一つの命を救える人は、世界も救える
イザック・シュターン
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シンドラーのリストは映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグ監督により、第二次世界大戦時代のユダヤ人のホロコーストを取り扱った戦争映画である。 実在したドイツの実業家、オスカー・シンドラーの生涯を、戦争時代を背景に描いた本作品は、シンドラーが経営する軍需工場の生産の為にユダヤ人を労働者として受け入れることにより始まる。 始めこそはユダヤ人に嫌悪感を抱いていた彼は次第に収量所送りになるユダヤ人を救いたいという野望が生まれ始める。 カラーが主流であった時代に敢えてモノクロでの撮影を行ったスピルバーグ監督に当初、周囲は否定的であったが、第二次世界大戦の実状をドキュメンタリー番組のように鑑賞することが出来、またモノクロの劇中に突如登場した、赤いコートを着た少女が与えた衝撃的な印象が絶賛され、第66回、アカデミー賞において、7部門を受賞。他の映画監督に、この映画を越えるホロコーストを取り扱った作品は出来ないとまで言わしめた、戦争映画を代表する作品である。
赤い炎が燃えた・「シンドラーのリスト」先ず、日本人の杉原千畝(ちうね)という人をご存知であろうか・・?、第二次世界大戦の真っ最中、ヨーロッパのリトアニアという国でドイツから迫害を受けるユダヤ人・六千人の命を救った日本の外交官で、通称・日本のシンドラーとも言われている人物です。「シンドラーのリスト」は、ドイツ人の会社経営者オスカー・シンドラーが、迫害受けて死に追いやられる(アウシュビッツ人間処理場)ユダヤ人を、1,100人以上もすくったというノンフィクションの物語です。この映画は、はやりモノクロでしか描かれないであろう、余りの残逆シーンのため。 それでも、プロローグにおけるロウソクの火のみが、何かを暗示するようにカラーで始まり、更に、物語の息も付かせないほどの緊張シーンで、集団の中でのイタイケな少女が一人だけカラーで描かれているのです。 勿論、時が流れて現代にタイムスリップするところは、全編が...この感想を読む
ドイツ人の実業家、オスカー・シンドラーが、第二次世界大戦中のポーランドで、100人以上のユダヤ人を救った実話を映画化。スピルバーグ監督作品の中でも異色の存在で、後に「プライベート・ライアン」や「ミュンヘン」を手がけることになった嚆矢といっていいのではないでしょうか。収容所で死を待つばかりの人々を「貴重な労働力」として採用、収容所の所長が残忍な人物に変わると、「労働力の確保」と称して、労働者たちを安全な収容所に移送するリストを制作しはじめる。シンドラー自身の立場にも危険が迫り、命を賭した救出作戦となった。冒頭と最後を除いてモノクロの作品。およそ3時間にもわたる長大な物語ながら、飽きるひまはありません。途中、一部分に色彩が用いられていますが、その用い方にもとても繊細で、考え抜かれた「意図」を感じます。シンドラーもアーモン少尉も、100%善、100%悪の存在ではありません。その葛藤、心のゆらぎも織り込...この感想を読む
巨匠スピルバーグによるナチスによるユダヤ人迫害を描いた映画。あえてドキュメンタリータッチを出すために全体が白黒であってごく一部にだけ、演出上の効果としてカラーが使われています。ナチスに取り入って金儲けをしようとするシンドラーに焦点をあて、その活動の中でサディスティックな収容所の所長を対比的に配置し、ユダヤ人女性のメイドと秘書など、歴史的な素材でありながら、ひとつの見るに足る作品に仕上がっています。シンドラーはナチスの迫害の実態を知って、ユダヤ人を救済する側に回るのですが、このあたりは多少誇張はあるものの、史実に基づいているそうです。悲惨で重苦しい題材ながら、まったく飽きずに、最後まで一気に見てしまう出来です。この辺はさすが見る人間の心の機微を理解しているスピルバーグだという気がします。重苦しいだけのドキュメンタリーでなく、映画作品として見れる一品です。
イザック・シュターン
シンドラーが自身の工場から逃げ出す際、救い出したユダヤ人達に指輪を贈られ、そこに彫り込まれていた言葉をイザック・シュターンが感謝と共に説明するシーン。