愛と宇宙の関係 - 機動戦士ガンダムOO[ダブルオー]の感想

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アニメレビュー数 2,474件

機動戦士ガンダムOO[ダブルオー]

3.503.50
映像
4.00
ストーリー
3.17
キャラクター
4.00
声優
4.33
音楽
3.67
感想数
3
観た人
3

愛と宇宙の関係

4.54.5
映像
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
声優
4.5
音楽
4.0

目次

色濃いキャラクターたち

アニメが始まって一気に何人もキャラクターが出てくるので(しかもほぼみんな主要メンバー)、最初は誰が誰だかわからず混乱しがちです。思わず見直して、どのキャラがどのガンダムの乗組員か、メモを取ったくらいでした。ですが、物語が進むにつれて各個性がしっかり際立ってくるので、混乱することはなくなります。キャラクターデザインが高河ゆん(大人っぽい少女漫画を描く)のため、一見ただの美少年アニメかと思いきや、ドロドロのトラウマに囚われたキャラクターの内情や大義がしっかりと書かれているため、ビジュアルの良さがストーリーを邪魔しないバランスの良い、気持ちを入れやすい作品になっていると思います。キャラクターの大義がしっかりと感じれるのは、4人のガンダムパイロットだけではなく、それを取り巻く船員たち、そして敵扱いされるキャラたちにも言えることです。なので、物語が進んでいくと、どのキャラクターにも感情移入がしやすくなり、敵味方関係なく、思えば嫌いなキャラいなかった、みんな好き!みたいな感じになります。

トラウマと人生の目的

キャラクターたちの大義は、物語の中心になってくるのでもちろん大事ですが、大義だけで突き進むいかにもヒーローもの的な物語の展開は絶対にしません。キャラクターたちには、私たちと同じように感情があり、大義がありながらも過去に苦しみ(トラウマ)、感情的になりすぎて任務を放棄しそうになるなど、大いに揺れます。もちろんこのような展開は他のアニメにも見られますが、ダブルオーのそれは、演出(前後のストーリー、キャラクターの表情など)が上手だからか、まるで自分のことのようにキリキリと胸をしめつけられるような感覚に陥ります。でも、その中でもやはりキャラクターは大義を失わず、人間的にも成長しながら、周りに批判されながら任務を通じて大義を全うしようとします。特に刹那は、イノベイドに変容を遂げ、自分の生き方に悩む中、それでも最後まで自分を見失わない強さがありました。最後まで、やりきる。神と崇めたガンダムがそうではないとわかった時、イオリアの本当の目的がわかった時、イノベイドになった時…などなど、思いもがけない変化が刹那の前に表れますが、彼はいつもそれに悲観することなく、前を向いて答えを自分で見つけていました。その過程は見ていて苦しい時もありましたが、でも現実ってそんなもの。私も自分の人生を刹那みたいに生きようと思ったほどの強いメッセージがそこにはあったと思います。

愛と宇宙の意外な関係

この作品に随所にちりばめられているのテーマの1つに、『愛』があります。これだけ書くととても鎮撫でなんのこっちゃ、という感じになりますが、親子愛、家族愛、カップル愛、ライバル愛、愛国心…いろいろな愛が描かれています。ここからは少し映画の話になりますが(絶対観てください!この映画観ずして00は終われません!!)刹那は、大義を貫きつつ悩み考えながら道を開くうちに、人類愛・地球愛を越えて、宇宙に対しての愛を持つようになったのです!きっかけは、ELSという宇宙から来た金属生命体との戦いを通じてです。訳も分からず襲ってくるELSに対して人々は命の危機を感じ、ガンダムをはじめ持てるだけの軍事力を投入して彼らの殲滅を図ります。でも刹那は、過酷な戦いを通じてELSがただ自分たちを無作為に襲っているのではないという自分の直感を信じ、実際ELSの巣窟に一人で乗り込むのです。そこで彼はELSの本当の目的を知り、それに応じることでELSは攻撃を止めます。これって、私たちの日常生活にもよく起こっている気がします。職場の人が理解できない、ただ攻撃されている気がする。あの人は私のことが嫌いなんだ…できれば私の人生にいれたくない…などなど。でも刹那は敢えて、直感を信じ、自分から理解し得ない新しいものの中に飛び込んで自らを意識を向けることで、敵だと思っていた相手を理解することができたのです。みんな、攻撃の裏には、何か特別な理由があるのです。ただ、助けてほしい、それをもしかしたら私にはわからない言語や方法で、発信しているのかもしれない。同じ人間だって、職場や家族、恋人間にだってよく起こりうることなのではないでしょうか。このメッセージを知った時、私も刹那のように、理解ができないと思っても、戦うのではなくて、自分から心を開こうと思いました。それってとっても怖い。でも、リスクが大きかったら得るものも大きい。実際刹那はイノベイダーを越すくらいの大きな存在となって帰って来ました。彼はELSを救う中で、大義の答えを見つけたのではないでしょうか。

最新の地球と物理学

話はちょっと変わりますが、つい最近『インターステラー』というハリウッド映画を見ました。この映画は、最新の物理学から構成されていて、物理&宇宙工学好きにはたまらない映画のようです。私は物理のことは全然わからないのですが、ただ、ガンダム00に似ているところが多々あるなと思って、この映画の精度の高さを評論家が評価するほど、ガンダム00の素晴らしさを再確認するわけです。この『インターステラー』のテーマの1つに、『愛は時間と空間を越える』というものがあります。これはまさに映画の刹那が体現したことです。『インターステラー』公開は2014年。ガンダム00の劇場版は2010年。著名なハリウッド映画が評価されているうちのいくつかを、日本のアニメであるガンダム00は盛り込んでいるのです。本当にただのアニメでは収まらない、完成度の高い作品だと惚れ惚れします。

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