映画で観る世界遺産
この映画がもっと評価されていいと思う点は、世界遺産、衣装などのビジュアルの美しさはさることながら、そのミクロな視点にある。ベッドタイムストーリーだけで話を進めても構わないのにも関わらず、わざわざ「落下」というキーワードになぞらえるという縛りを作っている。お話しの中に巧妙に「落下」を織り交ぜながら、その事象、行為を美しいと感じさせるとは。生活の中で物が落下するさまを美しいと感じたことなどあっただろうか? この映画を観た後、もしあるのであればハイスピードカメラで撮った物の落下シーンだけを集めた映像作品を観たいと思ったほどだ。ターセム監督が、生活の中にある美を見出すミクロな眼を持っているからこそ、この作品が出来上がったに違いない。むしろ、「落下」と世界遺産を撮りたいが、それでは映画にならないからと、無理やりお話を作ったのではないだろうか…。そういぶかしがってしまうほどに「落下」に興味を持って...この感想を読む
5.05.0