ギリシャ神話から見るパーシージャクソンとオリンポスの神々
ビッグ3(スリー)とオリンポス12神
ビッグ3とは全知全能の神・ゼウス、海の神・ポセイドン、冥界の神・ハデスのことをさします。三神はクロノスの子供で上からハデス・ポセイドン・ゼウスの順に生まれています。普段はゼウスとポセイドンはオリンポス山にハデスは冥界にいます。クロノスとの戦いの後領域をくじ引きで決め、ゼウスは天地・ポセイドンは海・ハデスは冥界となったということです。主人公であるパーシー・ジャクソンはポセイドンの息子で、生まれて7カ月の時に別れています。ギリシャ神話ではポセイドンは女好きで多くの子供がいますが、この映画ではパーシーだけがポセイドンの子供として登場しています。
オリンポス12神はオリンポスに住んでいる神々の総称で、ビッグ3のうちゼウスとポセイドン、そのほかにはヘラ(ゼウスの姉であり正妻)・アテナ(ゼウスとメティスの娘)・アポロン(ゼウスとレトの子 アルテミスとは双子)・アフロディーテ(泡から生まれた女神 ゼウスの養女)・アレス(ゼウスとヘラの次男)・アルテミス(ゼウスとレトの子 アポロンとは双子)・デメテル(ゼウスの姉)・ヘパイストス(ゼウスとヘラの子)・ヘルメス(ゼウスとアトラスの息子)・ヘスティア(ゼウスの姉)です。映画で名前が出ているのはアテナとヘルメスです。アテナは知恵・芸術・工芸・戦力をつかさどる女神で、ヘルメスは神々の伝令使いでそのためか旅人・商人などの守護神と言われています。
劇中に出てくる「イナヅマ」とはゼウスの武器で「雷霆(ライテイ)」とよばれていて、全宇宙を破壊できるほど強力と言われています。パーシーがルークと戦った時に水でかたどった「三叉の鉾(トリアイナ)」はポセイドンの武器で、映画には出ていませんがハデスの武器は「隠れ兜」です。いずれもキュクロプスが造り贈ったものとされています。ルークがパーシーに貸した「羽根の生えた空を飛べる靴」はヘルメスのものと言われています。
アテナ VS ポセイドン
アテナの娘アナベスとの話でアテナとポセイドンは仲が悪いと言っています。そのわけはアテネをめぐってのアテナとポセイドンの争いにあります。泉を贈ったポセイドンは、オリーブを贈ったアテナに負けてしまいます。そのことが仲たがいの原因だったようです。ポセイドンが贈ったのは馬だという説もありますが、どちらにしてもアテナが勝ったことには変わりないようです。
またポセイドンはアテナの神殿でメデューサと愛し合ったために、潔癖症のアテナから怒りを買っています。またメデューサが映画の中でも言っていましたが、彼女の髪は元はとてもきれいな髪でした。「私の髪はアテナの髪より美しい」と言ってしまったことも災いして、アテナによってメデューサの髪はヘビに変えられてしましました。そのためメデューサはアテナを恨んでいたんですね。
映画の中ではアテナとポセイドンが仲が悪いことだけが取り上げられていますが、神同士も結構仲が悪いようです。「イナヅマ」が盗まれたということで、戻してこなければ戦争だとか言い出します。領地争いや権力争いだけでなく、痴情のもつれなどもざらです。
親には会えないデミゴッド
映画でははじめは一緒に住んでいたポセイドンとパーシーですが、長く人間として暮らしていると人間化してしまい、神としての義務を忘れてしまうのではということから、神が自分の子どもであるデミゴットに会うことを禁止してしまいました。そのことでデミゴッドの子どもたちは親から捨てられたと思って育っていることが多いようです。「イナヅマ」を盗んだヘルメスの息子ルークは、親だけでなく子どもをつくるだけつくって放っておいている神たちに腹を立てていました。盗んだ「イナヅマ」がハデスにわたって神同士が争えばいいと思っていたようです。
ハーフ訓練所はデミゴッドたちを守り、訓練するための場所です。この中は結界で覆われていてデミゴッドか守護者でなければ入れないようです。そのため一緒に来たパーシーのお母さんは、ミノタウルスに襲われて逃げてきた時も中に入ることはできませんでした。訓練所ではゲームと呼んでしまうには結構危険な「旗取り」があり、パーシーはアネベスに剣で数か所切られますが、父ポセイドンの声の導きで水により傷を治します。水の中に7分も潜っていたこともあり、ポセイドンの性質が強く受け継がれているのがわかります。
デミゴッドの特徴の一つとして、難読症というのがあります。文字の大きさがばらばらに見えたり、文字が歪んで見えたりして形が定まらず、文字を判別することが困難な病気と言われています。作者の息子さんがこの難読症だったこともありデミゴッドの特徴の一つにしたそうです。デミゴッドたちは古代ギリシア文字であれば容易に読むことができ、ADHDは危険を察知したときすぐに行動に動けるために備わっている能力だと言っています。この症状で苦しんでいる子たちにも、希望を与えられるような作品になっていると思います。
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