現代文明へのアンチテーゼ
現在でこそ「Uターン」であるとか「田舎暮らし」という言葉が定着しつつあるものの、そうした事象をインパクトにある形でドラマ化した最初の作品との印象があります。
レギュラー放送の最初の頃は、電気・水道・ガスといったインフラに頼らず、自らの力で生活に必要なエネルギーを獲得するという現代文明とは真逆の世界を描いており、衝撃を受けました。
特に印象に残るのは、大停電が富良野の街を襲った際に、自力で水道と電気を獲得していた黒板家だけが大停電の影響を受けなかったことが放送された回です。
現在、東日本大震災の影響で福島にて原子力発電所が機能不全に陥り、不幸にも放射線物質が排出され、また放射性物質による汚染水が問題となっています。
現代文明が手に入れた便利さと昔ながらの自給自足の生活を対比させて考えるには、よい作品であると思います。
しかしながら、日本経済あるいは世界経済を考えると、「北の国から」で描かれる自らの力で生活に必要なエネルギーや食料を獲得することは困難な時代にあると考えています。
あくまでも、このような生活手段もなくはないという観点でドラマとして見るにはよいと思いますが、日本全国に住む全ての人が実践出来るわけではありません。
自然との共生を否定はしませんが、現代文明へのアンチテーゼという形での自らへの戒めとして視聴し、大災害が起きた際にも「自分の命は自分で守る」という意識の啓発であると捉えながら視聴するのが望ましいのではないでしょうか?
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