中途半端な存在意義 - イースの感想

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イース

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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感想数
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中途半端な存在意義

3.63.6
映像
4.0
ストーリー
2.0
キャラクター
2.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

主人公のキャラクター性

OVA作品「イース」主人公であるアドルにおいては、キャラクター性が中途半端に感じました。アドルの行動に必然性が薄く、アニメ本編における不自然さがあります。アドルが旅する目的に、観る側は感情移入できないです。元々は、ゲームコンテンツである「イース」という作品においては、そのままの設定を反映させ、OVA化させたのかもしれません。しかし、勇者の血筋を引いた存在というわけでもなく、命を懸けて、見知らぬ大地を救う冒険に、アニメ作品としての感情移入はできないように思います。私自身の率直な感想としては、ゲームコンテンツとしては成り立つのかもしれませんが、アニメ作品としては厳しいものだと感じました。アドルという人物は、興味本意で旅をしている冒険家、というようにしか映らないように思うのです。命を懸けるのであれば、懸けるだけの理由が必要であり、その部分の描き方が弱い物語なのではないでしょうか。同じく、ゲームコンテンツからアニメ化された作品として、「ドラゴンクエスト」を比較対象として挙げることができます。私の知る限り、「ドラゴンクエスト」は違う原作者の元で、2回のアニメ化がされていますが、いずれもストーリー性においては、主人公が旅をする明確な理由がありました。ゲームの内容をそのままアニメ化するようなことはされていません。物語の根底部分から、違和感が強いのではないでしょうか。また、アドルは剣士としては未熟で、旅を通じて成長していきます。RPGらしいといえば、それらしい物語展開なのかもしれません。しかし、アニメ本編の冒頭を観る限りでは、ほぼ冒険の素人のように感じられます。この背景で、魔物を退治して、国を救おうとしていることにも驚かされるものがありました。剣士としての自信があるからこそ、国を救うという行動があるのだと思います。格闘技に例えるなら、ボクシングをしたこともない人が、「ボクシングの世界チャンピオンになる」と言い出すくらいに不思議なことだと思います。

世界観について

魔法使いのような人物が存在せず、剣で戦っていくのが、「イース」というコンテンツの特徴なのでしょうか。
ファンタジーな世界観において、魔法要素が薄いように感じました。特に、魔物との戦いにおいて、魔法で戦うことがありません。剣で戦う一辺倒のスタイルなのです。そういった世界観が、映像の面白みを薄くしてしまっているように感じられます。やはり派手な魔法によるインパクトは大きいです。それにより、魔物を一掃する様子は、観ていて爽快感があります。しかし、その部分が欠けた「イース」というOVA作品には華がないように感じられるのです。しかし、魔法要素に成り代わり、主人公の成長要素として描かれていたのが、装備品の存在だと思います。主人公の装備は、2回のモデルチェンジをしており、格好が派手になっています。強そうになっている反面、未熟な主人公には、勿体ない装備品だと感じてしまいました。また、装備品において、重要なのは設定だと思うのです。どのような武具・鎧なのか、そこが語られていないと、格好が変わっても、その凄みが伝わってこないのです。ただ、外見だけが変わったようにしか映りません。せっかくの装備品も、その部分の描写が弱く、活かされていないのではないでしょうか。また、「イースの書」を集める、という単調な物語になっていることも面白みを欠いているように思います。魔物と戦い、打ち勝って、「イースの書」を手に入れる構成が、ずっと続きます。あまりにもワンパターン過ぎるのではないでしょうか。冒険要素として、構成・展開がワンパターンであり、先が読めてしまいます。また、意外性においても弱いことは痛恨ではないでしょうか。ワンパターンと思わせておいて、意外性を演出する意図的なものなのか、と考えていました。しかし、ワンパターンのまま、物語は終わってしまったように感じられます。

ヒロインの存在

主人公アドルの冒険する目的として、二人のヒロインの存在は大きかったように感じられます。逆にいうと、一般的な感覚でいうなら、アドルの冒険する目的は、二人のヒロインの存在しか思い当たりません。可愛らしい女の子を救う為、守る為に戦うだけで、男性キャラクターの行動する目的は十分だと思います。しかし、アドルと二人のヒロインの関係性においても、強調している場面はありません。物語として、そこに恋愛要素を持たせていれば、アドルの行動における必然性は強かったのかもしれません。せっかくのヒロインの存在が、上手く機能していないように感じられます。アドルとの関係性も踏み込めていないことが、存在感を薄くしているように思えます。とても勿体ないことではないでしょうか。活かすも殺すも、制作スタッフの腕によるものだと思います。しかし、中途半端な印象が拭えず、強調させるべきものを強調させれていないように感じます。

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