パンズ・ラビリンスの感想一覧
映画「パンズ・ラビリンス」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
見終わったあとの気分の悪さが、最高でした。
私のとても好きな作品です。ファンタジーというジャンルにまんまとだまされた感じ。いい意味で裏切られた作品。私の知識不足で、スペインの内戦などの歴史背景は全く知らない状態だったのですが戦下においては、純真無垢な子どもにも例外なく酷い現実はふりかかるんだっていうことをまざまざと感じさせられた思い。見終わった後は、正直いや~な気分でした。でも、この胸焼けする様ないや~な感じがすごく好き。劇中の描写は、妖精も出てくるし、妙なモンスターも出てくるし、ちゃんとファンタジー要素は 満たしているはずなんだけど、ファンタジーを見てるって感覚は、冒頭からほぼ無かったです。だって、妖精といっても 気持ち悪い虫が気持ち悪い妖精になっちゃうし。世間的に言うティンカーベルみたいなキラキラした妖精とは真逆な、なんせ不気味なやつ。主人公のオフェリアに試練を与える、番人パンも丸っきり悪魔の様相そのもじゃないですか。普通の感...この感想を読む
良いことひとつもねえ~!
こんな悲しいファンタジーがあったでしょうか?内戦下のスペインという背景からして暗いのですが、次々に少女に不幸が襲い掛かります。このファンタジー部分、少女が現実逃避のために見ている夢だとしたら、もはやこのようなダークな想像しか出来なくなってしまった、少女の置かれた状況が悲しすぎます。深読みして見ても、ファンタジーとして見ても、暗く悲しい物語。出てくる怪物のビジュアルが本当に恐くて、大人でも夢に出てきそうです。ハミング風のテーマソングが、見た後もしばらく耳から離れませんでした。最後をハッピーエンドとしてみるか、バッドエンドとしてみるかは人それぞれだと思います。
ひたすら暗い話です。
とにかく暗く憂鬱な気持ちになります。映画の宣伝ではダークファンタジー的な扱いだったと思いますが、ファンタジーを期待しすぎずに観た方がいいでしょう。映画の舞台である1940年代のスペインは、今の陽気なラテンの国スペインのイメージからは想像できないほど陰鬱な時代であったと思います。ギレルモ・デル・トロ監督はこの世界を描きだしています。そして、その時代に不幸にも居合わせた人々の姿が淡々と描かれます。主人公の少女オフェリアもそんな時代に翻弄された悲劇のヒロインです。現実逃避しようにも、妄想の世界ですら残酷だったり恐怖だったり、明るい要素はあまりないのが観ていてしんどかったです。ラストも想像通りでしたが、やはり少しは救いが欲しかったかなと思いました。
少女は、そこで夢を見た
引っ越し、家族との微妙な仲、その中で森で出会った不思議な生きものと摩訶不思議な冒険。試練を超えたら、不思議の世界の王女様になれる…でも家族と離れるのは嫌…というような、よくあるいつものファンタジーを期待してみたら酷い傷を負ってしまいます。これはある意味でひたすらに現実的な物語でした。結末をハッピーエンドととるか、アンハッピーエンドととるか、これは人によって意見が分かれると思うのですが私は圧倒的に前者だと思っています。見た後に「もうこの映画は見なかったことにして封印したい…」となるかもしれません(私もそうでした)。それでも単純な映像美や話の再解釈のために何度でも見たくなる不思議な映画なのです。