恋愛をしている男女の心情描写が秀逸 - 電影少女の感想

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電影少女

4.504.50
画力
4.67
ストーリー
4.50
キャラクター
4.50
設定
4.17
演出
4.17
感想数
3
読んだ人
12

恋愛をしている男女の心情描写が秀逸

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.0

目次

桂正和氏の画風の転機になった作品

桂正和氏の作風は特に女性の描写に関して、実際にいる女性のように可愛らしいと定評があるが、その画風の転機になったのが「電影少女」だと言える。

それまではやや丸い感じの、アニメ絵のようなポップな画風であったが、電影少女以降桂氏が「漫画の女の子より実在の女の子の方が魅力的であることに気づいた」とインタビューなどで述べているように、一気に画風が実在の女性に近い絵になり、背景他の書き込みも一気に細密になっていく。

桂氏の作品は、青年層へのサービスカットでやや性的な描写も多用されており、女性のお尻を書かせたら桂氏の右に出るものはないと評判であるが、電影少女では連載時やコミックスの初版で掲載されていた性的描写が問題視されて二版以降大幅に改変されている。PTAにより性的描写から良くない印象を与えてしまったこともあるようだが、実際の内容は涙なしには読めない青春時代の恋愛物語である。

読者の想像に任せない徹底した心理描写

漫画によくある手法として、主人公の視点にフォーカスして、恋愛の相手がどう思っているかは読者の想像にお任せし、主人公と一緒にハラハラする手法がとられることが多い。

しかし、電影少女では、主人公も、恋愛の相手もどちらの心理描写も徹底的にモノローグやセリフで描かれており、想像しなくても相手がどう思ったかすべてわかるようになっている。

それでは面白くないではないかと思う人もあるかもしれないが、相手がどう思ったかわかることで、「ここでこんな風に思われるなんて」とハラハラしてしまったり、「相手はこう思っているのになんでこんな誤解をするのだ」とイライラしてしまったり、俯瞰で恋愛を見ることができる。

電影少女が他の作品と異なる点と言えば、その緻密な恋愛描写を俯瞰で楽しめる面白さがあるところと言える。

少年漫画なのに女性同士の友情もあり。

少年漫画には珍しく、女性同士のけんかや誤解も描かれているのがこの作品の特徴である。

主人公のビデオガール天野あいと、弄内洋太の彼女のもえみや伸子、友達の夏美との友情は、男性でも女同士の嫉妬やいさかい、それに伴う心理を垣間見ることができる貴重な作品と言えるだろう。

学生生活や青春は、必ずしも異性との関わりばかりではなく、当然同性の親友もいるし、関わりもある。主人公洋太と親友貴志との友情ばかりではなく、あいが周囲の女性と友情を深め、時には恋愛より友情を選ぶシーンは、リアルな若者の苦悩を表現していて非常に共感できる。

そう言ったリアルな描写により、漫画というより美しい挿絵入りの小説を読んでいるような気持ちにさせてくれる作品である。

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「大人の事情」に負けず、自発性が無いのに名作となった作品

連載開始時の「大人の事情」本作開始前(1989年)は作者桂正和はヒーローやSFを扱うモノを書きたかったらしい。しかし、かの有名な少年ジャンプ編集者、鳥島和彦氏の意向で恋愛モノを書くこととなりこの「電影少女」がスタートした。つまり本作はある意味自発的ではない。むしろ恋愛を中心にすることが苦痛ですらあったようである。それなのに連載終了後20年の歳月を経て、今尚名作であり続けている。上記のいきさつはwikiや作者のインタビュー記事で容易に読めるので長くは書かない。本作がどのような苦難を乗り越え、どのように名作になったかを考える。ここからは私の予測、考察である。桂正和に恋愛ものを指示した編集は何を狙ったのだろう?初連載作品「ウイングマン」でもラブコメ、美少女戦隊モノの要素が強くあるが、本人はストイックなヒーローものが書きたかったらしく、これらも編集の意向であるという。本意ではないのにそれなりの...この感想を読む

4.04.0
  • ゆっきーmk-2ゆっきーmk-2
  • 2587view
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5.05.0
  • ヒッコヒッコ
  • 771view
  • 507文字

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