敷地を贅沢に使い、惜しむことなく撮影されたのだろうと感じ、とても気持ちが良いのだ。美しい女の子の夢の世界、正にディズニーの真骨頂ともいえる世界がそこには広がっている。

ハッピーエンド!しかし王道ではない!?

「30日以内に相手を見つけ結婚し、正式に女王に即位する」これを達成すべく相手探しと恋愛成就にいそしむミアとそれを阻止しようと同じくいそしむメイブリー子爵とニコラス、そしてミアが相手として選んだアンドリュー。人が良く、ミアとも相性が良く見えるアンドリューとミアは順調に愛を育み、ついに婚約に至った。そのまま結婚し、ミアが即位すればミアの勝利、すべては丸くおさまるが、しかし、ニコラスがミアに惹かれはじめ、父であるエイブリー子爵に反抗の意を示し始めるところで画面から目が離せなくなった。「嫌よ嫌よも好きのうち」「喧嘩するほど仲は良い」とはよくいったもので、ミアとニコラスは共に居る際、敵同士である故、口論を交わしながらもどこか打ち解けて見えるのだ。同じく王家としての権利と責任も持ち合わせ、プレッシャーを抱え、分かり合える立場にあるからこそ、同じレベルで喧嘩が出来、また励まし合うことが出来る、彼らは良い関係になるのではないか、と感じた人は多いと思う。アンドリューとの結婚式を挙げる日、ニコラスへの想いに気づいたミア、そしてあくまで円満にアンドリューと別れ、ニコラスと共になり、既婚者として女王になるかと思いきや、そうではなかった。彼女はあくまで未婚者として、一人の女性として、「女王は既婚でなければならないという法律」に正面から異を唱えたのだ。前作では冴えない女子高生、当初は頑に王位を継承することを拒み、本作でもたびたび子供のようにやんちゃな面を見せた彼女の、成長した「国を背負う強い女性」の一面に感動した。決して男性に甘んじない、女性の権利、男性中心の政界、現実世界でも問題視されているこれらの課題にも目を向けさせるメッセージ性のある映画であると身をもって感じた。そして大人らしからぬ態度でミアの主張に反対し続けた愛すべき悪役であるメイブリー子爵と、そんな父を悪として処理せずに公の場であくまで正しい言葉を紡ぐ息子に、親子の絆と父親を超えた息子の立派な姿が垣間見えた。いつも寄り添い、密かに愛を育んでいたミアの祖母、クラリスと、保安局長のジョーの幸せいっぱいの結婚式でこの映画はしめくくられる。全体としては恋愛映画であるが最後は主人公達の恋愛で終わらない。恋愛に生きない。冴えない弱気な女子から自立した芯のある女性に成長したミアの物語として強く印象に残る、新しいラブロマンスの形であったように思う。

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4.04.0
  • エミリーエミリー
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