北海道の魅力が溢れるドラマ
現代の暮らしを振り返る
北海道富良野市の山奥で、電気も水も無い暮らしからスタートするこのドラマは、私たちが今暮らす、便利な現代の暮らしを振り返り、そして立ち止まって考える時間を与えてくれます。薪を焚いて沸かすお風呂、広い野原を駆け回る日常、野生動物が行き交う暮らしは、楽しいだけではなく危険と隣合わせ。ですが、星の輝き、青空の美しさ、緑や草木が身近にある暮らしに憧れる人は数多く、その傾向は都会へ行くほど顕著となります。だからこそ、このドラマは人気を博したのでしょう。幼い子供二人を抱え、離婚を機にはじまる過酷な暮らしの中で、人々の温かさや、自然の恵みに心が癒されます。ですが、そんな暮らしはもう現代社会とはかなりかけ離れてしまっているという寂しさを感じずにはいられない、というのがこのドラマを見た人たちの一番の感想なのではないでしょうか。このドラマは今の時代を生きる若い人達からも人気があります。そして、憧れを抱いているのです。不便だけど温かい、そんなことをこのドラマから感じ取ることができるせいなのかもしれません。こんな暮らし方・こんな幸せもあるのだということを教えてくれます。さまざまなものが簡単に手に入るようになった現代の暮らしの中においても、あえて、このような暮らしを望んで過ごす人達がいるのです。
ノンフィクションかのような構成
このドラマの中で、登場する役者さんたちの多くは日本の役者界を代表する方たちばかり・・長岐に渡って放送されたこのドラマの中で、その役者さんたちも年を重ね、子供が大人へと成長していく過程を楽しむことができます。そしてこのドラマの魅力は、私たちの日常にも起こりうることが多いという点です。子供の親離れや反抗期、そして思春期や問題行動など親が頭を悩ますことが多く巻き起こります。親の気持ち、そして子供の気持ちを知ることができると言う意味でも、家族向けドラマとしてお勧めです。視聴者は一緒になって悩み、涙する場面も多くあります。また、隣人関係の問題や、人の生死など、人として、地域住民としても考えさせられることが多く、思春期の子供たちが見ても、勉強になることも多い内容になっています。子供たちは「大人の世界はこうなのか・・」と知り、大人たちは忘れかけていた若かりし頃を思い出すことができます。ドラマを見ていると引き込まれてしまうのは、その内容に登場する人たちがまるで実際に富良野に存在した人達であるかのようなところにあります。そして、ドラマ上で起こる出来事までも、実際にあったことのように思えて来るから不思議です。人が犯してしまいがちな罪や失敗、生きていくということの難しさについても考えさせられるのです。富良野を訪れると、北の国からのロケ地があちこちに点在していますが、そこはまるで登場した役者さんたちが生きてきた場所であるかのような錯覚に陥ってしまいます。
北海道の魅力が満載
このドラマの最大の魅力は、北海道の大自然です。ドラマの中では時折、東京や札幌など都会でのシーンがあるため、より北海道の魅力が強調されているように思います。何気ない日常の中で交わされる方言にも温かみを感じますが、北海道民の私からすると、少し方言がおおげさな気もします。そんな方言にすら都会で暮らす視聴者は憧れを抱くと言います。ぶっきらぼうな人、口うるさいひと、どこにでもいそうな人達が登場し、ドラマに現実味を帯びさせていると感じます。白い軽トラックや、屋外で泥まみれで働くその姿までも、青空の下では輝いてみえます。農家の家並み、時折見せる野生動物のその表情、厳しい冬の季節や、その過ごし方など、北海道を訪れたことがない人には、その全てが新鮮に映ります。そういった意味でも、このドラマは北海道への憧れを強める番組であったと思います。その影響は、道外の人達だけに止まらず、道民である私たちですら、何度となく足を運びたくなります。そして、その時のBGMはもちろん、ドラマ「北の国から」の中で流れる音楽、「さだまさし」の「北の国から」です。サントラCDは、1つ1つの音楽にドラマのテーマ名が付けられているため、ドラマのシーンで登場する場面と一致させて聞く事ができます。マドンナ役で登場する役者さんの名前がテーマソングに付けられており、その時の、淡くはかない想い出が蘇るのです。そんな楽しみ方も、家族で味わえることの1つだと思います。
このようにドラマ「北の国から」は、たくさんの視聴者から長岐に渡って支持され続け、日本を代表する名作ドラマとなりました。そして、次の時代へと語り継ぐべきドラマでしょう。そしてこのドラマに出演した役者さんたちにとっても、想い出深い作品になったに違いないと思います。それは、北海道の大自然によって作りあげられたものだということができそうです。脚本家の倉本聡さんは、誰よりもそう感じていられるはずです。
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