前シリーズと印象が違う!
戦闘機デザイン
前作「超時空要塞マクロス」から戦闘機デザインが大きく変わったように感じられます。
F15型戦闘機を強く意識したデザインだった前作と比較して、モチーフが戦闘機であるのは分かりますが、F15型らしさが消えてしまったように思います。正直な感想、格好悪くなったように思え、残念に感じてしまいました。
また、ガルドの青い機体は、脳波により機体コントロールされているようで、操縦の上手・下手という部分を超えてしまっています。
技術が進むことで、こんな機体が開発されたのでしょうが、マクロスという世界観においては観たくなかった光景でした。ただし、ガルドの機体は、ステルス戦闘機を意識したようなデザインで、前作ほどではないにしろ、それなりの格好良さではあったように感じられます。
主人公イサムの乗っていた機体が、格好悪く、戦闘機らしいシルエットでもなかったように感じられました。
そして、航空機としても空気抵抗が強そうで、現実社会では実現できないようなものだったように思います。どうして、こんなメカニカルデザインが成されたのか、不思議で仕方ありませんでした。しかし、アニメ本編を観ていることで、その不思議が解消されました。
イサムの機体は、戦闘機というより、怪鳥を意識したメカニカルデザインが成されていたのだと思います。それを表すかのように、イサムの機体のシルエット、影を強調するような場面が幾つかあったように思います。
そして、イサムの機体におけるシルエットは、戦闘機というより、完全に怪鳥寄りだったのではないでしょうか。
その部分では整合性は感じたものの、やはりメカニカルデザインとしては不満です。
特に、主人公が乗る機体なのですから、惚れ惚れするような格好良さを感じさせるデザインであって欲しかったです。ただ、ガルドのような脳波による機体コントロールシステムを主人公機には採用しなかったのは英断だったでしょう。イサムの機械も、ガルドと同じようなシステムで機体コントロールされるのであったなら、あまりにも悲しかったです。
主人公の魅力
主人公イサムと、ライバルであるガルドの二人の個性が対称的であったことが、「マクロスプラス」というOVA作品の魅力になっているように思います。
イサムについては、「Going My Way」をそのまま表したようなキャラクター性です。
他のアニメ作品で例えるなら、「花の慶次」前田 慶次、「北斗の拳」雲のジュウザのような「雲」をイメージさせるキャラクター性なのだと思います。ただ追加されている設定として、空に対しての強い憧れとこだわりという部分でしょうか。それがあることで、戦闘機パイロットという位置付けを強固なものにしています。また、空への憧れ、飛ぶことへの憧れは、男性目線で受け止めれば理解できないこともありません。観る側として、イサムの気持ちを理解して、受け入れることは容易なのだと思います。
そして、その受け入れることが容易であることが重要だと思います。
観る側がどれだけアニメ本編に感情移入でき、楽しむことができるのか、それはイサムの気持ちを理解することに懸っているのです。イサムの心情・気持ちが一般人では理解できないものであれば、アニメ本編と観る側の間に距離を空けてしまうのではないでしょうか。距離を空けてアニメ本編を観ることは、作品を楽しむことに対して、障害でしかないように思います。
ライバルの個性
主人公のライバル役ガルドは、戦闘機パイロットとして、更には、恋敵としてライバル関係にありました。
同じ二つの軸でぶつかり合っている様子は、アニメ本編の面白みだったように思います。
また、キャラクター性も主人公イサムとは対称的な存在だと思います。沈着冷静であり、用意周到なガルドは、人間的というより機械的な印象をもちました。また、ヒロインのミュンに対しての、紳士・ナイトぶりは格好良いものに映りました。なにより、ミュンを守ることに徹底されたガルドの行動は、心を打たれるものがあります。
ただし、キャラクター性では対称的な印象をもつイサムとガルドですが、根幹部分は同じだということを強く感じます。
それは、戦闘機パイロット、恋敵と同じ二つの軸で争っていることからも明らかなのだと思います。どちらも好きであることが同じだからこそ、争いになるのです。すなわち好きなものが同じである事実は、根幹部分が同じであることを明確に表しているように感じられます。
対称的に映るイサムとガルドですが、根幹部分は同じで、それぞれアプローチの仕方や手法が違うだけなのだと、振り返って考えてみると思うことです。この二人が、お互いを認め合い、協力する体制がもっと早かったのなら、物語結末は違っていたように思います。
この二人はそれぞれ、自分と根幹部分が同じであることを分かっていたのでしょうか。
きっと分かっていなかったのでしょう。そう思ったとしても、誰かに指摘されても、絶対に認めることはなかったように思います。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)