矢吹健太朗の代表作
思い入れのある作品
作者の矢吹先生は今は作画を担当されているようだが、私はオリジナル作に思い入れがある。連載されていたのはもう十年以上も前だが、未だに関連作の連載を期待しているほど、この作品は大好きだ。
連載されていた当時はわりと批判の声もあったようだし、確かに多少のツッコミどころはあったかもしれない。例えば、スヴェンのウェポンスーツケースにウォーターカッターが仕込まれていた事があったが、ウォーターカッターは超高速で水を噴射するため、スーツケースに仕込むのはかなり無理がありそうだ。機械の大きさ的にも、水量的にも。が、漫画だからこそ現実とは違う部分があってもいいし、漫画の舞台は現実に近い仮想世界だから、その世界では実現できるだけの技術があるのだ、と考える事もできるし、それだけスヴェンが天才的なのだとも言える。そもそも、漫画に対してそこまで細かいところをつつく必要があるのかどうか、というのは一つの疑問だ。
魅力的な登場人物
作者の描く絵は、今時な感じできれいな印象だが、ただきれいなだけでなく、老若男女の描き分けがきちんとされているから好きだ。クロノスのナンバーⅡは渋いし、ナンバーⅠのセフィリアはとても美しい。
メインの三人以外で特に魅力的に感じたのは、クロノスのリン・シャオリーだ。性別すら明かされていなかったが(おそらくジェノスとの遣り取りなどから、女性だろうと私は思っている)できればその辺りの秘密が明かされてほしかった。
ジェノスも、ただの女好きではなく芯が強く頼もしい一面もあってカッコいいし印象深い。リンスがかなり彼を意識していたが、二人が結ばれる事はないのだろうか。良識的なナンバーズとして、もっとトレイン達との絡みがあっても面白かったと思う。
この作品において、イヴの存在はかなり重要だ。彼女がいたからこそ、トレインもクリードへの殺意を捨て、掃除屋として決着をつける、という道を選ぶ事ができたのだと思う。ずっとスヴェンと二人だったら、知らず知らずの内にスヴェンに甘える部分もあったはずだ。
続編ができたら真っ先に読みたい作品
もしも続編や関連作ができたら、真っ先に読みたいのがこの作品だ。イヴのトランス能力は、ナノマシンによる化学的なものだという設定だが、連載されていた当時はあまりそういった設定がなかったように思う。遺伝子操作により超人的な能力を持った人達のドラマなどはあったし、魔法によって変身したりするようなものもあったと思うが、科学的に変身できるというのは、十年以上前の当時としては、かなり先進的だったのではないだろうか。
イブのトランス能力も、今の技術ならば再現できそうだし、実写化されたらいいのに…とずっと期待している。
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