恋愛経験あるのに年をとるほど不器用になるアラサーの色恋沙汰 - 恋ノチカラ Power of Loveの感想

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恋ノチカラ Power of Love

4.754.75
映像
4.50
脚本
4.75
キャスト
5.00
音楽
4.50
演出
4.50
感想数
2
観た人
6

恋愛経験あるのに年をとるほど不器用になるアラサーの色恋沙汰

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

アラサー女子の等身大

深津絵里さん演じる本宮籐子は広告代理店に勤めるOLさんです。クリエイティブの部署にいましたが、致命的なミスにより庶務課へ左遷。仕事も恋もうまく行かず行き詰まった状態で自堕落に生活していました。しかし、手違いではあるものの、業界きってのやり手である貫井さんの独立に伴い引き抜きの声がかかり、現状を変えるために転職をします。そして貫井さんと仕事を通じて親しくなり、最終的にはうまいことまとまってしまいます。これが当時世のアラサー女子の心を掴み、夢中にさせたドラマの全容です。批判的ではなく、ドラマに感情移入する女性が多いことから、世の中のアラサー女子たちはこんなにも仕事に恋に忙しいのだなあと驚きました。どちらか片方が充実していればいいというわけではなく、仕事に力が入れば恋はおろそかになり、時間的余裕も心の余裕もなくなり、面倒臭くなり、若い頃の怖いもの知らずではなくある一定の現実を味わってきた年齢にもなれば踏み込む前に諦めてしまう、しかし出来ることならキラキラとした恋愛もしてみたい!という願望は常に持ち合わせている女性の夢を応援したのがこのドラマなんですね。再放送でしか観たことはありませんでしたが、ドラマ冥利に尽きるのではないでしょうか。しかしながら深津絵里さんのかわいらしいこと。三十路であれだけ可愛らしさを残しつつ、年を取れる人もなかなかいません。

いい子でいることのメリット

隙のない女性は恋愛には不向きなのでしょうか。隙だらけな女性もまた恋愛対象として見るのに時間がかかったり、その緩さに甘えて進展せずにいたり、ある意味では成就しにくい対象ではないでしょうか。両方がいい塩梅でバランスのとれた女性が世の中でいうモテる女性なんでしょう。世間知らずで少しぽやっとしている、綺麗でお料理もできて自分の夢のために努力をして、相手を立ててなんでも一緒に問題を解決しようとする前向きな春菜は選ばれませんでした。女子として完成された彼女は貫井にとって好意を寄せる対象ではなかったということです。一方で貫井は籐子と一緒にいると楽しいし、ご飯も倍美味しくなる、と告白シーンで言っています。貫井と春菜が初めてデートするとき、貫井の失敗を春菜がフォローしていました。しかし、籐子は失敗であったり不貞腐れている貫井を叱り、それでも私はあなたの味方だと影で支えています。時には言い合いになることもあります。すれ違いや自分の気持ちに背を向けようとします。けれど、少し休んでゆっくり歩こうと寄り添う女性よりも、自分のペースで走っている合間に給水や檄を飛ばしてくれる女性の方が性に合っているんでしょうね。でもよくよく素人目で考えてみると、深津絵里さんと矢田亜希子さんの美人な二人に言い寄られたらたとえ性格が逆転していても選べませんよ。

風船の行方

花の種を結びつけた風船たちはロケ後どうしたんだろうとまだ中学生だった私は考えました。そのまま袋が破けて自然に土に埋まるということは考えにくいですし、そもそも風船が割れて電線やら個人宅やらに落ちてしまったらどう回収するんだろうと、結構ロマンチックな話なのに妙に現実的な問題に思考を巡らしました。きっと近隣へはロケに風船を飛ばしますよ、と事前にアナウンスされているんだと思いますが、NGが許されない一発勝負のような気がするシーンをリアルタイムで体験できたロケ地付近の方々が羨ましく思いました。緊急事態ではあるものの、全員が一丸となって失敗を取り戻そうとする話では素直にいいなあと思いました。部活でもそういった体験をしてきたはずなんですが、大人になってもこうして同じ方向へ進もうとするエネルギーに私も加わりたい!と今観返すと強く思います。こんな状況でも踏ん張って頑張って、そして最後には大きく花が咲くなんてドラマだからと思わずに、私も毎日努力できたらなあと。

30歳って

私ももうアラサーですが、三十路は脂が乗り始める頃で、女性として一番輝けるときだと思っているので、高校生くらいから早く三十路を迎えたいと思っていました。実際、憧れを強く持っていても、自分が女性として輝けるかは努力次第という現実に直面して少しばかり落ち込みました。でもやはり30歳を迎えれば何かが変わるんじゃないかと変化を楽しみにしています。私はいわゆる老け顔で、今でも実年齢より上に見られます。ただ単に老いだと思っていても小さい頃に言われた年をとれば年相応の顔になる、という言葉を信じて今も年を重ねています。籐子は30歳です。正確には30歳と6ヶ月19日。仕事も恋も萎れてしまって首をもたげた花みたいに毎日ただ過ごしていました。籐子とは反対に、春菜は23歳で、まきが言うには「私たちにないものをあの子は持っている。」なるほど、と思いました。若さもそうですが、夢に仕事に恋愛に対しての考え方がそもそも違います。思い切りとびこめる環境にいます。その環境にいることでたくさんのことを手にすることができます。確かに、30歳は女性にとって分岐点です。マンションを買ってひとりで生きていく準備をするまきも30歳女性の生き方の1つです。それはまた違う輝きがあります。老いることが悪いのではないんですよね。どうして女性は若さ至上主義なんでしょうか。私は年を重ねて味がで始める30歳女性は素敵だと思います。深津絵里さんのようにはなれなくても。

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何度でも見たい名作

30歳という分岐点ドラマ放映の2002年頃といえば、バブル崩壊から約10年経ち、浮かれていた世代を垣間見ながら育った学生たちが社会人として何年か過ごしてみたものの、この先どうしようか、転職がステップアップにつながるだろうか、女性においては結婚はどうするか?子供を産むなら今だろうか?という立ちはだかる問題に頭を悩ませていた時代であったかもしれません。このドラマの主人公籐子はずばりその世代の代表みたいな憂いを持っており、冴えない会社での立場、家に帰ってみるテレビは人の悲劇オンパレードの番組で、お気に入りの理由は人の不幸を見ると安心するから、という悲しい理由、かといってローンを組んでマンションを購入し、一人で生きていく覚悟をしている親友の真季のようにもなれない、という彼女にさらに追い打ちをかけているのは30歳という年齢のようです。同じ年齢の真季が見せる朝一の素顔が出るシーンは、一瞬放送事故では?と...この感想を読む

5.05.0
  • いちごだいふくいちごだいふく
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  • 2024文字
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