斬新。
高校生の時に図書館で読みましたが、奇妙な設定に驚いたのを覚えています。一切の感情を切り捨てた単調な「作文」形式であるのに関わらず、痛いくらいに双子の気持ちが感じさせられたり…。
印象的だったのは、特訓の話と、物乞いの下り。
互いを鞭で打ち合って痛みには慣れても、優しい言葉に涙が溢れるところや、「金貨やお菓子は捨てられても、頭に受けた愛撫は捨てることができない」のところです。この部分がとても印象的で、忘れられない。
まだ幼い少年の話であることをふと思い出して、切なくなったのを覚えています。垣間見える必死さが、「悪童」の呼び名に似つかわしくない程哀しい。兎っ子が死んだところなどもそうですが、作中では余り描かれていない、背景にある「戦争」の言葉がずしりと重く感じました。
味気ないくらい単調な文書だからこそ、ふとした描写にはっとさせられる。こんな小説もあるんだなぁと、斬新さでいつまでも頭に残っていて、高校卒業後に購入した一冊です。
ラストは展開が早くてついていくのに必死でした。もう少しゆっくり読みたかったなぁという感は少し残念です。
随分古い作品にも関わらず、最近映画化もされたみたいですね。正直映像化してしまうのはどうなんだろうと思いつつ…見てみたい気もします。
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