人類対? - テラフォーマーズの感想

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テラフォーマーズ

4.504.50
画力
4.50
ストーリー
4.00
キャラクター
4.50
設定
4.17
演出
4.17
感想数
3
読んだ人
14

人類対?

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
3.5

目次

人類とゴキブリ

もしゴキブリが出てきたときどうするか。まず退治しなくてはと思う。捕まえて飼ってやろうなどとは思ったことはない。躊躇することなく彼らを撃退するために薬品や武器手にするのだ。なぜなら害虫だから。
テラフォーマーズでは強烈な敵が出てくる。火星の環境に適応するために進化したゴキブリだ。彼らは驚異的なパワーで人類に襲いかかる。そこに慈悲はなく、ただただ殺すのだ。まるで人間が害虫を殺すように。
人がなぜゴキブリに恐怖や嫌悪感を抱くのか。噂では人類がまだネズミのような姿をしていた頃、ゴキブリが我々の先祖を食べていたらしく、遺伝子の中にそういった情報が組み込まれている、らしい。そのとき、ゴキブリと人類の力関係は今とは違い、私たちの方が弱かった。時が過ぎ、私たちは以前よりも大きく進化した。すると彼らとの関係はがらりと変わり、私たちが彼らを踏み潰すようになった。ただ食べたりはしないが。
まさしく弱肉強食。強いものが脅威になるのだ。だが、火星のゴキブリも進化していた。しかも人類の想像しうるもの以上に。出会った瞬間に棍棒は降り下ろされ、避けきれなければ死んでしまう。負けた方が害虫なのだ。

彼らとの戦い

なぜこんな事になってしまったのか。
地球はもう人類が長く暮らすことが難しくなっていた。そこで人類はかねてからあった火星への移住計画を実現化することになる。人類が火星で暮らすのに必要な条件を整えるためにまずある特別な苔とゴキブリを放った。これがことの発端である。過酷な環境に放たれたゴキブリたちは驚異的な生命力で生き延び、最終的にはあの姿になったのだ。始めの頃、読んでいるとなんとなく「自業自得なのでは?」と思った。何故なら、ゴキブリたちが放たれた原因も元を辿れば人類が巻き起こしたのである。戦争だとか人類の文明を発展させて行くための環境汚染だとか、身勝手な理由で自ら住まう地球を蝕んでいるのだ。それなのに自分たちが豊かに暮らすために地球を捨て、次は火星に移住しようとしている。自分たちが快適に暮らすために、今まで容赦なく殺してきたものたちを使い、最後には駆除しようとしている。なんとも野蛮だなぁと思う。それはゴキブリたちの怒りを買って当然だろう。その怒りからに人類に手をかけ、手をかけられた人類がまた怒り復讐する。復讐が復讐を呼ぶ。なんだか人類の現状のようである。
どうやら、彼らはの進化にはどうやら何かしら手が加わっているようだ。作中でロシア班が見つけるピラミッドもその一端であろう。実はこのピラミッドは現実にも噂されている。都市伝説好きはよく知る話である。このピラミッドが関わる文明が彼らを進化させたのだ。そしてその文明はすでに火星を去っているのではと記述があった。
なぜゴキブリたちの進化した姿が人間に近い形だったのか。それはこの漫画の中での人類は火星にあった文明によって進化したものだからではないだろうか。この文明は火星の前に地球に降り立ち、私たちを進化させた。そのあと時が来たためか、地球を立ち去り火星に向かうことになった。ピラミッドは共通の文明がいた事を表すために描かれていたのかなと思った。そうするともはやゴキブリたちは進化したゴキブリというより違う形で進化した人類のようなものとも見れる。だから火星のゴキブリの中でも知恵や力を持つものたちは人類のように思考し、行動する。
この漫画を読んだときに昔高校の頃に英語の先生が話していたことを思い出した。先生曰く、人類が滅んだ後、ゴキブリたちが背広を来て働くそうだ。その時はまさかと思っていたが、この漫画のゴキブリたちは正しく先生の言っていた背広を着るものたちだ。ゴキブリたちがこの戦争に勝った暁にはあの冗談のような未来が現実になってしまうかもしれない。

謎の文明

火星に放たれたゴキブリたちをとんでもない脅威に進化させた文明はどこへ行ったのだろうか。例えば水金地火木土天海冥の順番で進んでいるとすれば、地球→火星と来て次に頭に浮かぶのは木星である。もしかすると今木星にいてまた何か私たちの想像できないものを生み出しているのだろうか。もしかすると地球や火星のようにもう目的を終えて次の星に降りたっているのかもしれない。
この漫画の主人公たちが向かう先にも文明が関わってくるだろう。彼らと関わりがありそうな人物やものもちょこちょこと出てきている。目的はわからないが、きって味方ではなさそうだ。
しかし、人類もただ恐怖しているだけではない。彼らは虫や動物、植物、細菌などの能力を取り込むことでゴキブリたちや文明に立ち向かうのだ。これらの謎や敵たちに血だらけになりながらも無我夢中に立ち向かって行く小吉や燈たちの奮闘に手に汗を握り、次はどう展開していくのかとワクワクする。
また、知っている生き物の意外な能力や生き物たちのパワーを人間で置き換えるとこのくらい、など実際の情報がふんだんに散りばめられていて読む度に少し生き物に詳しくなれるのもこの漫画の楽しみの1つだ。

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