料理をバトルに取り入れた実演的王道漫画!
料理をバトルに取り入れた王道漫画!
リアルでも料理を用いてその美しさや食べやすさ、そして美味しさを競う大会は多く存在しますが、料理のバトルを漫画に取り入れた例はあまりありません。料理に対し、その工程や熱意をまざまざと描き、また料理もきちんと成立させている王道漫画は本作品が初めてです。また料理を巡った戦いというということで、きちんと仲間というチームワーク的要素や非情な部分も演出されていて、バトル漫画の要素も主張されているなと感じました。
個性豊かな登場人物たちと彼らを取り巻く世界観や設定
主人公の幸平ソウマを始めとして多くの料理人なる登場人物が登場してきていますが、郷土料理・イタリアン・フレンチ・中華はもちろんのこと、その中でもさらに技術などによって特性や特技が分化され、誰として得意とする料理が全体として被ることなく、それが個性にもつながっており、またそれぞれが足りない部分も読み始めに感じ取れ、それを補って成長していく姿が良く描かれています。また、得意とする料理を「スペシャリテ」と表現していたところも、とても分かりやすく、いい単語だなと思いました。
そして彼らと手を取り合ったり対峙したりする主人公幸平ソウマも、今のところ明確な「スペシャリテ」は持っていませんが、先輩や元第一席らに認められるその技術・能力を以てして、己の料理を極限まで、いいえ、極限なんて言葉は彼には似合わないですね、更なる高みへと磨き上げていくその姿勢に、憧れもし、鳥肌も立ち、感動してしまう部分があります。また彼と薙切えりなの関わり合いにも注目する部分があります。幸平ソウマの父、才波城一郎を始め、何かしら不思議な関係性や設定があるかのような伏線を感じ取れます。このことが今後を楽しみにさせています。
また、料理のバトルをする登場人物を取り巻く世界観ですが、リアルではありえないような、大金持ちっぽい「料理専門高校」という舞台設定にときどき笑える部分もあり、面白いです。しかし、高校・学校だからこそ組めるイベントや立地などもあり、なんの違和感なく読み進めることを可能にしているのでしょう。
また先ほども挙げましたが、幸平ソウマと薙切えりなを取り巻く周囲に何かしら隠れたつながりがあることもあり、その設定については読み進めていくうちに本作品が王道漫画であることを濃厚にしていくものでもあると踏んでいます。
実際にも役立つ調理法やレシピの数々
これまでに登場してきた料理は、真似してみたいものも多くあります。様々な調理法も漫画を通して紹介されているので、それを活用することはもちろん、これまでに出てきた料理を実際に作ることもできなくはないことも本作品の魅力だと思います。特に幸平ソウマの作る料理は大衆食堂料理人出身というだけに、どこか一般家庭でも真似しやすい調理法が多いように思えます。そのため、ただ読んで楽しみ、実際に料理したい、してみようという意欲が湧くだけではなく、実際に料理ができるよう、ところどころその過程を組み込んでいるのも本作品の魅力です。
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