自己嫌悪で誘われた異世界 - 幻夢戦記レダの感想

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幻夢戦記レダ

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
5.00
音楽
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感想数
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観た人
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自己嫌悪で誘われた異世界

4.84.8
映像
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

作画レベルが下降!?

アニメ本編の序盤では、制作された年代が信じられないくらい丁寧な作画だと感心させられました。

しかし、中盤・後半と作画が徐々にレベルダウンしていくのが、手に取るように分かってしまいます。画全体や、主人公のヨウコの顔が歪んでいる場面が数ヵ所に渡って散見されます。

この当時はスタッフの手描きで、アニメーションを制作されていたはずなので、意図的に序盤部分だけは丁寧に作画されていたのだろう、と考えられます。冒頭から観ると、画のレベルが下がっていくように感じられます。しかし、本当のところは、冒頭の場面だけは丁寧な作業をすることで、観る側をアニメ作品に惹きつけようとしていたのではないでしょうか。ただ、冒頭部分と終盤部分では、画のクオリティーが明らかに違うので笑えてしまいます。

 

OVA作品としては珍しい

1巻72分で構成されているアニメ作品で、アニメ本編の時間の長さは劇場版アニメ作品にも匹敵するものです。OVA作品は一般的に1巻30分弱で構成され、数巻に渡って販売されることが多いです。「幻夢戦記レダ」というOVA作品が、とても珍しいアニメであることを表しているのではないでしょうか。

また、原作の存在があってアニメ化されたものではなく、このアニメ作品自体が原作でありオリジナルストーリーとなっています。そういった背景としても、珍しいものでスタッフが本気で取り組んで制作されていることが伺えます。

 

主人公は普通の女子高生

異世界より召喚され、レダの戦士として目覚め、元の現実世界に帰ることを目的としている物語進行においても、違和感がなく自然に飲み込める内容でした。少しずつ「レダ」の存在が明らかになっていく様子が、観る側をアニメ本編に惹きつけていく仕掛けになっているように思います。

「レダのハート」がカセットに吹き込まれた音楽データである、という発想も素晴らしいです。今では普通に発想できるアイデアだとしても、1980年代のアニメ作品として、この発想は斬新なものだと考えられます。カセットという媒体に、音楽データを記録している、という考え方をしていなかった時代です。

しかし、この「幻夢戦記レダ」というアニメ作品において、明らかに音楽をデータとして捉えてられています。その部分が素案・根幹となり、物語や設定を膨らませられています。当時としては斬新な発想であり、観る側に「レダのハート」の正体を読ませない面白い要素として成り立っているのではないでしょうか。

 

自己嫌悪からの現実逃避

物語の根幹にある部分が、自己嫌悪からの現実逃避だと考えられます。主人公のヨウコは、「レダのハート」の正体が明らかになったことで、目的そのものが変わっていることが伺えます。

告白をする勇気がなく、行動に踏み切れずに1年半もの間、躊躇しています。現実世界に帰ることから、自分自身の弱さに打ち勝つこと、明らかにヨウコの目的が変わっているのではないでしょうか。

また、自分自身の弱さ、甘さを乗り越える為の試練であった、と捉えることができます。

作曲するスキルを持ち合わせ、現実逃避に陥った人物であれば、誰でも異世界に誘い込まれていた可能性は高いようです。たまたま、ヨウコの行動が条件に一致していた為、異世界に召喚されてしまっただけなのです。

そう考えると、身近な物語のように思えて、観る側に親近感みたいなものを感じさせるような効果もあったのではないでしょうか。また、誰にでも当てはまるシチュエーションであることが、観る側の共感を誘うものがあったのではないでしょうか。

 

色んな要素が集約されている

分類するなら、どこに分類できるアニメ作品でしょうか。数多くの要素を組み合わせ、世界観が構築されています。魔法少女、異世界、ロボット、冒険活劇、恋愛、ヒーローと色んなジャンルに仕分けできるアニメ作品だといえます。

男性はもちろんのこと、女性向けの要素も多く取り入れられているように思います。制作スタッフが意図的に色んな要素を加えたのではないか、と予想します。ファン層の間口を広げ、OVAを買われる方の分母を広げようとする狙いが明確のように感じます。

結果的に、OVA作品としては異例なヒット作となる要因になったのではないでしょうか。

制作スタッフの戦略勝ちという部分を強く感じられます。また、ロボットでいえば、「レダの翼」は変形機構まで備えており、飛行形態から人型形態に変形させたのは秀逸なアイデアだと思います。また、「レダの翼」のメカニカルデザインもとても格好良く、男性には受ける要素になったのは間違いないでしょう。

ただ、直感で思ったことは、宮崎アニメ「天空の城ラピュタ」と似ている点が多いということです。

「レダの翼」「巨大ロボット」の存在は、「天空の城ラピュタ」の巨人兵を思い浮かべてしまうものがあります。また、宙に浮かぶ城を目指している点も、両作品において類似しているところではないでしょうか。

制作・発表された年代も近いことから、制作スタッフが「天空の城ラピュタ」の影響を受けたように推測させられます。制作スタッフが意図的に「天空の城ラピュタ」に似せたなんてことは考えられないと思いますので(笑

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