わたしはいくえみ先生をチャッカマンと呼んでやろう。 - I LOVE HERの感想

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I LOVE HER

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画力
5.00
ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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感想数
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わたしはいくえみ先生をチャッカマンと呼んでやろう。

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

女子高生と高校教師との恋愛。

わたしが初めて手にしたいくえみ先生の作品です。ここからわたしはいくえみワールドの虜になり、今現在でも追いかけ続けています。

設定は王道ですね。しかし、登場人物の感性がわたしは好きで、設定がチープでも別に気になりません。むしろ、設定がありきたりだからこそ浮き彫りになる、いくえみ先生に独創性がもうたまらないのです。胸きゅんするのは登場人物と同世代だけだろうとお思いになるかと思いますが、そんなことございません。初めから本能的に好きになるだろう会話をさりげなく自然にするのです。それがたまらないのです。

ふたりの女子高生が先生を取り合います。

プラスして、先生ことしんちゃんの元カノまで絡んでくるので、こうなってくると肉体関係を持っている元カノは強いですよね。大人だし、何よりも過去のしんちゃんを知っているという時点で優位に立ちますよね。しかし、しんちゃんは元カノとの恋を自ら終わらせるのです。その意志は固く、風邪で寝込んでいるところを看病されても靡きません。

そんなしんちゃんのモデルとなった人物は奥田民生さんです。コミックスのおまけ漫画のようなスペース漫画に奥田民生さんが可愛らしい絵で何度も登場してきます。似ているか似ていないかはさておき、しんちゃんはとても甘いマスクを持っていて、ほとんどの生徒から好かれています。ちゃらんぽらんに見えても教師ですから、授業はしっかりとこなしますし、生徒のこともきちんと見ています。みんなの良きお兄さん的な位置にいる先生。そんな存在に、掃き溜めに鶴状態でクラスからひとり浮いていた艶香という女子生徒に好意を向けられます。デートとかもしちゃいます。何なら、おでこにチューまでしちゃいます。しかし、全てを受け入れることはしないのです。

当たり前ですよね、先生と生徒では立場上お付き合いをするということは、難しいことですよね。

艶香は裕福な家庭で育ちますが、他人との接し方がわからない、どこか不器用な人間です。そこを理解してしつこく構ってくるしんちゃんに惚れてしまった、というところですね。家でもひとり、学校でもひとり、そんな寂しい環境の中優しくしてくれたしんちゃんを好きになるのは自然な流れでしょう。

この話を主人公の花にタクシーの中で告白するのですが、花はこの話を聞いてしんちゃんのことを「チャッカマンと呼んでやろう」というのですが、その台詞がいつまで経っても忘れられず、上手い例えだな、とこういう些細なところでも発揮されるいくえみ先生の表現力がとても好きです。

主人公の花は両親の離婚を機に彼氏と別れ、しんちゃんのいる学校へ転校します。そして引っ越した先のアパートがしんちゃんの隣の部屋なんです。もう運命でしょ、と言いたくなるような設定。ベタですが、そういうところも好きです。

花が艶香をお見舞いにいくシーンがあるのですが、艶香は恋のライバル、花に「どうして転校してきたのよ!」と言います。そのときに花は艶香に対してこう言います。

「しんちゃんと恋をしに」

こんなことを言う高校生がいるのか。そんなロマンチックな恋、してみたかったです。わたしも言いたいです。恥ずかしいこともさらっと言ってのける登場人物たち全員に胸きゅんします。

「俺が花といたかったんだ」

スーパーの袋を両手に持ってするキス。紆余曲折しながら、すれ違いながら主人公の花がしんちゃんと付き合うのですが、告白のシチュエーションがもうトレンディードラマのようで、わたしは憧れてしまいます。メールで、電話で告白が主流なんでしょうか、わかりませんが、男らしく唇を奪っていくあたりいくえみ男子だからこそ備わっているスキルですね。本当にそう思います。いざっていうときに臆せず行動を起こせる、それがいくえみ男子です。そしてかっこよく決まるんです、これが。普段ふざけた顔している分、真剣な場面での真剣な瞳で見つめられたら、鼻血マンになってしまいます。数学追試になってしまいます。(読んだことのある方なら分かると思いますが、花が鼻血を出すシーンがあり、しんちゃんが花を鼻血マンと呼ぶ台詞があります。そして数学が追試になり、補講を受けに夏休み登校するのです。マニアックで申し訳ありません)

なんだかんだ付き合って、しかし、教師と生徒という立場は変わりません。元カノとの縁も終わっていません。付き合うことで環境が変わり、戸惑いながら、また恋のライバルが親友になってしまった艶香にどう説明したらいいのか、と問題は山積みです。

花はしんちゃんとの交際を手紙で艶香に伝えるのですが、艶香は手紙を読み終わるとすぐに破り捨ててしまいます。艶香はその事実を知ったことで、両親が持ちかけたお見合いの話を受け、いざお見合いするのですが、やはりしんちゃんへの思いもあり、また親友である花との関係を終わらせたくない一心で自ら花へ連絡をします。これだけでも艶香の成長が著しいことがわかります。そして、お見合いを台無しにするため、しんちゃんをお見合い場所へ乗り込ませ、艶香はしんちゃんに抱えられて外へ出ます。このシーンも艶香が自分だけの世界から外の世界へと完全に脱出する、という心の成長を表しているのではないかとわたしは思っています。

花のキャラクターも好きですが、わたしも人間関係が不器用なところがあるため、どうしても艶香寄りに読み進めてしまいました。

子供の庭、という作品があるのですが、コミックス2巻の最後に、I love herのその後を描いた読み切りマンガが付いています。それもまたふたりのラブラブっぷりが見れて、大変面白いです。

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