人のために祈るってな豊かなもんだな 世界で一番幸せなことかもしれない
アレクサンドラ・レヴァイン
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CIPHERは1980年代のアメリカを舞台にした成田美名子による少女漫画で、1985年から1990年にかけて白泉社「LaLa」で連載された。単行本は全12巻。 美術学校に通うアニス、同じ学校の生徒で俳優兼モデルのシヴァ、その双子の弟サイファの3人がニューヨークを舞台に繰り広げる成長物語。自立や葛藤、家族との軋轢や和解、そして恋愛などの人間関係が丁寧に描かれている。 本作はスタインベックの小説「エデンの東」、聖書創世記のカインとアベルの物語が主要なモチーフとして用いられている。また連載時にニューヨークに存在したツインタワー(世界貿易センタービル)も主人公たちの思い出の場所としてたびたび作品内に登場する。 1989年、本作に関連する作品を集めたイメージアルバムが発売されている。 またシヴァの友人として登場するアレクサンドラを主人公とした続編「ALEXANDLITE」が1991年から1994年にかけて連載されている。
過ちを犯さない人はいないこの物語、少女誌掲載なので当然恋愛が基軸ではあるが、今読み返すととても深い人間ドラマだ。私は連載当時10代後半から20代前半だった。中盤までは少女誌にありがちな活発な少女と有名芸能人の恋愛が主流だ。しかしこの時点でも後半に描かれるテーマはしっかりと刻まれている。どんな人も懸命に生きる中でわずかな過ち、わずかなミスを犯す。それは許されて消えていくときもあるけれど、些細な行き違いやそれぞれのこだわりなどから取り返しのつかないような溝を生んでいく。アニス、ジェイク、ロイ、それぞれの両親たち、主要キャラの全てが過去にいくつかの失敗を抱えている。前半は明るいラブコメ調でもあるが、実はこの時点ではどのキャラも「許された」、という実感は薄く、むしろ「過ちを犯した」という意識から人に優しくしたい、という方向で描かれている。アニスは弟と一見普通に接しながらも彼の障害の原因が自分に...この感想を読む
私が小学校の時、友人が「服とか、とにかく描写が細かくて好き」と言って、私の手元にこのマンガがやってきました。周りの子達が、りぼんやらなかよしやらのよくわからないキャラや、ありえないシチュエーションにハマっている頃でした。が、この何だか現実っぽい生活の中でのストーリーと、アメリカへの憧れから、私は一気にこの作品に引き込まれてしまいました。思えば初めて行った海外はNY。この作品の影響が大です。大きくなって感じたのは、成田さんのリサーチ力のスゴさ。今書かれている「花よりも花の如く」もそうですが、1つ1つの作品への思い入れがちゃんと伝わってきますよね。「NATURAL」もそうなんですけど、描かれている土地の情報があちこちにちゃんと書かれているので、どうしても行ってみたくなっちゃうし、食べてみたくなっちゃうんですよ。まぁ、それだけに1冊出るまでに時間かかるんでしょうけど(苦笑)そして、何といっても私がたまら...この感想を読む
過去、少女漫画は外国を舞台としてキンキンキラキラしておりましたが、成田美奈子や吉田秋生、渡辺多恵子らが「外人だって普通なんだ」ということを知らしめてくれたんだと思います。その、90年代の到達点ともよぶべき作品です。マンハッタン、アメリカ文化のディテールに心奪われ、登場人物の作る料理や服装を日出づる国ニッポンで真似たひとも多いのでは。第1巻では物語の骨格である「カインとアベルの物語」がまだ直接的に強調され、登場人物に慣れたところで巻が終わる感じです。アニスの設定、離婚した両親の間を行き来する少女、というのも「クレイマー・クレイマー」的なアメリカの側面をキッチリ踏襲しているなあ、と今なら思います。
生年月日:1968年2月4日 性別:男性 家族構成:母(別居)、双子の兄、猫のエリー、父は死別 性格:兄と比べると感情が表に出やすい。アウトドア派。愛着のあるものは壊れても手放せない。 特徴:アッシュブロンド、瞳はグレイ、オリエンタルな顔立ち。額の真ん中にやけど跡があるが、ビンディで隠している。 特技:MT...
アレクサンドラ・レヴァイン
ある出来事をきっかけに仲違いをした主人公の双子の兄弟。その片方の親友が、二人が会うことになっている前夜に彼らのことを思い、言った言葉
ロイ・ラング
すれ違ってしまった双子の兄弟が、それぞれに友情や信頼、愛を得て、過去からの様々な思いを断ち切って、再び二人の人生を歩みだすラストに思う言葉