-----短編------
村上春樹の短編はどれをとってもハイクオリティです。独特の世界観にいつのまにか引き込まれていきます。 本のタイトルに『レキシントンの幽霊』を選んだり、「底無しの怖さを秘めた七つの短編を収録」と紹介したりしていますが、 そのようなホラーじみた作品集ではありません。全体を通して感じられるのは「孤独感」です 一番印象に残ったのは「沈黙」と「七番目の男」だった。 人の悪意ほど恐ろしいものはない。一人の人間の悪意が多くの人たちを動かしていく。 そしてその悪意が特定の人間に向けられたとき、悲劇が始まる。 「七番目の男」の主人公は、少年の頃に親友と海を見に行くが、突然の大波に親友をさらわれてしまう。 迫りくる大波から親友を助けることができたかも知れないのに、彼は恐怖にかられて自分だけ逃げてしまった。 以降、彼は波の恐怖と自責の念にさいなまれながら生きていくことを強いられる。 それから、「氷男」の悲しさと、「トニー滝谷」の虚無感と、「めくらやなぎと眠る女」の世界観も好きでした。
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