満島ひかりの素晴らしい代表作品に間違いなし! - 川の底からこんにちはの感想

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川の底からこんにちは

4.834.83
映像
4.38
脚本
4.88
キャスト
5.00
音楽
4.63
演出
4.75
感想数
4
観た人
5

満島ひかりの素晴らしい代表作品に間違いなし!

4.84.8
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
5.0

目次

満島ひかりの才能が凝縮

今やその演技力や存在感から、大女優と言われている満島ひかり。そんな才能ある彼女の代表作とも言える作品。「川の底からこんにちは」の中で演じている彼女には、いるだけで存在感があり、満島ひかりを見ているだけでも飽きない作品と言えるでしょう。

満島ひかりが演じる佐和子は、言いたい事も言えない冴えないOL。その彼女が、駄目な彼氏の裏切りによって、開き直り強い女へと変化していくのですが、見ているうちに彼女の気持ちが、観客にずっしりと乗り移ってくるのです。最初のうちは、満島ひかりのブツブツという早口の話し方に、違和感を覚えましたが、彼女の持っている才能と、佐和子の持っている女の底力が、ぴったりとマッチしてきます。ただ、冴えないOLと言う役、男運の悪いという役どころでしたが、彼女の澄んだ魅力は、冴えないとは程遠かったので、その部分には違和感を覚えました。

気がつけば一緒に泣いている作品

「川の底からこんにちは」を見始めた時には、この作品では絶対泣けないだろうなと、思います。何故かというと、今まで見てきた映画のリズムじゃなくて、とっても変なリズムで展開していく作品だからです。作品を盛り上げるような曲もない、トレンディさもない、あるのは、現実を映し出したようなやる気のない登場人物達の淡々とした台詞です。OLの先輩、上司、彼氏の台詞は、退屈な気持ちにもさせます。しかし、気がつくと号泣していました。

号泣の理由として、佐和子の中に隠されていた愛情が、ベールを脱いだように次々と明かになるからです。母親の事も父親の事も、クールに割り切っていた佐和子ですが、父の死と直面し、母に対しての思いが自分の中に詰まっている事を、佐和子は気づいてしまいます。さらに、あれほど駄目な彼氏だったのに、いなくなった事で、自分が改めて好きだったことに気がつくのです。こう考えると、人間は、何かに気がつく瞬間に感動が生まれるのかも知れませんね。

彼氏役が、とっても上手

佐和子の彼氏役に、非常に腹が立ちませんでしたか?絵にかいたような駄目な男、見栄っぱりで、プライドもなくて、女に頼り、子供がいるのに父親の愛情も感じられない、とってもやな奴です。もちろん、脚本でそういう人物に仕立ててあるのですが、新井健一役の遠藤雅さんは、プライベートでもきっとこんな感じ違いないと、思い込んでしまう方も多いのではないでしょうか?満島ひかりの演技力に隠れているのかもしれませんが、彼氏役の遠藤雅さんの演技力もすごいと思いました。

やっぱり、あの歌が力強い

物語の中に出てくる「中のげ~、中のげ~」という歌がとても面白いと思います。しかも、あの歌に、パワーをもらえます。物語に挿入してくる歌といのは、雰囲気を盛り上げたり、感情表現のためというのが、多いのですが、その期待を思いっきり裏切って、変な歌に仕上げて、あの作業着で思いっきり歌うという、最高の演出で最高の面白さに仕上げました。もちろん、歌詞も最高です。

電気の消し方

佐和子の電気の消し方が気になります。足さきで、電気の線を引っ張り消す方法ですが、ちょっとやってみたくなりました。きっと、監督も実際にやっているのかも知れませんね。足がつるという事が起きるのも、とってもリアルで、良いシーンだと思います。

このシーンは、重要な場面を描く部分とし手、2回ほど、描いています。それは、新井の子供である加代子が、足がつって痛がっている佐和子に「大丈夫?」と言葉を発するのです。加代子は、滅多な事では自分から話をしない子供。そんな加代子が佐和子に対して、「大丈夫?」と心配をみせるのは、2人が仲良くなることを予想させてくれます。このあらかじめの伏線は、あれほど子供を嫌っていた佐和子と加代子の間に、確実に何かが芽生えた事を意味します。

このような、一瞬の場面、ちいさな出来事の中に、本当の人間の気持ちが隠れているのではないでしょうか?泣き叫んだりするよりも、奥深い感情を知ることができます。

変な個性的な役者陣に心を奪われる

絶対に、回りの登場人物は皆さん、変ですよね?個性的という事と、変と言う事は、なんだか紙一重の様な気がします。「川の底からこんにちは」に登場している俳優達は、良く言えば個性的、悪く言えば変な俳優さん達ばっかりのように思えます。

佐和子の父である木村忠男、死ぬ間際の人間らしさが、ほとんど感じられません。淡々と話す、嘘臭さ、佐和子との会話もぎこちない。父親の不倫相手として、パートのおばちゃん、ひそかに佐和子は、母親になるのでは?と慕っていきますが、彼女は冷たく、優しい、掴みどころのない登場人物です。役者の上手さももちろんありますが、人物を、これだけバラエティーに描きだし、しかも主人公を食うわけでもないという脚本の絶妙さが、際立っています。

満島ひかりは、監督と結婚しました

「川の底からこんにちは」で満島ひかりと監督と脚本を手掛けた、石井裕也と結婚しています。この映画の完成度の高さからみても、納得できると言えるでしょう。

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他のレビュアーの感想・評価

満島ひかりの演技力

この作品を観るとなんとも清々しい気分になる。満島ひかり演じる主人公は父親の病気をきっかけに、父親のシジミの加工工場を継ぐ、という話だが、まず、シジミの加工工場という設定がなんとも地味だ。そして、同じく登場人物もどこにでもいそうな感じでみんな地味だ。主人公は自分の人生を「中の下」と言っている点も面白い。自虐ではなく、開き直っているのだ。だからこそ、ここぞという時に力の出る人物なのだと思う。主人公はシジミの加工工場を立て直すために、まずは働き手の気持ちの改革に取り組んだ。いつもやる気のないパートのおばちゃん達、、、そんな人達と一緒に自分が作詞した社歌を歌うシーンが一番好きだ。内容は社会や自分の人生への嘆き、そして「シジミのパック詰め〜」という、一見社歌とは思えない内容の歌だが、自分の腹の中にある愚痴や不満を朝みんなで大声で歌うことで、みんなすっきりした気持ちで仕事に臨めるのだ。歌い終わった...この感想を読む

4.54.5
  • hearlohearlo
  • 65view
  • 548文字

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