理系の最終終着点 - すべてがFになるの感想

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すべてがFになる

4.674.67
文章力
4.50
ストーリー
4.00
キャラクター
4.83
設定
4.50
演出
4.50
感想数
3
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理系の最終終着点

5.05.0
文章力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
4.0

森博嗣氏のデビュー作にして第一回メフィスト賞受賞作品です。

舞台は孤島の研究所。

完全密室に手足が切断された死体。

究極の入れ替わりトリック。

設定やトリックも素晴らしいですが、なにより素晴らしい点は登場人物です。

天才真賀田四季をはじめ、犀川創平、西之園萌絵など、今後シリーズの中軸となる人物です。

特に真賀田四季のキャラクターは秀逸で、冒頭の西之園萌絵との談話シーンは何度も読み返すべきです。

天才でありながら人間味があり、それでいて計算された行動をとる真賀田四季は読者を虜にすることにも成功しています。

犀川創平は西之園萌絵の保護者的な立ち位置ですが、西之園萌絵からすると憧れの存在です。

頭の回転のはやさを表に出す西之園萌絵と違い、寡黙ながら的確な判断をする点は、おそらく西之園萌絵より人気があるのではないでしょうか。

西之園萌絵は計算の天才ですが、若さ故の脆さと、過去の経験による心の傷のため、犀川創平の存在が不可欠に思えます。

その関係に犀川創平も憧れを持つ真賀田四季が加わることで、より一層キャラクターが立っています。

彼らの発言一つ一つが魅力的であり、また心境の変化や過去のバックグラウンドが如実に表現されているため、是非会話と関係性に注目して再読したいです。

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