-----短編------ - レキシントンの幽霊の感想

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レキシントンの幽霊

4.384.38
文章力
4.25
ストーリー
4.13
キャラクター
4.00
設定
4.63
演出
4.50
感想数
4
読んだ人
5

-----短編------

4.54.5
文章力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

村上春樹の短編はどれをとってもハイクオリティです。独特の世界観にいつのまにか引き込まれていきます。 本のタイトルに『レキシントンの幽霊』を選んだり、「底無しの怖さを秘めた七つの短編を収録」と紹介したりしていますが、 そのようなホラーじみた作品集ではありません。全体を通して感じられるのは「孤独感」です 一番印象に残ったのは「沈黙」と「七番目の男」だった。 人の悪意ほど恐ろしいものはない。一人の人間の悪意が多くの人たちを動かしていく。 そしてその悪意が特定の人間に向けられたとき、悲劇が始まる。 「七番目の男」の主人公は、少年の頃に親友と海を見に行くが、突然の大波に親友をさらわれてしまう。 迫りくる大波から親友を助けることができたかも知れないのに、彼は恐怖にかられて自分だけ逃げてしまった。 以降、彼は波の恐怖と自責の念にさいなまれながら生きていくことを強いられる。 それから、「氷男」の悲しさと、「トニー滝谷」の虚無感と、「めくらやなぎと眠る女」の世界観も好きでした。

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「多崎つくる」の前説的作品を含む、珠玉の短編集。

2013年、『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』は、村上春樹の何冊目かのミリオンセラーとなりましたが、この本のなかには、「多崎つくる」のイントロダクションとも呼ぶべき「沈黙」という短編が収録されています。「沈黙」は全国学校図書館協議会が刊行している、集団読書テキストというシリーズにも収められ、これは名前から推測するに、授業で大勢で読み、内容を討議したり、感想をしたためたりするようなテキストと思われます。ともすれば難解と言われがちな春樹作品の中でも、「沈黙」はそういう意図にぴったりあてはまるものだと思います。「多崎つくる」は学生時代、所属していたグループ全員から「ハブ」られ、人間不信に陥る、という設定ですが、「沈黙」はその部分をさらにこまかく、鋭利にえがいたような作品です。するどく、ひりひりとしながら、じんわりとした読後感が残る作品です。とても地味なお話ですが、村上春樹の中で、私が最も...この感想を読む

5.05.0
  • nyan_chunyan_chu
  • 114view
  • 538文字

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