マザーグースを知ったきっかけの作品です。
ワガママおぼっちゃまの美しいお話です。
とにかく絵が怪しくてきれいです!19世紀後半、ヴィクトリア時代のイギリスを舞台に、主人公のワガママおぼっちゃまカイン、彼の忠実なる執事であるリフ、カインの異母妹マリーウェザーを中心に、童話やマザーグースをベースにした物語が展開していきます。カインは貴婦人たちがため息をつくほどの美少年、彼の信頼する執事、リフとの距離感がまたたまりません!マリーウェザーはとにかく可愛らしくて、カインが溺愛してしまうのも納得できます。
一つひとつの物語が魅力的です。
カインの周りではいつも怪しげで美しい事件が溢れています。カインは父親に虐げられていた悲しい過去を持っていますが、リフやマリーウェザー、マリーウェザーに求婚しに足しげく訪ねてくるオスカーなど、温かい人々に囲まれながら暮らしています。自身の過去や、最大の脅威である父親と対峙し、ときには誘拐され、ときには大怪我をし、ときには裏切られながらも必死に父親の愛を探しています。物語が進むうちに、キャラクターの心の傷やカインの父親の謎など暴かれていきますが、心が締め付けられるような悲しい展開が何度かあります。そのたびに自分の大切な人を思いながら這い上がるカインの姿に、涙を我慢することができません。
出てくるキャラクターも一人ひとり魅力的です。
一人ひとりのキャラクターがしっかり描きこまれていて、どの人物も魅力的です。どのキャラクターも辛い過去がありますが、その過去があったからこそ深みのある人物になっています。私は特にマリーウェザーが好きです。小さいながらもしっかりした考えを持っていて、ときには大人を口で負かしてしまいますが、カインのことが大好きで愛らしい子どもっぽいところもたくさんあります。スラム出身なのに伯爵家に引き取られ、贅沢な生活をしながらも周りの大人たちから陰口を叩かれるというマリーの姿に、いじらしさを覚えるのです。
ぜひホラー系が好きな人に!
ベースはカインが謎を暴いていくミステリーですが、血の表現がかなり多いです。また、グロテスクな表現が結構あって、拷問器具も登場するので、そのようなものが苦手な方は要注意です。私はホラー好きなので喜んで読みましたが(笑)。
ハッピーエンド?
このお話がハッピーエンドか否かは賛否がわかれるかもしれません。また、終わり方の解釈も人それぞれかもしれないです。最終巻である8巻はずっとドキドキして読みました。終わりの辺りは爽快感に溢れていましたが、最後の最後はちょっとモヤッとしました(笑)。でもそこもこの作品の魅力です。
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