いやミスの女王のあたたかい系の話
いちばんの美人、プライドをかけた攻撃力を見せつける
主人公の小学生時代に親友が寄ってたかってイジメにあう、酷いイジメのきっかけは美人な容姿。美人への嫉妬を募らせすぎたそこそこ美人のクラスメートがいて、自分より美人がいることが許せない。まさに白雪姫と継母。白雪姫は毒を盛られても小人が現れ王子が現れ結果オーライだが、小学生の白雪姫はクラスの皆に壮絶なイジメにあい学校が辛いところになっていく。嫉妬をもった女子の恐ろしさがリアル。
美人ということを利用しない手はないと子供ながらに人心を掌握するいじめる側のボスとなったそこそこ美人、小学生の見た目へのコンプレックスの凄さを痛感させられた。
アンの友達
小学生の白雪姫には赤毛のアンの様な地味で前向きなアンのような親友がいたことが救い。ふたりの行動は周りには奇異に捉えられ、間を裂かれたり本当にそれぞれに苦しさの中にはいるけれど、最後までこのふたりの友情はあたたかく描かれていたので、嫉妬渦巻く内容はさすが!いやミスの女王、湊かなえさんの作品なのだが、この作品は特に優しい気持ちの友情がはっきり描かれ救いのある作品。
日本の会社の女子社員の日常(-.-)剥き出し
殺人事件の下地になる化粧品会社の女子社員達の日々の様子を描写している内容が面白い。
日本の会社あるあるに出てきそうなエピソード満載で、特に女子にはつくづく要らない制度やしきたりが多く改めて辟易する。
大きな会社ではあるが、どこにもある事が女子社員にはある。犯人の置かれている環境にも頷ける事が多い。来客には必ず女子社員がお茶いれをして愛想よく運ぶ。ロッカーで何気に先輩が後輩の私服や持ち物をチェックしてくる。誰かのお誕生会を会社の部署の皆でする。バーベキューには部署の全員が必ず駆り出される。噂好き過ぎる女子社員がありもしないことをでっち上げて周りに吹聴する。その伝達の最初の現場が給湯室であること。
そして何より、誰からも正しい評価は滅多にされない。特に女子社員がイメージが先で誤解されているところ。
振り回されるマスコミがリアル
ミヤネ屋の宮根さんを意識したとも思える生瀬勝久のキャスターぶりはリアルで、本物の情報番組の軽さがあった。情報不足でも面白かったら話題にしてしまうのかもと案外薄い取材が多くあるのかとマスコミ不信になってしまう。
綾野剛演じるキー局の下請けのディレクター、最後まで元カノの情報に振り回された挙げ句に、犯罪者に利用されてたと知り、自分のせいで犯人扱いされた被害者家族に謝りにいくシーンも生々しく嫌な空気感が伝わってくる。
誰の情報も信じるには勇気がいる。無責任な噂が人の人生を変えてしまう、病んだ心も他人には上手く伝わらないものだしつくづく人は生きにくいと思わされる、さすがのサスペンス!
ただ女子には珍しいほどのピュアな友情が傷ついた主人公の心を包みあたたかくエンディングを迎え、この映画を観て良かったと思える。
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