童話を独特な切り口でアニメ化している - 不思議の国の美幸ちゃんの感想

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童話を独特な切り口でアニメ化している

3.63.6
映像
4.0
ストーリー
2.0
キャラクター
3.0
声優
4.0
音楽
5.0

目次

元ネタが童話なだけに怖い印象

童話はハッピーエンドなものもあれば、バッドエンドで終わるものも多いです。

作品タイトルだけで、元ネタが童話であることを匂わせる「不思議な国の美幸ちゃん」にも怖いアニメ作品だ、という先入観が付き纏います。きっと、童話の「不思議な国のアリス」を元ネタとしているのだろうと、多くの方が予想すると思うのです。

しかし、物語序盤で、その先入観は一気にひっくり返ってしまいます。ほのぼのとさせる印象は、先入観とのギャップで、大きな肩すかしをさせます。しかし、安堵感のようなものも大きいです。

私は、どちらかというと安堵感の方が大きかったように思います。

また、童話よりも登場人物が擬人化されていたのではないでしょうか。しかも、現代口調で話す登場人物たちは受け入れやすいキャラクター性だったように思います。まさに、現代社会における「不思議な国のアリス」と受け止めても問題ないアニメ作品に仕上がっているように感じられます。

 

何故だか軽いノリ

現代口調で描かれているアニメ作品なので、とてもノリが軽いように感じられ、受け入れすい印象を持ちます。

物語の展開だけで、勝負しているアニメ作品だと感じられます。次の展開がどうなるのか、これまでの話の流れを一切無視したような突拍子もない展開が多く、先のことが見通せないような作りになっています。観る側に予測させるような展開ではなく、驚かせるような展開を意識されていることが伺えます。

ただし、主人公の美幸に危害が加わらないし、命の危険に迫られる展開はないであろう、とは想像できるので肩の力を抜いて観ることができるのかもしれません。ファンタジーでありながらも、どこか気の抜けたアニメ本編の印象が、そこだけは担保されているように思えます。

難しく考えさせられる要素はないし、危機感や緊張感はありません。

きっと難しく考えてみても、結論はでないアニメ作品なのだと考えられます。

だからこそ、肩の力を抜いて観ることができるのだと思います。ノリの軽いアニメ作品だと感じられるのは、そういった要素が強いからではないでしょうか。きっと、幼児向けの絵本でも見る感覚で、「不思議な国のアリス」というアニメ作品を楽しめば良いのではないでしょうか。

 

何故だかレズ要素

不思議な国の登場人物たちは、全員が女性で構成されているようです。誰ひとりとして、男性キャラクターが存在しません。そして、登場人物たちは喘ぎ声を出し、美幸を誘惑してきます。私たちと一緒に楽しみましょう、という勢いで、少しアダルト要素が含まれているように感じられます。

そして、その誘惑から全力で逃げる美幸という構図で物語展開していきます。

この部分においては、脈絡がなさ過ぎて理解に苦しむところです。どのように解釈すればよいのか分からないです。ただ、深く考えても結論は出ないように思います。前述のように、何も考えなくて良いのではないでしょうか。

ただ、言えることは、ずっとそんな展開が不思議な国で続きます。これは、お笑いでよく使われる手法の「天丼」で構成されている、と言えます。ボケに対して、ツッコミが不在のアニメ作品です。そして、ずっとボケ倒されていることが徹底された構図なのだと思います。

レズ要素が強い理由は分かりません。しかし、レズ要素を繰り返ししつこく打ち出すことで、意図的に、観る側を笑わせようとしているように感じられます。

 

何故だか夢オチ

第一話、第二話に共通しているのが、夢オチであるという点です。ただ、第一話では、美幸が落下する「落ち」と「オチ」が係っています。第二話では、自分自身の姿・形が同じ分身と脱衣ルールのチェスを行うことにより、どちらが勝っても自分自身が裸になってしまい、結果が同じである点がオチになっています。

そして、夢から目覚め、現実社会での目覚める構図になっています。

「夢オチ」と呼ばれるものは、書物においてもアニメ・映画にしても、創作物として、作り手からは禁じ手とされています。これまでの設定や内容・物語の経緯が、全て台無しになってしまうからと考えられているからです。そして、観る側を裏切る行為とされている為です。

しかし、「不思議な国の美幸ちゃん」では、堂々と夢オチとされています。

これは、元ネタである「不思議な国のアリス」と同じ結末を意識され、躊躇うことなく夢オチに着地しているのだと思います。

 

描きたかったものは!?

「不思議な国の美幸ちゃん」において、アニメ本編におけるメッセージ性は皆無といえます。それは、前述の通り、結末に夢オチが採用されているからです。それまでの物語の経緯を台無しにしてしまう結末が、メッセージ性の無さを表していると受け取れます

また、前述の通り、歴史的な童話コンテンツといえる作品をとても軽いタッチで、アニメーション化されています。さらに、脈絡のないレズ要素は、観る側に理解できないものとして映るのではないでしょうか。

それらからいえることは、原作者の「遊び心」を最大限に発揮したものだと考えられます。自由に描きたいことを描いたアニメ作品なのだと思います。そして、深く考えないで、制約などに縛られることなく作品づくりをされていることが伺えます。

夢オチを採用していること、そして、第一話、第二話と立て続けに夢オチにしている事実は、意図的に夢オチにこだわった表れだと受け取れます。また、夢オチから物語冒頭につながる描写は、「遊び心」の象徴のように感じられます。

このアニメ作品「「不思議な国の美幸ちゃん」で原作者が描きたかったのは、「遊び心」なのだと思います。

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