キーラがうまい - プライドと偏見の感想

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映画レビュー数 5,784件

キーラがうまい

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

原作を読んでいなくても

原作を読んでいなくても、または19世紀のイングランドに興味がなくても楽しめます。ラブストーリーやフェミニズムに興味がなくても楽しめます。それはなぜか。物語の構造がしっかりしているからです。原作者オースティンの小説は、村上春樹さんやカズオ・イシグロさんといった、現代の小説家にも絶賛されています。文章の巧みさ、テーマの親しみやすさ、等オースティンの小説の良いところはたくさんありますが、何よりもストーリー展開の面白さが一番素晴らしく、この映画版にもそれが反映されていると思いました。他の小説もすべて素晴らしいのですが、この作品が特に優れているのは、主人公の周りの人たち、脇役までもが生き生きとして描かれているところだと思います。

名演技

オスカーにもノミネートされた主演のキーラ・ナイトレイの演技は素晴らしく、このお話が大好きで、よく理解して挑んだという感じがしました。そのお話全体の中の一部になれる女優さんだと思いました。それがエリザベスがずっと笑顔なのに寂しそうに見える理由かな、と思いました。キーラが読字障害というのが、文学と反対でいいなと思いました。その代わり表面でなく、深いところでエリザベスを理解しているんだろうな、と思いました。フェミニズムという観点からも、自立したイメージの強いキーラが、エリザベスを演じるのはぴったりだと思いました。他の役者もすべて上手で、会話のやりとりなど、とても自然でした。

カメラワーク

ジョー・ライト監督のおしゃれなカメラワークが都会的で素敵でした。現代的なフレームで、古典的な物語を撮っているのが、このバージョンの実写版の特徴で面白いと思いました。ライト監督も読字障害だそうです。オースティンの淡々としたような文章と、ライト監督の流れるような映像の撮り方が、重なっているように感じました。たくさんの人生に焦点を当てて、個々が目立ちすぎないように、サラッと流れるように物語が進む中で、主人公のエリザベスがよりいっそう寂しそうに切なそうに感じました。窓や鏡などが効果的に使われていて、絵画を見ているような気分になるときがありました。最後に彫刻が出てくるシーンで、原作では肖像画なのですが、彫刻を使ったところがやっぱり映画監督だと思いました。音楽も素晴らしく、ダンスのシーンなど映像とよくマッチしていました。独特のリズムを持った映画監督だと思います。

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他のレビュアーの感想・評価

プライドと偏見

この映画は落ち着いた音楽と、キーラナイトレイ演じる主人公の朝の散歩シーンから始まる。その映像美と音色の良さから私は一気にこの映画の虜になってしまった。主人公が歩くことが好き、そのキーワードが最初から盛り込まれているのだ。主人公エリザベスに恋する貴族のダーシーは、主人公が姉の風邪を見舞うためにダーシーの友人邸に訪れた際、髪はボサボサ、泥まみれの靴で入ってくる。「歩く子が好きなので」「存じ上げております」、というあのシーンが私は大好きだ。ダーシーはエリザベスの飾らない性格に虜になっている表情をする。エリザベスも、無愛想ながら自分のありのままを受け入れてくれるダーシーに惹かれ始めているのではないだろうか。主人公の家庭以外のほとんどは貴族の家庭というのもあり、家に並べられているものがとても美しい。また、エリザベスが自然を愛する女性だったので美しい自然に囲まれたシーンも多い。そういった映像がとて...この感想を読む

4.04.0
  • hearlohearlo
  • 56view
  • 552文字

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