見終わったあとの気分の悪さが、最高でした。
私のとても好きな作品です。
ファンタジーというジャンルにまんまとだまされた感じ。いい意味で裏切られた作品。
私の知識不足で、スペインの内戦などの歴史背景は全く知らない状態だったのですが
戦下においては、純真無垢な子どもにも例外なく酷い現実はふりかかるんだっていうことをまざまざと感じさせられた思い。
見終わった後は、正直いや~な気分でした。
でも、この胸焼けする様ないや~な感じがすごく好き。
劇中の描写は、妖精も出てくるし、妙なモンスターも出てくるし、
ちゃんとファンタジー要素は 満たしているはずなんだけど、ファンタジーを見てるって感覚は、冒頭からほぼ無かったです。
だって、妖精といっても 気持ち悪い虫が気持ち悪い妖精になっちゃうし。
世間的に言うティンカーベルみたいなキラキラした妖精とは真逆な、なんせ不気味なやつ。
主人公のオフェリアに試練を与える、番人パンも丸っきり悪魔の様相そのもじゃないですか。
普通の感覚だったたら、「そんな怪しいやつ、絶対悪者だよ!騙されたらだめだよ、オフェリア!」って気持ちになります(笑)
そういう、そこかしこにある、怪しさが本当に魅力的な映画。
極めつけは、「ペイルマン」。 この世で一番怖いと思いました、本当に。
トラウマって、幼少の時に陥るもんだと思ってましたが、
30歳前の立派な大人の時に見た このペイルマンが、私のトラウマです(汗)
同時に、こんなおぞましいものを創りだす監督ってすごいなと!
何が怖いって、体つきがヌルッとした老人の体。もうこんなリアルに怖いのないです。
得体のしれない前代未聞の生物ならば、わずかに興味の気持ちが生じます。例えばエイリアンとか、プレデターとか。
怖いもの見たさで、顔を手で覆いながらチラっと見てしまうような。でも映画の中の存在だと無意識に割り切れる怖さ。
それが、このペイルマンは心の底から「見ちゃいけないもの」見てしまったー!っていう底知れぬ恐怖。
気を抜いたら、我が家のこたつにも座ってるかもしれない身近さ(そんなわけ絶対にないんですけど)。
40歳を目前にした私、未だに脳裏に焼きついて離れません…。
顔に目がない!!まさかの手のひらにある目を見開いて、追いかけてくるって…!どういう発想なんだろう?気が狂うしかないです。
画面の描写の暗さと、おぞましい見てくれのモンスターたちが、最初から最後までファンタジー気分になることを 許してくれませんでした。
それでも、どこまでもオフェリアは 怪しい彼らの事を信じるし、自分が地底の世界の王国の姫君であることを信じ続けるんですよね。
義父に撃たれて、死ぬ時まで信じていることがシュール過ぎました。
もう、この救いようのなさが戦争そのものなのだと思うと
いい映画だなと感じずにはいられません。
情緒を震わせて涙が出る、とかそんなんでなくて、
いつまでも悶々と頭に残ってる作品です。
救いようも、結論もないこの作品。
このファンタジーでありながらリアルそのものであるいうことが素晴らしいと思います。
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