アニメ化で美しくなったけどもう少しひねりが欲しいベルばら
フランス革命を舞台に、4人の男女の恋愛模様を描いた漫画を、
アニメ化され、原作の画質よりよくなった。
「聖闘士聖矢」に代表される荒木伸吾&姫野美智のゴールデンコンビのオスカル達は、
まさしく宝塚歌劇そのものの画風である。
このアニメについては、原作のあらすじから大幅に外れないように脚本が
組み立てられているものの、アニメという限られた話数で、原作の世界を
壊さないようにしなければいけないというのは、難しかったと思われる。
特に、最終話は、あっけない終わり方であった。
衛兵隊で一番扱いづらく、最後にはオスカルのよき理解者となったアランの扱いは、
気の毒であり、不必要な演出であったのではと感じる。
原作の漫画では、池田理代子氏のこだわりで「ナポレオン」にアランは登場している。
それならば、話数の問題があったとしても、マリー・アントワネットとフェルゼンの最期の別れは、
必ず丁寧に入れておく必要性はあったと思う。
実在の唯一4人主役の中で、実在の人物なのだから、架空の人物のオスカルとアンドレよりも、
もっと丁寧に最期の別れを入れるのが、この4人の恋模様を、はかなく美しく散っていくバラのような
恋と重なって、より素敵になったと感じた。
アニメ化になり、前半部分でマリー・アントワネットが執拗にいじめられたりする部分が
長すぎたというのが、欠点かと。
しかし、マリー・アントワネットとふぇるぜんの恋も大切だが、
オスカルとアンドレの恋も、原作とは違う設定での実り方ではあるが、
観ている人間を安堵させるものであったので、結果よかったのかもしれない。
アンドレの声が、テレビではひょうきんな志垣太郎氏が務めていたというのは、意外かと思われるかも
しれないが、個人的には、志垣太郎氏が一番よかったと感じる。
オスカル役の田島令子氏については、池田理代子氏は「ちょっとイメージと少しずれる」と
ある本のインタビューで答えているが、成人してからの声としては、丁度いい声である。
あともう少しひねりがあれば、よかったかもしれない作品ではあるが、
原作の世界観を壊さないように注意した点(作画や声優陣)においては、
デジタルリマスターで再放送して欲しい作品である。
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