イメージはダリの『記憶の固執』 - ターンの感想

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ターン

4.254.25
文章力
4.50
ストーリー
4.25
キャラクター
4.00
設定
4.75
演出
4.25
感想数
2
読んだ人
4

イメージはダリの『記憶の固執』

4.04.0
文章力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.5
設定
4.5
演出
4.0

目次

誰もが一度は想像する一人だけの世界

この主人公もいかにも北村薫らしいですね。

誰もいない世界に飛ばされても

服を買ってお金を払い、毎日何かしら行動する。

北村薫の書く主人公っていつもそんな感じ。

モラルがあって、感受性が豊かで

新しいもの好きで、ちょっと昭和っぽい。

同じ女としては、こうありたいと思うような、

身近にいたらちょっと気後れさせられるような、

そんな主人公です。

でも一人だけの世界が長くなると

叫んだり、何もしなかったり、体を打ち付けたり

そういうのが簡単に書かれてますけど

その葛藤っていうか、寂しさと絶望みたいな所を

もっと覗いてみたい気もしました。

主人公は版画家で、メゾチントっていう技法(?)を

使って絵を描くのですけど、

私はメゾチントを知らないままに読み進めていて、

いつの間にかこの話を思い浮かべるとき

いつもダリの『記憶の固執』が

浮かぶようになりました。

時の残酷さっていう点で似通っているのかな?

頭の中の声?どういうこと?

最初の場面から文体が口語で、

しかも主人公と会話しててちょっと読みにくい!

彼が実際に現れたときは「ああ…」って感じだけど

そこまでは慣れない文体に苦労しました。

主人公が一人の世界に飛ばされたときも

口語の文体がなければもっと独りが

際立ったのかな…と思います。

あと、登場人物がすっごく少ない!

一人の世界なのだから当たり前だけど、

だからこそヒーローをもう少し

かっこよくしてほしかったかな~。笑

恋愛ものじゃないし、ヒーローっていうのとも

少し違う気はするけど、

主人公に感情移入させられながら読んでるのに

ちょっといけてないおじさんに惹かれられると

少し気持ちが離れちゃいました。

もちろん彼はすごく優しいし

主人公とは運命的なものを感じるけど

だからこそ特別な魅力が欲しかったなー。

最後の展開がいい!手に汗握りました

あの犯罪者の怖いこと!

そりゃ私だって一人の世界になったら

車は飛ばすしお金も払わないと思うけど。

ずっと穏やかな感じで来ただけに

柿崎の嫌な感じがどきどきする…。

表札を変えたり、電気を消したりして隠れる場面は

はらはらしました!

そのあとの取りつかれたように作品を作って

病院で目が覚めるとこ。

意識不明の間の人の話って結構あるけど

なんとなくすっきりする目覚めかたでした。

『スキップ』を先に読んだだけに

『ターン』も戻れないんじゃないかと思ったけど

目を開くとこはほっとしましたねー。

やっぱりハッピーエンドがいいし。

泉さんはそこまで好きになれなかったけど

目覚めるときの、

「きっと綺麗な目をしていると思うよ」

っていうのはきゅんとしました!

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