物語シリーズのメインストーリー - 猫物語(黒)の感想

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猫物語(黒)

4.334.33
映像
4.50
ストーリー
4.17
キャラクター
4.00
声優
4.67
音楽
3.83
感想数
3
観た人
4

物語シリーズのメインストーリー

4.04.0
映像
4.0
ストーリー
4.5
キャラクター
3.5
声優
4.0
音楽
4.0

目次

物語シリーズのメインストーリー

本作の物語シリーズはひたぎと翼のダブルヒロインとの形で物語が語られています。そのうちのメインヒロインの一人である羽川翼のエピソードで物語シリーズを代表するエピソードであると思います。
本作の猫物語は前作の化物語、つばさキャットの後編といった構成であり、私はシリーズで一番面白いと思います。
本作は黒と白と二つのエピソードがありますが当初は黒猫物語と白猫物語とタイトリングする案があったそうですが猫物語とひとまとめにした現在のタイトルの方が内容にも合っていて良いと思います。
羽川翼はその豊富な知識量からなんでも知っているとの表現が作中にありますがそんな人物でもひとりの人間であり、高校生としては普遍的であることが本作では語られています。
高校生とは多感な時期であり、ほとんどの方が恋愛について考えたことがあると思います。クラスの異性に対し、好意を持って良い関係を築きたいと思ったり、家族に対してやっかみに感じたり愛情を感じたりと思うことがあると思います。そんな高校生にはよくあるような話を怪異譚といった形で物語を模し、語ったのが本作となっていると思います。

『黒』家族との確執

『黒』エピソードでは前作つばさキャットの後編ともいったエピソードで主人公である暦の視点からの物語になりますが暦や翼、メメといったキャラクターごとに家族観に対する考え方や認識が違いとても興味深いです。特に本作品シリーズにおける暦の主人公像とはマンガや映画におけるヒーローなどとは違い、等身大の高校生らしさがありつつも吸血鬼の力を宿しているとの非日常感が暦を主人公たらしめつつも共感を持たせやすくなっているのだと思います。

本作の登場人物である暦達のような高校生の時期とは思春期や反抗期真っ只中とのこともあり、親に対して反抗的になったり、自立心が芽生えたりして疎遠になったりと親としては気難しい時期でもあります。そういった誰もが通るであろう道をアニメとして描かれている作品は偶に見かけますが本作はそんな作品たちを代表するほどの人気作のひとつであると思います。

『白』自身との対話

『白』エピソードでは黒にて語られたブラック羽川というキャラクターに加え、虎を模した苛虎というキャラクターが登場しますが物語の終盤にて語られている様にこの虎も猫もどちらも羽川翼というキャラクターの内面の具現化したものであり、どちらも羽川翼の一部分であり、内なる自分と向き合うことについての物語であると思います。誰しも人間として在る以上は俗に言う七つの大罪である「暴食」、「色欲」、「強欲」、「妬み」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」の内の妬み、嫉妬について本作では描かれています。

この七つの大罪は切っても切り離せない感情であり、高校生という多感な時期では制御しきれずに大事になってしまうケースも多々あります。そんな感情を制御する術は学校社会という限られた社会にて培われるものですが全ての人が正しく学べることではなく他人にどうすることでもなく、結局のところ、家族や友人、先生といった他人から学び、自身にとって適した回答を導くことしか出来ず、そうして大人になっていくのだと思います。

本作がダブルヒロインとして冠されている羽川翼のエピソードとのこともあり、物語シリーズの中でも特に暦が主人公としてのかっこよさが表現されているエピソードでもあるので本作は特にクオリティが高いと私は思います。最終話では言葉ひとつひとつに重みがあり、翼の告白のシーンが印象に残っている方が多いと思います。そんな結末でハッピーエンドとは言えないものの物語の結末としてはとても良い締め方であったと思います。その後の翼も以前の翼もどちらも羽川翼であるが一皮向けたいわば大人な階段をひとつ登った、そんな表現が適切ではないでしょうか?

本作のパッケージ版にて羽川翼の手紙完全版と作中にて語られた手紙の完全版が特典として収録されています。こちらはいち高校生としての内面を良く表現されたものであり、共感できる面が多々あり、自身が高校生のときはそんな人生を達観したようなものの見方は出来てはいませんでしたが大人となった今では十分に理解し、共感できる様になりました。現代の若者にも是非ともこんな考え方が出来るようになって欲しいと思います。

本作の話は言わばいち高校生の恋の話であり、そんな話をアニメ作品として描いたものであり、誰しもが似たような経験があるのではないでしょうか?私はアニメ作品に限らず、こういった創作作品は誰しもが描くことが出来ると思います。実体験や空想や理想に限らずそんな作品についての解釈や理解は作品に触れた人の数だけあり、ひとつにまとめることは出来ません。そんな結末がひとつではないものほど人を集め、魅了し、そんな人々の心に残っていく作品ほど良い作品であるのだと私は思います。

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羽川に共感し、叫喚した

人に頼ることができない、は強さではない物語シリーズの中でも三本指に入るくらい好きです。羽川のことが気になっていたころ、戦場ヶ原と出会う前の阿良々木の話。羽川のことを好き、なのかもしれないと感じていた阿良々木が、街で羽川に会うところから物語はスタートします。自身の家庭問題を阿良々木に打ち明けた羽川のことを阿良々木は『気持ち悪い』と感じるのですが、わたしはその気持ちがなんとなくわかってしまい、素直に辛いと思いました。誰かを悪口なんて絶対に言わない羽川が、相手を悪く言わないよう一生懸命に言葉を選んで話す姿は素直に辛いです。明らかに相手が悪いのに、まるで自分が悪いみたいに話すのです。この気持ちはわからない、という方がきっと多いと思いますが、私はなんとなく共感してしまいました。(それ故にわたしは羽川自体があまり好きではないです…同族嫌悪かな…)そもそも人に悩みを話すことですら、羽川にとっては非常...この感想を読む

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