観る人がストーリーを簡潔させる映画
平和で平凡な映像とキャラクターによって展開されますが、映画を観終わると気持ちがすっとする気持ちの良い作品です。杖なしでは歩けない静かなおじいさんアルヴィンが、音信不通だった兄が脳卒中で倒れた知らせを聞いたことから会いに行くことを無言で決断します。心配する娘に対して十分に説明することなく行動に移してしまうことで余計に心配させてしまいます。何か物思いにふけ、セリフではなく表情で語ることによって、過去に兄との間に何があったのか、お互い年を取りあと何年生きられるか考えた時やり残したことはないか、娘の心配を理解してはいるが年老いても親は自分である、等の思いを想像して受け手によって話の形が変わっているのではないかと思います。唯一運転できる芝刈り機が動かなくなるという地味なトラブルもありながら、出来る範囲内でベストを尽くすアルヴィンがとても愛おしく応援したくなります。アルヴィンにとって厳しい道を乗り越え「やっと会えたー!」と観ている方は感動するのですが、当のアルヴィンと兄は特に言葉を交わすことなく星を見上げるだけで和解し、心の会話を想像してしまいます。ストーリーの始めから終わりまで余計な音楽やセリフがないので、雰囲気で「親兄弟や友人を大切にしなさい」というメッセージをストレイトに教えられた、まさに「ストレイト・ストーリー」です。
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