日本ドラマ史に残る名作・北の国から
北の国からは、連続テレビドラマとして、1980年代に放送されていた。このドラマの何が良いかというと、良い点をひとつに絞れないところに、このドラマの魅力がある。
まず1点目にキャスト。子役の純と蛍は、オーディションで選ばれたそうだが、オーディションで特に表情を作るなどの飾り気がなく、オーディション会場であったスタジオ内で、屈託なく遊んでいた姿が自然体であったことにより2人は選ばれたらしい。蛍に関していえば、「お前はおでこで選んだ」と脚本家の倉本聰氏に言われたくらいだ。その飾り気のない自然体な、演技とも言えない演技が、ドラマの最初から最後まで光っている。この2人なくして、このドラマは存在し得なかっただろう。また父親役の田中邦衛も、他のどの役者でも出せないであろう、少し弱い一面を持った、頼りなさとたくましさを共存させて持っている父親役を演じている。父親役を誰にするか決めるとき、他に高倉健なども候補にあがったそうだが、この少し頼りない父親を演じさせるには、高倉健では、少し役不足であったとのこと。この田中邦衛の父親役は、抜群にいい配役であったと言えると思う。
次に脚本の魅力もある。倉本聰氏が書いているのだが、実際に北海道の富良野の農家の人のたくましさや、魅力を元に書いているだけでなく、泣かせようと意図することなく、泣いてしまう場面などせつなくなるシーンも、特に最終回に向けてちりばめられている。
また映像美も秀逸である。北海道の富良野の大自然の四季折々の風景や動物などを映しているシーンが、ドラマの間、間にはさまれていて、とてもその映像がきれいなので、見る者は、1度は富良野へ行ってみたいと思うことだろう。
そして音楽。これはさだまさしが担当しているが、メインテーマ曲「北の国から」だけでなく、挿入曲にいたっても、富良野の自然を彩る魅力的な曲達が流れている。
このドラマは、キャスティング、脚本力、映像美、音楽の良さ、この4本柱が、ひとつも欠けることなく揃っている、日本ドラマ史の中でも3本の指に入るドラマと言えると思う。- あなたも感想を書いてみませんか?
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