これ以上にない作品
「有る」事のひもじさ、「無い」事の豊かさ
劇中で主人公が タイムスリップしてしまった幕末の日本。
現代の日本の医学を以ってすれば、 生きられる筈の人々が
当たり前の様に 命を落として行く。
文化、芸術、政治、価値観 、全てにおいて、まだ 乏しかった その時代。
それでも、そこで生きている人々は皆
共に笑い、泣き、喜び、苦しみ、悩み、迷い 生きていた。
訪れるであろう未来に 想いを馳せて…。
何もかもが、満たされ過ぎている 現代の日本。
引き換えに、希薄になってしまった 人間同士の繋がりが、
とても眩しく、そして 切なく 映りました。
隠されたメッセージ。
色鮮やかに美しい 万華鏡。
時折 、音を立てて揺らめく様が、
限りある人生の 一瞬 一瞬であるかの様で、
目を凝らさずにはいられませんでした。
出会い、別れ、始まり、終わり、
2度とない その煌めきは、
偶然でも 必然でもない。
自分自身で描くものだと、
強く 心に響きました。
捲りめく移り変わる 季節の中で、
ほんの些細な出来事にも、しっかりと向き合って
大切に育んで行きたいです。
「神は 乗り越えられる試練しか 与えない」
物語に散りばめられた 素敵な言葉。
ひとつ挙げるとすれば、この言葉。
試練を 違う角度から切り取った この言葉に、
強く引き寄せられ、不思議と
無断に背負い込んだ荷物を 受け止めてくれる様な
とても優しい言葉でした。
日々の暮らしの中、様々な試練に差し掛かる度
この言葉が思い出され、そしてまた
この作品に触れたい衝動に駆られます。
動き出す偉人たち。
主人公が迷い込んだ時代。
長く続いた歴史が、移り変わろうとしている最中。
社会の教科書には必ず載っている、その時代の偉人たち。
個性的な俳優陣が 見事なまでに、演じています。
「演じる」と言う表現が 間違いではないか‥
と、思わせる程に。。。
劇中で彼らが動き出す度に、あの 教科書で見た偉人たちが
飛び出してきてしまったのではないか? と言う
感覚になり、キャラクターに自然と 感情移入していました。
奥ゆかしくも、強く。
この作品で描かれている 女性は皆、
しっかりと根を張り、まっすぐ咲いていました。
どんな逆境にいても 決して
ジタバタする事などなく、
ただただ 前を向いて‥
想い慕う あの人の為だけに。
自身に置き換えてみた時、同じ様に
咲いていられるだろうか‥
同じ女性として、憧れを抱きつつ
運命に翻弄される その儚さに
涙しながら 共感を覚えました。
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