単なる勧善懲悪ではなく… 現実に繫がるフィクションのありかた - シンドラーのリストの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

単なる勧善懲悪ではなく… 現実に繫がるフィクションのありかた

5.05.0
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
4.5

ドイツ人の実業家、オスカー・シンドラーが、第二次世界大戦中のポーランドで、100人以上のユダヤ人を救った実話を映画化。 スピルバーグ監督作品の中でも異色の存在で、後に「プライベート・ライアン」や「ミュンヘン」を手がけることになった嚆矢といっていいのではないでしょうか。 収容所で死を待つばかりの人々を「貴重な労働力」として採用、収容所の所長が残忍な人物に変わると、「労働力の確保」と称して、労働者たちを安全な収容所に移送するリストを制作しはじめる。シンドラー自身の立場にも危険が迫り、命を賭した救出作戦となった。 冒頭と最後を除いてモノクロの作品。およそ3時間にもわたる長大な物語ながら、飽きるひまはありません。 途中、一部分に色彩が用いられていますが、その用い方にもとても繊細で、考え抜かれた「意図」を感じます。 シンドラーもアーモン少尉も、100%善、100%悪の存在ではありません。その葛藤、心のゆらぎも織り込まれた話が、単にホロコーストの中の英雄物語としてでなく、この映画を重厚にしています。 最後のほう、シンドラーが救ったユダヤ人たちの子孫が、手を繋いで微笑みあうシーンがあります。 フィクション(映画)が現実に繫がった瞬間だな、と思いました。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

赤い炎が燃えた・「シンドラーのリスト」

赤い炎が燃えた・「シンドラーのリスト」先ず、日本人の杉原千畝(ちうね)という人をご存知であろうか・・?、第二次世界大戦の真っ最中、ヨーロッパのリトアニアという国でドイツから迫害を受けるユダヤ人・六千人の命を救った日本の外交官で、通称・日本のシンドラーとも言われている人物です。「シンドラーのリスト」は、ドイツ人の会社経営者オスカー・シンドラーが、迫害受けて死に追いやられる(アウシュビッツ人間処理場)ユダヤ人を、1,100人以上もすくったというノンフィクションの物語です。この映画は、はやりモノクロでしか描かれないであろう、余りの残逆シーンのため。 それでも、プロローグにおけるロウソクの火のみが、何かを暗示するようにカラーで始まり、更に、物語の息も付かせないほどの緊張シーンで、集団の中でのイタイケな少女が一人だけカラーで描かれているのです。 勿論、時が流れて現代にタイムスリップするところは、全編が...この感想を読む

5.05.0
  • orimasaorimasa
  • 189view
  • 595文字

関連するタグ

シンドラーのリストが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ